第24話 大和司と岩窟の金槌亭。
ちょっと見直すかもしれません。やっと冒険の準備が完了?
「で、坊ちゃんは、何の用だい?」
やっと、ドワーフ兄弟が商売に戻ってきた。
「えっと、とりあえず、おれには使いやすい剣と、防具を見繕ってくれないかな?」
「おおっ、その立派な剣はつかわんのか、坊ちゃん?」
「いや、ちょっとね」
なんというか、Tears of Dragonはその見た目といい、その由来といいすごくいい剣だという予感、いや確信がある……だが、おれはある可能性に思い当たっていた。念をいれておくことはないよな。
「あと、そっちのリエルにも武器と防具を見繕ってくれ」
ドワーフ兄(ドノバンさんというらしい)が、リエルをじっと見る。
「エルフの嬢ちゃんか、いいぜ、得物はどうするんだ?」
「!! わかるのか?」
「まあな、人にはわからんかもしれんが、同じ亜人の我々ならみりゃわかるってもんよ」
そういって、ドノバンさんとドルカン(弟)さんが笑う。
「もちろん、誰にも言いはせんから安心しろ」
店主がドワーフなので、リエルのようなエルフとは仲が悪いのかと思ったが、そんなものは、おとぎ話の話だけで、この世界では、お互い亜人種という仲間意識でむしろ仲がいいくらいらしい。
「それは、助かる。 武器は、弓でよさそうなものと、何か護身用にナイフみたいなものもあればいいかな。 防具は、うん、よく分からないからリエルの相談にのってやってもらえないか? ある程度予算には余裕があるので、品質のいいものをたのむ。 リエルも遠慮しないように」
リエルの武器については、昨日の食事の時に少し話をしたのだが、エルフはその種族の特性として弓に適性があるらしいので、弓がいいだろうということになっていた。お金の面についてはリエルはかなり遠慮する傾向にあるようなので、先に釘を刺しておく。
「おー、任せといてくれ」
ドルカンさんがリエルについてくれるようだ。俺の方には、ドノバンさんがついてくれて、まずは武器から装備を見ていく。
「そうだな、まだ剣をあまり使い慣れないというのであれば、鉄か鋼鉄のものがいいだろう。 形にもいくつか種類があるが、使いやすいのは、片手で扱えるショートソード、ブロードソード、ファルシオンというところか。 クレイモアは両手剣だしな、ロングソードも最初は取り回しが難しいだろう。 あとは、バスタードソードというところか、これなら片手・両手剣用でつかうこともできるが、片手剣よりはその重量が多い分取り回しにコツがいるな」
正直、武器の良し悪しはよく分からない。並べてもらった剣を一つずつ持ち上げてみる。剣士になって、ステータスは下がったもののそれでもある程度のステータスがあるからかバスタードソードを持ってみても特に重いとは感じなかった。長さは大体1.2mくらいという感じか。片手と両手兼用か、うん、格好いいなこれにしよう!
「あ、これくださーい」
格好いいって大事ですよね?あと武器として、投擲用のナイフをいくつか選んでおいた。
防具については、モンスターの皮を使って作られた革製の鎧を中心にそろえる。その強度は鉄にも劣らないが、軽量で冒険者には好まれているとのこと。左手だけには、盾代わりに霊銀を鍛えたという小手を選んでおく。霊銀性の小手は魔法の力を付与されており、通常の武器では傷もつかないという。
値段は、小手が1つで金貨1枚、鎧一式が金貨1枚、剣が銀貨10枚とのことだった。少々高いが、装備にお金をケチるところではないだろう。ドノバンさんがいうには、これでもかなりお買い得なものらしい。ドノバンさんに装備のメンテナンスの仕方などについて教えてもらっているとリエルに声を掛けられた。
「ツカサ様、よろしいでしょうか?」
そちらを見ると、リエルは装備の候補をいくつかに絞ったようだが、決めきれないでいたようだった。リエルの前には、弓がいくつか、また、おれと同じように革製の鎧、それと外套が一つ並んでいた。
「やはり、お金を払うのはツカサさまですので、選んでいただけないでしょうか?」
うーん、まあ、ここまで選んだだけでも良しとしようか。
「仕方ないな。そういえば、リエルは、弓を使ったことはあるのか?」
基本的なことではあるが、聞いていなかったので改めて聞いてみる。
「子供のころに遊びで使ったことはありますが、ずっと館におりましたので……」
確かに、いくらエルフであっても練習がいりそうだな……当面は精霊魔法を中心にして、徐々にうまくなればよいか。
剣の良し悪しも分からなければ、もちろん弓の良し悪しも分からない。
「ドルカンさん、おすすめはありますか?」
「うん、初心者ってことならば、この辺のショートボウ一択だろうな」
なるほど……
「リエル、そういうことだから、弓については、ショートボウの中で手に合うやつを選んでみてくれ」
そうリエルに指示をだすと、おれは店内を見渡した。そこには気になるものがあった。
「ドルカンさん、これは使えますか?」
「お、坊ちゃん。珍しいのをしっているな」
おれは、壁にかかっていた小ぶりのクロスボウを取り上げた。
「弩か、確かにそれなら、初心者の嬢ちゃんにも最適かもな」
リエルの方に振り向くと、リエルも弓を選んだようだ。
「リエルは、クロスボウ……いや、弩というのか?は、つかったことあるか?」
そういいながら、リエルに弩を見せる。
「いえ……村でもありませんでしたので、触ったことはないですね」
リエルに石弓を渡すと、弩を持ち上げたり、傾けたりしてその構造を確認しているようだった。こちらの世界では、クロスボウは珍しいみたいだな。いや、元の世界でも知識として知っているだけで、おれも実物は触ったことなかったけどね!
「ふむ、ドルカンさん、あとで試してみていいですかね?」
「おうっ、だが店内では矢は打たないでくれよ。」
「もちろん」
さて、あと残っているのは、防具か……順当に考えると、おれと同じように革製の鎧が順当だろうけど……
「この外套は?」
「おお、これか、いや、これはな地竜の皮から作った外套でな、そこらの鎧より丈夫で、特に魔法職にはおすすめなんでな、嬢ちゃんに勧めていたんだが、いかんせん値段が張ってなぁ。 でも勧められるよなぁ?兄者」
ドノバンさんも相槌を打っている……本当にお勧めっぽいな。
「ちなみにお幾らなんです?」
(でも、お高いんでしょう?)そういう心の声をききつつ尋ねる。
「これだけのサイズだと地竜1匹から1枚つくるのがやっとだからな、金貨3枚もらうことになる」
地竜か~、ほんとにどこからどこまで使える奴め……皮も剥いで来ればよかったな……まあ剥ぎ方はよく分からないんだがな!
「そこまでいいものを買っていただくわけにはいけませんので、私はこちらの革装備でいいと思うのですが」
ドノバンさんドルカンさん二人に聞いてみてもやはり値段分以上にお勧めらしい。
「じゃあ、この帽子をセットにしてもらって金貨3枚でどうかな?」
おれは耳の部分にも覆いが付いている革製の帽子を手に取るとそう提案してみた。これなら、リエルの特徴的な耳も隠すことができるだろう。
おれは、リエルの耳を隠すことのできる帽子をおまけしてもらって、ドノバンドルカンはおすすめの外套が売れて、リエルは少しでも安く買うことができたと思う。これは、三者Win-Win-Winじゃないか!?ドノバンさんたちも了承してくれたので、外套に金貨3枚、帽子をおまけしてもらい、弩とショートボウとそれぞれ用の矢、リエル用のダガーと革製のサンダルを合わせて金貨1枚。俺の分と合わせて、金貨6枚と銀貨10枚というなかなかの大きな買い物になってしまったが、これから冒険をしていく上で命を預けるものだからしかたないだろう。
店の裏で、リエルに弩と弓の練習をさせたが、まだまだ弓での命中率は低かったため、当面は弩をメインで使わせることとして、弓は普段おれのアイテムボックスにしまっておいて練習の時に取り出して使うようにした。
色々な商品をじっくりみて買い物をしていたからか、時刻はいつの間にか11時半になろうとしていた。ギルドでの講習の時間も迫ってきていたので、一旦竜の息吹亭に戻って昼飯を食べることになった。
まだまだ欲しいものはあるが、それはもう少しお金がたまってから購入することになるだろう、とにかくこれで、冒険の準備は整ったといえるだろう。
あまり見直せてないですが、とりあえず、一旦あげておきます。
手直しをするかもしれません……
石弓>弩に変更しました。
結構今回は書いたような気がしても3400字くらいですか…なかなか大変だなぁ(^^;
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ただいまの所持金(自分用メモ)
ツカサ
金貨3枚、銀貨15枚、銅貨92枚強、小銅貨12枚
リエル
銀貨5枚、銅貨20枚
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