第16話 大和司は、とうとう最初の街に到着する。
若干よっぱらいです^^;
なんかつなぎの話になってしまいました……
一団とすれ違ったあと、しばらく歩くとようやく、関所までたどり着いた。
「おーい、そこの二人止まれ~。こっちに来てくれ」
関所の門番が、声を掛けてくる。
「お前たち、山からやってきただろう。何か見なかったか?」
外套の下で、冷や汗を流す。なんと考えたものか、おれが思案していると。
「何かあったんですか?」
リエルが、自然な感じで門番に尋ねる。ぶっちゃけ、さっきまで死んでいたし、本当に知らないんだろう。言動に全く演技がない。GJリエル!
「あの爆発をしらんのか……」
門番が呆れたような、驚いたような感じで、おれ達の後ろを指さす。
「ほらあれを見てみろ」
振り向いてみると、山の稜線が不自然に欠けているのが見える。
「な、なんですか……あれは……」
リエルが驚きの声を上げる。森の中では木に阻まれて見えていなかったが、森を抜けたことによって、今では、山がくり貫かれた光景がくっきりと見えていた。こう改めて見せられると……うん、我ながらびっくりです(汗)
「その様子だと本当に知らないようだな……さっき調査団とすれ違っただろう?昨日の昼過ぎに突然爆発が起きてな……信じられんだろうが、その爆発であの山が吹っ飛んだんだよ……あの山は龍が住んでいるといわれているんだが、龍が何かと戦ったのか、あんな爆発、魔王でも出たんじゃないかと街は持ちきりでな……今は一つでも情報が欲しいんだよ。 昨日は突然のことで街の守りを固めることしか出来なかったが、今日になって本格的な調査団が送られたってわけだ。」
言われてみると、街の外壁の上にいる兵士の数が多いような気がした。
「にわかには、信じがたいですね……言われてみると、実は私も森の中で気を失っておりまして、たぶんその爆発で気を失っていたんですね。 幸いというか、こちらに来るまでには何にも会いませんでしたね。」
リエルが場をつないでくれたので、どうにかそれっぽい嘘をひねり出す。リエルも気を失っていたようなものなので、そのように思うだろう。
「なるほど、いや、その情報だけでもためになる。 そっちも大変だったようだな。」
門番が神妙そうな顔をする。なんだか申し訳ないっ!
「そういえば、こちらには人はいないんですか?」
ちょっと気になったので聞いてみる。まあ、何もやってくることなんてないと思うが、守備を固めているにしては、こちらの関所には門番さんしかいないようだ。
「いや、有事のときには街の中まで撤退することになっていてな。 こんな壁では、防げるのは動物くらいで、それ以上のものには役に立たんのだよ。 とはいえ、お前たちのようなものがやってくることもあるので、今は俺と、あと相棒が今はそこの建屋で休んでいるだけだな」
「あー、お疲れ様です」
つまり、二人ははずれくじを引いだのだろう。
「いや、これも仕事だ。 で、こんな時であれなんだが、この街には何をしに来たんだ?身分証はあるか?」
「いや、この街で冒険者ギルドに登録しにきたんですよ、身分証は街で作る予定でした」
「お、冒険者志望か、がんばれよ。こんな時にくるなんて、タイミングいいのか悪いのかわからんな」
門番が豪快に笑う。
「おっと、すまない。 身分証がない場合は、ステータスボードを確認させてもらっている。 また、街に入るにあたっての保証として、一人当たり銀貨1枚の入街料もらっているが大丈夫か? あと、一応フードを外してもらっていいか?顔を確認しておきたい」
おれはともかくリエルの顔を見られるのは少し困るが、どうせこの後ステータスボードを見せるんだ。ここで断ることのデメリットのほうが大きいだろう。
そう判断すると、こちらに視線を送っていた、リエルに対してうなずいてやり、おれは外套のフードを外した。
「なんだ、まだ子供じゃないか!?」
門番が、おれの顔をみて驚いたような声を上げる。
「いや……子供ではないんだが……」
もう23才なのに……一応きちんと否定しておく。
外国では、日本人は若く見られるとよく言うが、異世界でもそうなんだろうか。
「おう、すまんすまん。 で、ステータスボードをみせてもらっていいか?」
「ステータスボード オープン」
ステータスボードを開いて見せる。
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名前:ヤマト ツカサ
年齢:23
性別:男性
職業:剣士
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(門番には、非表示の項目以外が見えているので、こう見えている。)
「名前は、ヤマト ツカサ、剣士か……剣を振りそうには見えないが……すまんすまん、ヤマトが名前でいいか?」
「いや、うちの地方では、家名が先にくるんだ。 司が名前だ」
門番がステータスボードの内容を記録しながら聞いてくるので、補足しておく。
「おう、よろしくな、ツカサ。 おれは、ゼンという者だ。 この第7外門で門番をやっている」
門番、いや、ゼンさんが手を差し伸べてきたので、握手を返しておく。
「そっちの君も、ステータスボードを見せてもらっていいか?」
リエルが、ステータスボードを開く。
「ステータスボード オープン」
「おっと、嬢ちゃんだったのかい・・・どれどれ」
「おっ」
ゼンさんが声を上げる。続いて、リエルがそっとフードを外すと、今度はゼンさんの動きがとまる。
リエルがフードをもとに戻すと、ゼンさんも正気に戻ったようで、動きを再開する。
「いやー、うわさには聞いていたが……」
ゼンさんの驚きの声に、おれはうんうんとうなずきつつも、口に手をやりゼンさんをけん制しておく。 まあ、仕方ないリエルはマジでかわいいからな。
ゼンさんは、おれとリエルを交互に見るとうなずいた。
「なるほど、そういうことか……」
うん、正直何を納得してるのかわからないが、こちらもうなずいておく。
「おーけー、確認はとれたぞ。(安心しとけ、別にだれにも言わないから。俺らもこれで信用商売だからな)」
ゼンさんが小声で、補足をしてくれる。理解のある人にあたったよかった。
「ありがとうございます。」
素直に礼を言っておく。
「では、二人分の入街料として、銀貨2枚をもらっていいか?」
おれは、ウェストポーチから銀貨を2枚出すとゼンさんに手渡した。ゼンさんは銀貨を受け取ると、一度、建屋に入っていき、木の札を持って戻ってきた。
「これが入街料を渡した証拠になる。 内門では、この札を見せればすんなり通してくれるはずだ。あと今、受け取った入街料は、身分証を作った後で、この札と身分証をここで提示してくれれば返還可能だ。 俺か、俺がいなくても相棒がいるはずなので身分証を作ったら持ってきてくれ」
「わかりました。 でも、リエルのことあるし、その相棒さんとなにかうまいものでも食べてください」
そう言って、こちらに、返還の意思がないことを伝えておく。(いわゆる賄賂っちゅうやつですな)
「お、太っ腹だな」
ゼンさんが豪快な笑い声をあげる。
最後にもう一度ゼンさんと握手をすると、おれは、リエルをつれて内門の方へと歩いて行った。
内門では、警戒中なのであろう、多くの兵士が駐在していたが、木札を見せると特に何も言われることなく、すんなりと通してくれた。
出発が午後になったからか、もう日もかなり傾いていたが、やっと来ましたよ、アステリアの街へ!!
っと、この話を書いてて、この辺のつなぎ部って、5行くらいでさくっと飛ばしちゃってもいいのかもしれないなぁなどと我ながら思いました。この辺が展開遅い理由か……
すでに書いている部分は、このまま行こうと思いますが、そのうち、さくっと早送り?していくかもしれません。