8話目~。仕事の都合で間が空きました。その間に総合ポイントが100超になってました。ありがとう! 愛してる!!
今回は短めの4000文字程度。誠に申し訳ありませんが戦闘はなし。ゴメンね!
第8話 騎士たちの実情
―Side アーネスト―
「完全に言い負かされてしまいましたな、中佐殿?」
彼らが執務室をでていったあとで、俺の傍らに立つボルトがからかうように言う。
「…いや、まったく彼の言うとおりだったな。俺もそろそろ引退か…」
「わはははは。何を言われますか中佐。あなたが居なくなったら、誰が竜騎士部隊を指揮するんです? …当然ですが、私は辞退させていただきますぞ」
「ふっ、案外あのハンター君に任せてしまえば、全て上手くいくかも知れんぞ?」
「ですが、それはあくまで魔獣との戦闘に限られるでしょう。…やはり、もう少し中佐には頑張っていただかねばなりませんな」
「分かっているよ。飛竜にまたがることができる間は、空を飛び続けたいものだ」
同感です。とボルトが続け、少しの静寂。…俺は、机の上に置かれた書類に目をやる。
「しかし、トライホーンか。彼が現れた後で確認されたのは、僥倖といえばいいのか…」
「…私は、幸運だと思っております。もしあの男が討伐に成功した場合、その死骸を解剖して弱点を突き止められましょう。それさえ分かってしまえば、帝国軍だけでもあれを倒すことができる。――二度とあのような事故を起こすような作戦はとられないでしょう」
ボルトは、あの事故で大きなものを失った。…何かあったことはハンター君も気づいているだろう。
「彼は、お前からトライホーンの情報を引き出そうとするだろう。…その時は、協力してやってくれ」
「無論です。あの化け物を倒せるのなら、なんだってしてやりますよ」
そう、帝国の民のためにも、この男のためにも、ぜひとも成功させてもらいたい。彼はこの作戦をテストだとしか思っていないだろうが――
「君への期待は、思っている以上に大きいものなんだぞ、ハンター君?」
―Side アーネスト End―
* * *
「もぐもぐんぐんぐ…じゃ、早速だけど竜騎士の対モンスター戦での戦い方を知りたいんだが」
「………………」
「ん、どうした、2人とも?」
基地内の食堂に移動した俺たち3人は、やや遅めの昼食をとりつつ、作戦会議をしていた。ちなみに俺の目の前にあるのは、この食堂で俺が注文する“いつもの”―すーぱー特盛10人前SP―定食だ。…どうも、それを見てシルヴィアとバーナード君は絶句しているようなのだが…
「あのさ、そんなメニュー、この食堂にあったっけ?」
意を決したように、バーナード君が質問してきた。
「いや、無かった。だから、直接料理長にかけあって、作ってもらった」
まあ、タダ飯喰らいの分際で、って思われるかもしれないが、それはそれ。俺は食に関しては極力妥協しないことにしているのだ。…料理長は、それで精一杯です、って泣きそうな顔してたけどな。
「…どこまでも非常識だよね、君」
「ほら、そんなことどうでもいいだろ。時間がないんだ、早いとこ始めよう」
話を強引に終わらせて、シルヴィアに説明を促す。
「…えー、わが帝国軍竜騎士の戦い方は、飛竜のスピードを生かした高起動戦法、一撃離脱を基本としております。今回のような地上の目標に対しては、高高度から急降下し、竜騎士専用の兵装である“竜騎槍”での一撃を与え、再び急上昇。この一連の流れを多数の竜騎士が行って、ダメージを蓄積させて倒します」
「竜騎槍…ゲイボルグか?」
「は?」
「いや、なんでもない。こっちの話。…その竜騎槍ってのは、どのぐらいのリーチを持ってるんだ?」
槍だから剣よりは長いと思うんだが…
「そうですね…最大で20mほどかと」
「何ぃ!?」
おいおい、どんだけ長い槍なんだよ! そんなものがあれば、それこそ反撃されない距離から延々と攻撃しつづければいいじゃないか。
「あー、たぶん君が想像している槍とは別物だと思うよ?」
ここでバーナード君からの補足が。…俺の思っているものと違う?
「…どういうこと?」
「竜騎槍は魔法兵装の一つなんだよ。先端部から圧縮された魔力を放出して、それを相手に突き刺してダメージを与える。使用者が魔力を込めれば込めるほど威力が増すんだ」
ふーん…ガンランスみたいなものか。
「たいした武器だな。20mも離れた位置から魔法で攻撃できるんだろ?」
だが、そこでバーナード君は首を横に振る。
「最大射程は20mってだけ。そこに届くまでに威力のほとんどが減衰してしまうんだ。鎧を装備した人間に攻撃を貫通させるなら10mが限界。この前のグランドワームの表皮を貫こうとするなら5mまでだ」
なるほど…どっちかっていうとボウガンだな。それも近距離で撃たなきゃ通らない欠陥品だ。…本当、この世界の対モンスター技術は俺の世界に比べて遥かに低い。
「今回の獲物…トライホーンにダメージを与えるには、どれほどに接近する必要がある?」
少々お待ちを、とシルヴィアが資料を確認している。…やがて、目的のデータにたどり着いたようだが、その表情を見るにいい結果ではなさそうだ。
「過去の戦闘におけるデータによりますと…1m以内。ほぼ零距離に近い位置で無いと、かの魔獣の表皮貫通にはいたらないようです」
思わず呼吸が止まってしまった。それじゃあ、彼らの武器では文字通り歯が立たないではないか。
「…一応訊いておくけど、他の武器は?」
「近接戦闘用の片手剣がありますが…魔獣相手には役に立たないかと」
「補助兵装的なものはあるか?」
「僕たちに支給されているのは小威力の炎、風、電撃魔法がそれぞれ込められた魔法石が2つずつと、緊急脱出用の転送魔法石が一つ。あとは…通信魔法石1つってところかな」
「その…小威力ってのはどの程度のものなんだ」
「2mぐらいのサイズの魔獣に使ったことがあったな…ダメージはあたえられるけど、致命傷には至っていなかったと思う」
「我々は、これらの魔法石はサバイバル用だと教えられました。火をおこしたり、高所にいる鳥を打ち落としたりなどです」
うーむ…。ますます俺は唸ってしまう。つまり、竜騎士の武器とは竜騎槍1本だけということだ。なんというか――
「お前ら、よくそれでこれまでモンスターと戦って生き延びてこられたな。本当は俺より強いんじゃないかぁ?」
「…これでも、マシになったほうなのです。先代の隊長…私の祖父に当たる方だったのですが、その方が竜騎士の対魔獣戦法を発案されるまで、魔獣の相手といえば陸戦兵のみでしたから。…勿論、飛竜の相手は当時から竜騎士の役目ですが、凶暴な飛竜からは逃げる、というのが基本でしたし…」
俺の皮肉に、シルヴィアは苦い顔で応えた。…ごめん、いじめたいわけじゃないんだ。
「まあ、あとで竜騎槍の実物を見せてくれ。戦い方はそれから考えよう。…最後に、怪我の治療なんかの方法を聞きたいんだけど…」
実は、俺が一番聞きたかったのはこれである。砂漠での一件で、持っていた回復薬などの治療アイテムはほとんどを水分補給に使ってしまっていたからだ。
「自然治癒力を活性化させる魔法がこめられた魔法石を携帯することになっています。それである程度の傷は治せるのですが、目に見えて大きいとわかるような傷は、魔法兵でなければ治療するのは難しいです」
「ん? 魔法兵…」
どこかで聞いたことがあるな、と首を傾げるが、シルヴィアはその魔法兵を知らないのだと解釈したのだろう。…実際知らないんだが。簡単に説明してくれた。
「魔法兵はその名の通り、主に魔法で戦闘を行うものたちです。前衛魔法兵と後衛魔法兵にわかれており、前衛は攻撃魔法、後衛は補助、治療魔法を担当します。…帝国軍規で、前衛魔法兵は男性のみと決められています」
最後は、おそらく彼女の感情から出てしまった蛇足だろう。…どうも、この帝国は男性上位社会らしいな。ハンターには男も女も関係なかったもんだが…。
「うーん、今のところはこんなもんか。明日、改めて戦闘時の動きを詰めるとして――」
俺はこのとき、何気なく机の上に目をやっていた。そこで偶然目に留まった、ある調味料のビン。
「まず、バーナード君。君に任務だ。…ボルトのオッサンのところにいって、三本角の情報をもらって来い」
「大尉のところに?」
「ああ、あのオッサン、なんか知ってる素振りをしていたからな。…ただ、あまりいい思い出じゃなさそうだったから、慎重かつ、大胆にいけよ?」
「難しい注文をするねぇ…」
どんなものが出てくるかは分からないが、今はできるだけ多くの情報を手に入れたい。ボルトには悪いが、過去の傷をほじくり返させてもらおう。
あと、もう一つ。
「それと、魔法兵を一人借りてこよう」
「うん、それは確かに必要だと思う。もっとも、治療が必要ないのに越したことは無いけど」
「しかし、ハンター殿、当てはあるのですか?」
「ある。…俺の、この世界での数少ない知り合いの一人だ。ま、駄目だったらアーネストに泣きついてやるさ。…じゃ、バーナード君。仕事が終わったら武器倉庫に来てくれ。竜騎槍とやらの性能を見てみたいからな。――では、解散!」
俺の脳裏には、あの調味料が空をフワフワ飛ぶ映像が映し出されていた。
次回あの子が仲間入り。メインキャラの一人だったんですね~。
ともかく、これで4人。モンハンのパーティ規定数と同じ数になります。
実は、今話もいつもと同じ分量を書きたかったんですが、どうにも上手く筆が進まないのでとりあえずここで切ることに。
書いてる感じからして戦闘シーンは次々回かな?
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