8,明かされた真実〜新一編〜
ガチャリ
ドアのノブをまわし、ゆっくりとドアを開けて、新一は工藤邸に足を踏み入れる。
「ただいま〜」
「おかえりぃ〜新ちゃん」
「おぉ新一、大学はどうだ?」
家の入った瞬間に新一に向かって一直線に飛んでくる、言葉、言葉、言葉。
新一は、思いっきり顔をしかめた。
といっても、そんな新一の顔は優作と有希子には見えていない。
なぜなら2人は、リビングにいる為。
新一はまだドアから続く廊下を歩いているのだから。
「は〜いおかえり」
リビングに続くドアを開けると、改めて有希子がVサインをしながら言葉を放つ。
優作はというと、新一の顔をひとめ見たとたんにクスクスと笑い出した。
「へ?なっ、何笑ってんだよ」
「ククク……新一も見るがいい、コレ」
優作は今もクスクス笑いながらコレを新一に手渡した。
「あん?」
受け取った瞬間、新一の顔が青ざめる。
そんな時には、優作は我慢できずにアハハハと大笑いをし始めた。
優作から手渡された物は、紙だ。
ペラペラのたった1枚の紙だった。
「こ、こ、これ、れこ、俺が小学1年生の時の………」
「はっはっは、新一。動揺しているぞ。いつものポーカーフェイスはどうした?ポーカーフェイスは♪しかも、れこってなんだ、れこって」
新一は、その紙をじっと見つめながら悔しそうな表情をする。
「新一、中身は見ないのか?そぉかそぉか、父さんに読んで欲しいんだな。よぉし分かった父さんが読んでやろう」
優作はそう言ってパッと新一から紙を奪い取った。
「わっおい返せっ!って読んでくれなんて一言も言ってないしっ」
「まぁまぁまぁ、落ち着け新一」
有希子は2人のやり取りを見てクスクス笑いながら、紅茶を口に入れた。
窓がカタカタと揺れた。
「よぉし、読むぞ」
優作はそう言って1回咳払いをし、ノートの1ページ目を開いた。
「どれどれぇ……。おっ作文みたいだなぁ。
−1ねん生の おもいで− 1年A組工どうしん一
ぼくが、1ねん生で一ばんたのしかったのは、友たちのみんなととんくり
をひろったことです。
それから、木にのぼったことです。
木にのぼったときは5回くらい、おちそうになりました。
でも、おちませんでした。
そのときぼくは、おれはなんてつよいんだ!!とおもいました。
2ねん生になっても、つよいといいです。
ほかにもおもいではたくさんあるけど、ここまでにしておきます。
とてもたのしい、一ねん生でした。
だってよぉ〜新一♪」
「良いじゃないの新ちゃん、可愛くてぇ♪」
「良かねぇよ!!」
新一は思いっきり有希子を睨みつける。
「ハハハ、新一。これ文字が間違ってるぞ。友達<トモダチ>だろ友たちになってるぞ、点が無いぞ。おっ、どんぐりもとんくりになってる。ハッハッ、文章力ないじゃないか」
優作はケラケラ、ケラケラと笑う。
「う、うるさい!」
「まっ、良くここまで成長したもんだな。新一、偉いぞ」
「んなこと言われたって嬉かねーよ」
新一はフンッと鼻で笑う。
「あっ、そうだ母さん。今日大学で会ったよ。」
「会ったて誰に?もしかして、有名人とか!?やぁ〜気になるっ誰だれ?」
勝手に盛り上がる有希子に苦笑しながら、新一が続けた。
「クロバ カイト だよ」
「えっ!?あ、あの……快斗君?」
「さぁ……」
新一はそういうと、快斗と話したことを具体的にまとめて話した。
新一が話し終わると、有希子は得意げな顔をして言った。
「ふぅん、、そのクロバカイト君はどう考えても、明日考えても、あの黒羽快斗君ね」
「明日ってなんだよ……ってかその黒羽ってヤツは違うっつってんだぜ?」
今も得意げな顔をしている有希子に向かって、新一は大げさにため息をついた。
「もぉ、何ため息ついてるのよ!絶対、絶対そうなんだからぁ」
新一が何かしゃべろうと口を開いた瞬間に、今まで黙っていた優作が口を開いた。
「なぁ、有希子。根拠はなんだ」
「こ、根拠?そ、そ、そんなの決まって……」
有希子は、数秒の間を空けてから叫ぶように言葉を解き放った。
「女のかんよ!!」
「これだよ」
新一と優作は、苦笑いを浮かべる。
(俺の母さんって、こんなに変な人だったっけ?)
こんなことを考えた新一は、自分に苦笑しながら足早に部屋に向かった。
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