第14話 大和司は、初めての夜を迎える。
遅くなりましたが、見直し(完璧とまではいかないですが・・・)が終わりましたので投稿します。
ようやく街が見えました(最初の街まで14話・・・)
別に初夜とかそんな話じゃないですよ!
っと、誰に突っ込んでいるんだおれは・・・
パチパチパチッ
目の前でたき火の薪が音を立てている。
街までは、まだ距離があるようで、到着の気配が全くしてこないし、すっかり日も翳ってしまったため、今晩は野宿をすることにした。
街道から、少し離れた開けた空き地にたき火の跡を見つけたのをいい機会に、そこで夜を明かそうということになった。
今、おれは、木の幹にもたれかかって火の番をしている。
横には、リエルがこちらにもたれかかったまま眠っている。
食事を簡単に済ませた後、寝ずの番をすると言い張っていたものの、交代制ということにして、リエルを先に眠るよう指示をしたら、横になったとたん、あっという間に眠ってしまった。
やはり、疲れていたのだろう。
こうして改めて見てみると、身体つきも華奢で、触ったら折れてしまいそうな気がする。
奴隷としての生活について詳しくは、部屋に閉じ込められてろくに運動もさせてもらってなかったと言っていた。
この世界で、おれもちゃんと生きていけるかはまだわからないが、大人として、リエルがどこか安心して暮らせるところを見つけられるまでは、なんとか面倒を見てあげようと思う。
すっかりこちらを信用して、気持ちよさそうに眠っている。
その絹のような髪の毛をそっと撫でてやる。
きっと妹がいたらこんな感じなんだろう。
やましい気持ちを起こさないように、固く決意するとたき火の番にもどる。
足元では、黒いトカゲが丸くなって眠っている。
ずっとバックパックに詰めておくのもかわいそうになり、キャンプをすると決めた時に鞄から出しておいたのだ。
爬虫類にしては、賢いようで、非常に大人しい。
食事に関しては肉が好きなようで、地竜の肉を与えてやると、自分の身体ほどの大きさの肉をぺろりと平らげてしまった。
名前をつけてやろうとしたのだが、「クロ」っていう素敵な名前を付けてやろうとしたら、お気に召さないのか、噛みつかれたのでまだ名前は決まっていない。
とりあえず、クロ(仮称)と呼んでおこう。
そのクロ(仮称)は、食事を与えた後で、リエルが寝たのをみると、こちらも丸まって眠ってしまった。
見張りとたき火の番をしているが、生き物の気配は全く感じない。
話し相手もおらず、やることもないので、今日あった出来事を報告用にまとめておく。
報告については、あの後、スマートフォンでしてくれと、イシュアちゃんから追加連絡のメールが来たので、今はチマチマとスマートフォンの小さな画面に文字を打ち込んでいる。
うーん、ノートパソコンくらいは欲しいぜ・・・
今のところの話し相手はリエルしかいないわけだけど、色々と行動を見ていると、やはりリエルが奴隷だったということがわかる。
この世界のことなど、知識の面ではかなりのものがあると思うのだが、実践については全く何も知らない感じだった。
たき火をしようと思って集めた薪に魔法で火をつけるように言っておいたのだが、
集めてきた薪すべてを山盛りにして一気に火をつけた時にはどうしようかと思ったよ、本当に・・・
ちなみに、リエルはエルフなので精霊魔法が使え、一応すべての属性の魔法が使えるらしい。
料理をさせてみても、地竜の肉に棒を突き刺して豪快に焼くといったもので(しかも、すべて炭化させた)、料理を含め家事については全く期待できないだろう・・・
そんなことを思いだしつつ、今日の出来事をあらかたまとめ終わった。
我ながら、山を破壊したくだりはどうかと思ったが、いろんなことがある一日だった。
少し冷たくなった風が身体を撫でていき、リエルが小さく動いて毛布を引き寄せる
「静かな夜だな・・・」
その後も、動物や魔物などは、火を恐れているのか、全く近寄ってくることもなく、静かに夜が更けていった。
夜明けが近くなり、空が白んできた辺りで、リエルを起こして火の番を代わってもらう。
リエルに、3時間程度で起こすように言って、ようやくおれも眠りにつく。
おやすみなさい・・・
・・・
ユサユサ、身体が揺すられる。
「・・・さま、・・カサさま・・・」
「う~ん、あと五分・・・」
・・・
昨日寝るのが遅かったからか、なかなか起きれない。
毛布は木漏れ日を浴びて温かく、抱き枕も人肌で温かい。
まだ、しばらくは惰眠をむさぼりたいので、抱き枕をしっかりと抱えこむ。
「・・んっ・・・」
小さく声が漏れる。
ん?聞こえた音に、うっすらと目を開ける。
目の前には布の隙間から見える肌色が視界に入る。
両手から確かに伝わってくる温もり。
「おはようございます、ツカサ様。」
そして、上から聞こえてくる冷ややかな声。
そっと、窺うように視線を上にやると、リエルがおれに拘束されたままの不自由な体制でこちらをじっと見つめていた。
「お目覚めになられましたか?」
どうやら、おれを起こそうとしたリエルを押し倒し、抱き枕にしたままで2度寝をしていたらしい・・・
「ご、ごめん」
反射的に謝ると・・・
「いえ、お疲れのようでしたし、特に問題ありません。なかなか離していただけず、用を足しに行きたかったのですが、行けなかったくらいでしょうか?では、そろそろ、離していただけますか?」
リエルは、無表情で淡々としゃべっているのだが、目が怖いです先生。
やはり腹を立てていたのか、少し頬に朱がさしている気がした。
慌てて両手を離し立ち上がると、リエルも起き上がり、すっとさがって、おれから一歩距離を取ると、洋服の乱れを直している。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・気まずい
「では、少々外します。」
そういって、リエルは、繁みの奥に向かっていった。用を足しに行ったのだろう。
大か小かわからないが・・・いや、想像するのはやめておこうう。
ぼーっと、リエルの消えていった方を見ていたが、ようやく何をやっているんだと我に返り、遅ればせながら出発の準備を始める。
太陽は高くなっており、スマートフォンで時間を確認するとすでに正午は過ぎているようだ。
眠りについたのが5時ごろだった気がするので、結局なんだかんだで7時間ほど寝たことになろうか。
「う~ん、異世界にきても、いつもどおりか・・・」
おれが起きたことを確認したクロ(仮称)がバックパックを食事をよこせとひっかいていたので、アイテムボックスから地竜の肉を出して、ナイフで切って与えてやる。
食事は基本的に、馬車に積んであった携帯食料を中心としているが、あの後、自分で地竜の肉を焼いて食べてみたところ、かなりの美味だった。
爬虫類(?)とは思えぬほど、脂がのっており、淡泊なのだが、濃厚な味で、和牛で表現するとするとA5級といって過言ではないだろう。
地竜の肉は、解体しやすい部分は大目に取ってきたが、その他の部分はばらすのも面倒くさくてかなり部分は放置してきてしまった。
正直こんなにおいしいと、馬車の携帯食料をもっと少なめにして、がんばって解体をしていればよかったと悔やまれるほどの味だった。
そうそう、アイテムボックスに入れているものは、どうやら痛まないようで、地竜の肉もまったく乾燥などしておらず、みずみずしいままだった。
リエルが戻ってきたので、携帯食料と火で軽くあぶった地竜の肉を食べさせる。
そして、たき火を消して、毛布をバックパックにしまって出発の準備をする。
おれも、(リエルとは違う方向にいったが)用を足しにいったが
トイレットペーパーの代用品は葉っぱくらいしかなく、早くも文明の利器がほしくなったことをかなりの余談ではあるが、話しておこうと思う。
食事を終えてまた丸くなって眠ろうとしていたクロ(仮称)をバックパックにしまうと、おれとリエルは再び、アステリアを目指して歩き出した。
途中に何度かリエルの体力を考慮して休憩をはさみながら、5時間ほど歩いただろうか。
森をやっと抜けたところで、丘を下ったところに、周りを大きな壁で挟まれた街、アステリアをとうとう視界に収めることができた。
日間ランクがなんと3位まで来てました!!
お気に入りにしていただいた方も2000人を超えてありがとうございます!
仕事も始まって若干ペースが遅れるかもしれませんが、GWを消費して10話分くらいはストックを稼いでいるので、しばらくは毎日更新できそうです。
いろいろ至らないところもあると思いますが、引き続きよろしくおねがいしますっ!!
@YoHozukiで、更新の気配など呟いてます!という宣伝(笑)
「お目覚めになられましたか?」
で一度切ろうかなと思いましたが、短いようにも感じたのでちょっとのばしました。
1話2000字~3000字目安ってとこですかねぇ??
(話数修正しました)
あと、段落の頭を一字あけ、
あえてこまめに改行してましたが、一文続けるようにしました。どっちが見やすいですかねぇ?(好みな気もしますが)
いろいろツッコミありがとうございます。
ミスが多いのは性分のようでした、お付き合いいただければ幸いです!
ツッコミをいただいたので、表現ぶり訂正しました!
リエルにいい主人がみつかるまでは
↓
リエルがどこか安心して暮らせるところを見つけられるまでは