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今回でやっと本当のプロローグが終了って感じです。文才無いから纏めれないのですよ・・・。今までシリアスっぽかった分、次からはどうにかしてギャグを書いていけれればいいなと思います〜
幻想に惹かれた者達
神としての在り方
彼の瞳が私を捉える。
それは流れる様に諏訪子、早苗へと伝って行く。
先程の迷いと憂いの籠った瞳ではなく、決意の瞳。
それに思わずどきっとしてしまうが、直ぐに気を引き締める。

予感がする。
今からする話は軽い気持ちで聞いて良いものではない、と。
陳腐だが、虫の報せや女の勘みたいなものだ。

『………話してくれ』

こちらも決意の下聞いたのだ。
生半可な気持ちではない。

他人を知ることは、簡単だ。
問題はそれを受け入れる事。知ったからにはそれを受け入れる義務がある。

相手の深く深くを知れば知るほど、その因果からは抜けだせなくなる。
それから逃げることは、相手を否定すると同時にそれに関わる全てを否定する事と等しいからだ。
それでも逃げる様な自分勝手な存在は、怨みや妬みを買われてもなんらおかしくはない。
彼は仮に私が逃げたとしても、そんな事はしないだろう。寧ろ話した事に対しての謝罪が来るに違いない。
そうじゃなきゃ、あんな哀しそうな顔で嘘なんか吐けない。
それは、お互いにとても辛いこと。

だから私は、彼の話す事柄全てを受け入れる覚悟をする。神様だからどうとかではなく、いち幻想卿の住人として、すべてを受け入れる覚悟を。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


あれから一時間、既に夕陽は殆ど沈み、宵闇の時間が訪れる。

彼は総てを話してくれた。
いや、それが本当に総てかは分からないが、それでも彼を知るには十分すぎた。

始まりと思われる、無限の赤。
そこで養子として衛宮切嗣なる人物に助けられた事。
彼が呟いた正義の味方になりたかったと言う夢を引き継いだ事。
切嗣が死に、彼が教えてくれた魔術なるものを独学でひたすらに鍛錬し続けた事。
高校生になったとある日、サーヴァントなるものを目撃し、殺され、凛と言う人物に助けられた事。
彼自身もサーヴァントを召喚し、聖杯戦争なるものを終わらせるべく、魔術士同士の殺し合いに身を投じた事。
聖杯戦争を終え、正義の味方で在り続ける為に、ありとあらゆる所で使命を果たしている時、本来救えない筈の存在を世界と契約した事で救った事。
そんな彼の最期は、救いを与えた存在の裏切りだった事。
世界と契約した彼は二度目の生を都合の良い掃除屋として扱われた事。
それを行なっていく内に、全てに否定的になり、そんな自分自身を呪った事。
なんの因果か、彼は昔助けられた存在の凛にサーヴァントとして召喚された事。
しかも召喚されたのは過去―――かつて身を投じた聖杯戦争の時に凛のサーヴァントとして共に闘っていたアーチャーとして召喚され、それと同時にかつて正体も何も分からなかった彼の正体も知る。
彼はそれを理解し、過去の衛宮士郎がもし自分の様に成り下がるならば、殺してしまおうと考えていた事。
そんなある日、運命をねじ曲げるの為に全てを裏切った事。自分のマスターである凛でさえも。
マスターのいない状態で彼は闘い、士郎との闘いの時には最早魔力にも限界が近づいており、それで尚彼は闘った。若かりし別人の自分からの答えを得る為に。
最終的に、彼は憎んでいた自分自身と、裏切ってしまった少女によって救いを与えられてしまった事。

少女は望んだ。
エミヤシロウが幸せになる事を。
こんなにも赦せなかった自分自身への償いはそれしかないと言わんばかりに。
愚直にただただ己だけを呪い、これからもそう生きていくのが、少女には耐えられなかった。
エミヤシロウはこんなにも、誰かを救ったのに、そんな彼自身が救われないなんてのは間違っている。
そう思ったから。
そして彼は、その願いを聞き入れた。

―――これで話は終わり。
途中分からない部分にも事細かに答えてくれた。
サーヴァントとは、マスターとは、聖杯戦争とは。
それらは、私の予想なんかに及びつかないものだった。

そして彼の話を聞いている内に沸き上がる感情。
怒り。
悔しさ。
悲しみ。

噛み締めていた下唇が、音を立てて血を流す。

『おい、大丈夫か!?』

そんな心配してくれる彼を尻目に、私は彼の胸ぐらに掴みかかる。
その様子に、諏訪子も早苗も驚いただろう。

『お前はっ………どうしてそんなに……!!』

どうしてそこまでされて、彼は未だに人を信じていられる?
一度絶望した世界に、どうして希望を見い出せた?
―――何故、これまで話していた時の表情が、あんなにも穏やかだった?

『――――――ッッ!!』

突き放す様に彼の胸ぐらを解放する。
気付けば私は涙目になっていた。

そして何故こんなにもムキになっている?
これ等は全て過去の出来事。私が彼に当たった所で何も変わりはしない。

胸が、ちくりと痛む。
あれは一人の人間が背負って良いものではない。
彼の正義の味方で在りたいと言う信念は、かなりのものだったろう。
それが崩れるというのは、生半可なものではない。それは心に掛かる負担も然り。

彼がそうなってしまうのは、必然だったろう。
寧ろそれでも精神が壊れなかっただけでも凄い位だ。

彼の精神は、己を呪い続けることだけで保たれていたのかもしれない。

自分自身を殺したところで幾度となく甦るその身体。
それが彼に与えられた罰の欠片。
等感覚で額に落ち続ける水滴は、人間を容易く崩壊させる。
彼は、それと何ら変わらない立場にいるに等しい。


世界に絶望してもその世界に囚われ続けた青年は、何を思っただろう。
人間の奥底にあるどす黒い感情に蝕まれた青年は、何を感じただろう。
理想の果てに現れた現実を突き付けられて青年は、何を嘆いただろう。


口や文章なんかで伝えれる事なんて限りがある。
状況を説明するには十分だが、その時に感じた感情なんかは、上辺のカタチなんかでは到底想像もつかないもの。
だから私のこの感情なんかは、彼のものに比べれば児戯に等しいものなんだろう。
その事実を突き付けられた様で、やり場の無いこの憤りを爪が食い込む程に拳を握り締めることで抑える。

神だなんて大層な事言われてるけど、所詮こんなもの。
目の前の青年の言葉をただ聞くことしか出来ない、無力な存在。
これなら、神なんてものはただの偶像だと言われても仕方ない事。
外の世界での信仰が薄れるのも、当然よね。

『神奈子………』

諏訪子が心配そうにこちらを伺っている。
それもそうだろう。私がここまで感情的になったのは、随分と昔の話だ。

神は常に毅然とあるべし。
神は常に大局を見据えるべし。
―――神は常に大衆の為にあるべし。

私は自分の存続を優先して幻想卿へと行き着いた。
そしてぬくぬくとした毎日を送っていた。
―――外ではこんなにも手を差し伸べるべき存在が居ることも気付かずに。

『くそっ―――!!』

堪らなくなり、地面に拳を殴りつける。
何度も何度も、ただひたすらに。

そのボロボロになった手が、ふと温もりに包まれた。それは、エミヤの両手が私の拳を優しく包んでいたからだった。
決して優しく、でも決して逃そうとはしない、そんな力強さ。

『すまない―――そして、ありがとう』

それは、我が生涯で最も堪えた言葉となった。

泣くことは出来ない。
泣いてしまえば、彼をまた苦しめてしまう。
彼は最早そんな苦労なんかしなくて良いんだ。
今にも泣き出しそうな表情を隠す為、私は暫くうつ向いたままで過ごす。
彼の手の暖かさが深く浸透する錯覚に身を委ねると、不思議と安心した気持ちになっていった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


『すまないね。みっともない所を見せて』

先程まで少女の様に震えていた彼女は、今は落ち着いた様子だ。

『いや、私なんかの為にそこまで感情的になってくれて正直嬉しいよ』

正直な感想を言う。
会って間もない相手の為にあそこまでするなんてのは、そうそう出来るものではない。
純粋で、強い心を持っている。

『それはそうとエミヤ。こんな遅くまで付き合わせてしまったんだ。今日はここに泊まっていきなよ』

神奈子のその言葉に、ハッとする。
そしてそれは早苗も同じだった様だ。

『どしたの早苗?』

諏訪子がその変化に反応する。
淡々と話を聞いてるだけの二人だったが、彼女達は私の話を聞いて何を思ったのだろうか。
聞く権利なぞ無いのは分かっているが、心配になる。
こんな話をして、不快な気分にさせてしまったのではないか、と。

『実はその……アーチャーさんの泊まる件についてちょっと』

『なんだ、こいつが泊まる事に不満でもあるのか?』

『いえいえ!そういう訳ではなくてですね………。実は、お二人がいない間にこちらで勝手に泊める様に勧めてたんですよ』

人差し指を合わせて気恥ずかしそうに上目遣いで神奈子達の顔色を伺うその動きは可愛らしかった。

『ならいいじゃないか!諏訪子だって異論はないだろ?』

先程とは打って変わって豪快な声が響く。

『まぁ私はいいけどね〜。と言うかシロウに行く宛なんか無いだろうし、一日とは言わず暫く泊めてあげたら?』

『それはいいな。よし、決定だ!』

会話の中心を放置してとんとん拍子で話が進んでいく。
長年の経験から、こんな状況では何を言おうと無駄なので、黙ってその様を見守っているしかない。

気前が良いのか、只のお節介か。何にせよ有難いことに変わりはない。幸いここは私の居た世界とは異なる為、常に神経を研ぎ澄ましている必要はない。
サーヴァントという身でも、疲れはする。
とは言っても、一般の人間を基準にしたら、1週間以上神経を常に研ぎ澄ましていても平気という時点で、疲れ知らずと思われても不思議ではないのだが。

そして一番気になるのは、自分は今どう生きながら得ているのかと言う事。
アーチャーのサーヴァントである私は単独行動のスキルがある為、魔力供給対象と繋がりがなくても身体は保っていられる。
しかし今の私はマスターのいない状態。
いつ消えても何ら不思議ではないのだ。
下手に動くと危険な状況では、拠点を築くのが最善の身を守る方法だろう。

何より彼女達の好意を無下にはしたくない。
下手に一人で行動する道を選んで心配される位ならば、目の届く範囲にいた方が気を張らなくても済む。

少し過剰な気もするが、彼女達を巻き込んだ以上、無駄死には出来ない。
そして何より、凛の為にも。

『よしっ!なら今日は飲むぞ〜!早苗!酒持ってきな!』

『は、はいっ!』

早苗はそのまま部屋を急いで出ていく。
その様子を見ていたほんの刹那で、神奈子は側面から私の肩に腕を回す形で抱きついてくる。

『これからよろしくね、シロウ』

彼女の笑顔は、とても無邪気なもので、こちらも自然と優しく微笑んでいた。

『よろしくっ!』

この輪に諏訪子も入って来る。
純粋に今を楽しんでいるその姿は、彼女達が神であることを忘れさせる。

『やれやれ、今宵はこれからということか』

早苗が日本酒と思わしき瓶と釈を乗せた盆を運んできたのを確認し、月明かりに目を向ける。
三日月の光が私達を視ている錯覚を覚えさせる。

初めて出会ったのが彼女達で本当によかった。
ここでなら私の答えが見つかるかもしれない。
そんな根拠もない予感が、今の私への最高の肴になりそうだった。

第四回はロリ人妻の洩矢諏訪子の紹介を。

洩矢諏訪子<もりや すわこ>
種族:神霊(実体有)
能力:坤を創造する程度の能力
二つ名:土着神の頂点

見た目:諏訪の神は蛇で、蛙を生贄にする神事であることから、敗者である洩矢が蛙という扱い(公式設定)
壷装束<つぼしょうぞく>や市女笠<いちめがさ>といった、平安期に女性が徒歩で外出する際に着たものを愛用している。
市女笠には蛙の目玉がついており、二次創作ネタで、最早別の生き物として扱われてる場合が多い。

性格:見た目はあれでも中身は大人なので、子供っぽい雰囲気はない。だがたまに見せる子供っぽい台詞や動きが、母性本能を擽る。
あーうー。

彼女は、祟り神ミシャグジを統括する存在である。
祟り神は丁寧に祭れば強力な守護神となり、大きな恩恵を授かることができる為、信仰は意外とあったりする。

坤<こん>とは八卦<はっけ>で 地 を表す。
風神である神奈子は 天 を表す乾<かん>。

坤は母、婦徳、補佐役、鈍重、大衆、迷いなども意味する。


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