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第18話 大和司と竜の息吹亭。 その1

今日は早めに帰ってこれました、ということで第18話?です。

やっと宿屋まで……

 地竜の素材が思っていたより高く売れて、おれはほくほく顔だった。


 金貨をもらったときに、何気なく普通にウェストポーチにしまったが、改めて計算すると、大体180万円か!!

 物盗りに遭ってもこまるので、冒険者ギルドを出たところで、だれもこちらを見ていないのを確認すると、ウェストポーチに金貨一枚だけを残して、あとはアイテムボックス内にしまっておく。


 街に来るまでにいろいろ検証してみたが、アイテムボックスを開くにはある程度の隙間があればいいようで、リュックサックの口の中などでも操作が可能なことがわかった。


 これで、しばらくお金にはこまらないな~。お金が手に入るというのはやはりうれしいもので、思わぬ大金に、にやにやが止まらない。


 にしても、受付のお姉さんも美人で、愛想もよく、いろいろ教えてくれてすごくいい人だった。宿もご飯がおいしいというおすすめのものを教えてくれたし、服屋や武器・防具屋についても教えてくれた。買い物は明日の朝するとしても、これから担当をしてもらえるということで、お近づきになれるかもしれない。

 店を出るときに、周りの男たちからやけに睨まれたような気がしたのが気になるが、深くは気にしないでおこう。


 う~ん、この街にきてそうそう、素晴らしい出会いだったなぁ。

 なにより、すばらしいお胸でした、うんうん。


 本当に、冒険者ギルドに行くことを勧めてくれたリエル、さまさまだなぁ・・・


 そう思ってリエルの方をみると、さっきから前を歩いていて、一言も口をきいていない。


 どうしたんだろうか?

 違和感も覚えつつも、記憶を反芻しながら、お胸の大きな人を斜め上の角度からみるというのは……やはり、斜め上45度がベスト!!そんな哲学に思いをはせていると……


 急に下から声を掛けられた。


「ツカサさま、早く宿屋にいきませんか?」


 いつの間にかリエルが、立ち止まっていて、ぶつかるのではないかと思えるほどに近くにリエルの顔が見える。


「あ、ああ」


 おれの歩みが遅かったのが気になったんだろう、外套の中のリエルの顔は、いつもと同じ無表情だったが、心なしか不機嫌に見える。


「(やっぱり大きい方が……)」


「ごめん、リエル、何か言った?」


「いえ、もう日も暮れてきましたし、先を急ぎましょう」


 そういうと、リエルはまた正面を向いて歩き出したので、おれも慌ててあとを追いかける。


 冒険者ギルドから、15分ほど歩いただろうか、俺たちが、入ってきた東門と冒険者ギルドとのちょうど中間あたりに、竜の息吹亭は門を構えていた。

 竜の息吹亭は、3階建ての木造の建物で、冒険者ギルドには及ばないが、なかなか立派な建物だった。1階は、食堂兼酒場になっているようで、2階3階が、多分客室になっているのだろう。

 入口の前に飾られている看板には、竜をかたどったマークが描かれていた。


 建物の中に入り、受付へといくと……

 ごっつ強面でスキンヘッドのおっさんがスマイルで迎えてくれた……


 えっと、帰っていいかしら……


「おう、兄ちゃん、泊まりかい?」


 見つかってしまった!(それはそうである)ので、普通に返答する。


「あー、2名なんですが、お幾らでしょうか?」


「おう、2名1室なら、一泊朝、夜食事つきで、一人銅貨50枚だ。 つまり2人で銀貨1枚だな。二人とも別室にするんだったら、一人あたり銅貨55枚だ。 同じ部屋でいいか?」


「あー……別の……」

「一緒でお願いします。」


 リエルが、かぶり気味に答える。


「(おいちょっとリエル)」

「(お金の節約です。 いまはお金があるかもしれませんが、無駄なお金を使う必要ありません。 それに、私は従者として、ツカサ様のお世話を行う必要がありますし。)」


 目の前での相談が終わったのをみて、宿屋の親父が、声を掛けてくる。わりと空気をよめる人なのかもしれない。


「おう、話はまとまったか?で、嬢ちゃん、部屋はダブルでいいのかい?」


「はい、問題あり……」

「いや、ツインでたのむ!!」


 こんどは、こちらがリエルの答えを上書きしておく。この子は何を言っているんだ?お兄さんは、時々リエルの考えがわかりません!!

 リエルがこちらを見てくるが、譲らない強い視線を返しておく。


 お金については、リエルのいうことにも一理あるが、ダブルにする理由は全くない。


「へっへっへ、兄ちゃんと嬢ちゃんは、なかなか仲がいいな。 では、何泊するんだ? とりあえず、1泊分は先払いだが、それ以降はその日ごとに支払ってもいいぞ」


 冒険者ってなんとなく、日雇い労働者に近いイメージもあるので、その辺も加味されたシステムになっているんだろう、なかなか良心的な気がする。


「しばらく、拠点にしたいと思っているので、金貨1枚をお支払しておきます。」


「おお、ありがとよ。 では、とりあえず今日から、ちょうど20泊分だな。まとめて支払ってくれるならそうだな、夜の明かり代は別料金なんだが、毎日1つまではサービスをしておこう」


「それは助かります」


サービスに対して、お礼をいうと、親父が、後ろの棚から鍵を取り出してこちらに渡す。


「部屋は、3階の308号室だ。部屋に鍵はついているが、貴重品については念のためおいて出かけないようにしてくれ。収納はベッドの下についてあるのを使ってくれ。 あと、水が必要な場合は、中庭に井戸があるんで、そこを勝手に使ってくれ。 桶と水差しは部屋おいてある。 お湯が必要な場合は、食堂の厨房に声をかけてくれ。 桶1杯に銅貨3枚だ。」


 やはり、お湯は自由に使えるものではないのか……これは風呂とかは難しいだろうな……鍵を受け取りつつ、一応聞いておく。


「お風呂とかってありますか?」


「はっはっは、何を言ってるんだ。 そんなものこの街では、一番のホテルにでもいかんとないよ。 水浴びをしたいのであれば、井戸の周りに衝立ついたてをおいてあるのでそれを使ってやってくれ。」


「ですよね……わかりました。他に何かありますか?」


「そうだな、食事は、朝は7時から9時の間、夜は5時から7時の間に済ませてくれ。 一応、夜は、その後でも食べることはできるが、酒場としてほかの客にも開放されるから、うるさいかもしれんがな。 もし、昼になにか弁当のようなものがほしければ晩飯の時にでもいってくれ。 別途有料で何か食べられるものを用意してやろう。」


 親父がリエルの方に少し視線をやって続ける。


「兄ちゃんにはなさそうだが、もし夜に花街にでも行くんであれば、門限はないが、他の客を起こさないように静かにな」


 花街があるのか……なるほど……心の中にメモっておこう。


「わかりました」


「まあ、とりあえずこんなところだな。 カウンターには基本的だれかはいると思うが、人がいなければ厨房の方に声をかけてくれ。」


「了解です。 リエル、何か質問あるか?」


 リエルに確認をすると首をふって否定したので、客室へと向かう。

 素朴な普通な宿ってところか? 新しい建物には見えないが、きれいに清掃が行き届いて好感が持てる。


「308、308……っと、これか?」


 ドアに鍵を差し込んで、鍵を開ける。扉開けて中に入ると……うん、普通……


 大体8畳くらいの部屋に、ベッドが二つ少し離れておいてあった。

 あとは、窓際に小さなテーブルと椅子が2脚おかれているくらいでシンプルな部屋だった。


 とりあえず、人心地つけたのでずっと、背負ったままだったバックパックを床におろし、忘れずにクロを外に出してやる。


 クロは、バックパックから出されるとようやく目を覚ましたようで、片方のベッドへと飛んでいく。


 あれ、今、クロ(仮名)飛んでなかったか……?

 きっと、疲れているんだろう。ツカサ、あなた疲れてるのよ、そんなことを誰かが言っていた気がする。


 こまかいことは気にせず、外套脱いで、適当に椅子に掛けるとこちらも布団へとダイブする。


 スプリングなどはないようで、マットには弾力はないが、野宿で地面に寝るよりはよっぽどましだった。


 ……眠い……う~ん、このまま寝ってしまいそうだ……


 リエルの方をみると、おれが床に放り出したバックパックをおれのベッドの下の収納にしまっていた。それが終わると、おれが椅子に掛けた外套も、ドアの横にあるコートかけ(?)外套かけというのか(?)、そこにきちんとかけている。


 意外に丁寧なんだなぁ……などとさらにリエルを眺めていると、リエルもようやく自分の外套を脱ぎだした。外套の下から、金色の髪の毛が見える。砂にまみれてしまったが、それでも輝きを失わない髪の毛。真っ白な手足はとても長く、腰は折れそうなくらいに細い。 

 外套を脱いだリエルを、しばらくぶりにみるが、とんでもない美少女だなぁ……あらためてそう実感する。


 その美少女と今晩同じ部屋で過ごすのか……

 これはなかなか大変な夜になりそうだ……


 リエルは自分の外套を、おれの外套に並べてかけると、自分のバックパックを、もう片方のベッドの下にしまう。俺たちの荷物は、それで全部だった。


 片付けがすべて終わったからか、リエルがこちらに歩いてきて、ベッドの傍に立って声をかけてくる。


「お疲れ様でした、ツカサさま」


「うん、おつかれさん」


 リエルが続ける。


「それでは、食事になさいますか?わたくしになさいますか?」


「ブッ!!」


 思わず吹き出してしまった。


「いやいやいやいや、わたくししないから!!!」


 身体全体をつかって慌てて否定すると、リエルは何かを考えているようだった。


「奴隷商のところにいた先輩に、帰宅した際には、このように聞くと、殿方に喜んでいただけるので、必ずやるようにとのことでしたが……お嫌でしたでしょうか?」


 リエルが、傍でじっとこちらをみて動かない。


 いやいや、お嫌でないけど、色々とまずいだろう!!そもそも、この子は意味を分かっていっているのか??


 部屋内に微妙な空気が流れる……な、なんだこの空気……とりあえずこの空気を変えなければ。


「とっ、とりあえず、食事の時間だし、ご飯を食べに行こうか!?」


「畏まりました、わたくしは後ということですね」


「ないからっ!!!」


毎回誤記のご指摘ありがとうございます!至らぬ文章ですが、お付き合いいただければ幸いです。

今回も一応読み直しはしましたが、イツモドオリな気もしますのでご容赦ください。m(_ _)m

修文して、投稿するだけで平日が終わってしまうので、少々書き溜めが心もとなくなってきました^^;


わたくし、したいです!


30分も歩いてるとだりーよ!というまっとうなツッコミにより、宿屋の位置を門と冒険者ギルドの中間に修正しましたっ!今後の話のことも考えるとこれくらいの位置の方がむしろよいかなとも思いました。

今日はそんなに誤記なさそうかな(チラチラ



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