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こう言った文章を書いてると、自分で何書いてるか分からなくなります。よって細かい事は深く考えないで読んだ方が楽しめるかと思います(笑)
幻想に惹かれた者達
エミヤシロウ
神社の裏にひっそりとあった一軒家の茶の間に私達は集まっている。
この家は決して小さくはないが、それは家同士で比較した場合で、大規模な神社と比較しては霞むのも仕方ない。

『さて、説明の前に自己紹介するわね。私は八坂神奈子。さっき神を否定してたけど、早苗は嘘は吐いてないわ。簡単に言うと、私は山を司る神よ』

注連縄の女性が、そう答える。

『そして私がこの神社―――守矢神社って言うんだけど、ここの祭神で土着神の洩矢諏訪子。因みに神奈子は天津神っての』

帽子の少女が無邪気な笑顔でそう答えた。

『私はアーチャーだ』

特に説明する事もないので、簡潔にそう述べた。

『アーチャー……弓兵ね。因みにそれは本当に実名?俄には信じられないわ』

『残念だが、真実だ』

私がサーヴァントである限り、衛宮士郎が存在する限り、私はエミヤシロウと名乗る事は出来ない。

『嘘ね』

ぴしゃりと神奈子が否定する。

『普通の人なら誤魔化せるでしょうけど、こっちは大衆を見守る神よ?あんた、嘘が下手な訳ではないけど、分かりやすいよ。―――本当に嘘を吐きたいなら、そんな哀しそうな顔をするな』

私は、何も言えなくなる。
確かに私は嘘を吐くのは嫌だった。
しかしそれは誰にも迷惑をかけたくないから行なってることであり、無意味なものではない。

―――でもまぁ確かに、名前に関してだけはこちらの我が侭なんだろうが。
彼と私は別の存在ではあるが、本質的な部分や根源は何も違わない。
本物や偽物という感覚以前に、双子と言う考えの方がまだ理解しやすい。

彼と私は、未来というパズルから分離したひと欠片のピースでしかない。
それひとつでも個と成り得るが、全てを填めることでも個と成り得てしまう。
簡単に言ってしまえば、個としての存在が曖昧なのだ。

衛宮士郎と言う完成品の中に紛れた、エミヤと言う偽りのピース。
それは決して完成品の中には混じれないが、完成品の中に紛れる事で填まる可能性が生まれる。
その可能性の産物が英霊エミヤに過ぎないのだ。
そんな偽物が、衛宮士郎になる事を望まれるなら―――

『分かった。降参だよ。―――まったく、敵わないな』

この真名()を口にするのも久しいな。
頬を緩め、軽い笑みを溢す。

アイツの全てを認めてはいないが、それでも彼は私の妥協に行き着いた。
ならば私自身、許容してもいいだろうさ。

『私の真名はエミヤ。エミヤシロウ。
しがない弓兵さ』

『エミヤシロウ……ね。うん分かった』

神奈子が満足そうに頷く。

『じゃあシロウ。貴方の疑問を解消しちゃいましょうか』

どんと来いと言わんばかりに手を扇ぎこちらへと促している。

『ならば問おう。まず、ここはどこなんだ?』

『漠然とした質問ね。ここはあんたが住んでいた世界から隔離された場所だよ。でも別次元って訳でもない。それなりの力と奇跡を伴えば入ることは出来るのさ』

隔離された世界……。
まるで監獄と言うことか。

『だからと言って別に行動に制限が課せられる訳でもないわよ。寧ろ逆、この世界では殆どの生物が好き勝手やってるわ』

こちらの心を読んだかの様な的確な点を突いた返答が来る。

『つまりなんだ、この世界は言葉通りの自由の世界なのか』

『まぁね。でもやり過ぎるとこの世界を守る守護者みたいな奴にぼっこぼこにされるけど』

守護者、と言う言葉に少し反応する。あくまで比喩でしかないのだろうが、その言葉には少し因縁がある。
嫌でも気にしてしまうものさ。

『そんな楽園の名前―――それは幻想郷。外の世界で忘れ去られたり存在を否定された存在が集う選ばれし者の楽園』

楽園、か。
私は幻想卿とやらの実態は知らない為、取り敢えずはこの話を鵜呑みにするしかない。

『忘れ去られた存在とは、どういう事だ?』

『言葉通りよ。妖怪や異能の力―――魔法とかね。そういった外の世界で〝そんなものある筈がない〟と否定された哀れな存在のことよ』

それは何とも言い難い話だ。
妖怪は確かに史実に存在はするが、この近代その存在は認識されていない。
そういったものは夢幻の空想の存在と決めつけられてしまうのは仕方ないことなのだろう。

人間は、興味を持ちやすい生き物であると同時に飽きやすい生き物だ。
よって、大多数の人間が「妖怪はいる」と言う再認識をするまでにいかなかったそれらは、それと同時にこの世界からも消滅していた、と言うことか。

皮肉なものだな。妖怪と言う定義を決めた存在がそれ自体を否定するなんて。

問題は魔法だ。
魔術師ならば、魔法の存在は知っている。
魔術師の存在は、やはり大多数には含まれないと言うことか。
それはつまり、魔術師も異能の力として認識されたに過ぎない。

『それは神様も然り、よ。科学化の進んだ現代、私達の様な非科学的な存在は否定されてしまう。それは同時に信仰が失われることでもある』

何を想うのか、神の話になると神妙な顔つきをする。
悲しみか、苦しみか。
どちらにせよ、良い思い出はない様だな。

『信仰心が失われるということは、私達にとっては存在価値が薄まるのと同義。つまり―――分かる?』

ここまで言われたら誰だって勘づきはするだろう。
神みたいな<神秘>は、信仰を糧に存在していられる。
逆に言えば、信仰が薄まれば形を成す事も出来ない。

『消滅する、だろ?』

つまりは、そういう事だ。

『正解。私達はそれを逃れる為にここに来たって訳』

『ここに居るだけで、君達は消滅しないのか?』

それはあまりにも都合が良すぎやしないか。

『えぇ。ここはそんな普通以外の存在には快適な世界。幻想卿はすべてを受け入れる―――なんて言葉もある位だからね』

すべてを受け入れる、か。
ただのそれだけで片付けられる程都合がいいなんて、出来すぎている。

『まるで屁理屈だな』

『事実だけどね。まぁそれだけが理由って訳じゃないけど』

今まで黙っていた諏訪子が口を開く。

『こっちでは外の世界みたいに信仰が否定されてないからね。そこに早苗が頑張って布教してくれたから、私達はこんなに人間みたいに実体があるんだよ。早苗には感謝してる、本当に』

『わ、私なんか全然………一重にお二人が素晴らしいからですよ』

『謙遜するな早苗。お前は本当によくやってる』

わしゃわしゃと早苗の髪を撫でくり回しす神奈子。
その光景はまるで、姉妹の戯れだ。神と人という大きな隔たりなぞ存在しないかのように、自然に振る舞っている。
―――凄いことだと思う。神が視覚化された存在として顕現していることの驚きなんか、最早どうでもいい。
今はただ、この微笑ましい光景に頬を緩ませることしかできない。

『そうだぞ早苗〜。お前は偉い!』

更に早苗の背中から抱きつく諏訪子。
姦しくも楽しそうな空間を壊すのはいけないことではあると思うが、此方が切り出さないと話が進まない気がした。

『取り敢えず重要なことに関してはそれくらいか』

話を再び切り出すと、三人がこちらへと向き直る。

『そうか。じゃあこちらからも質問していいかい?』

『何だね』

『―――あんた、何者?』

神奈子の言葉に、場の空気が先程よりも明らかに引き締まる。
恐らく、誰もがそれを気にしていたのだろう。いや、私だって当事者なら気になる。

『それは私も思った。あんたからは邪悪な空気は一切感じられない。寧ろ善良な方に入る。―――でも、あんたの纏っている雰囲気、とても只の人間のものではない。それが気になった』

続いて諏訪子も疑問をぶつけて来る。
早苗に関しては、状況についていけず、ただ交互の様子を伺っていた。

―――言うべきなのたろうか?
彼女の言葉を信じるならば、ここには私の存在を知るものはいないし、それに巻き込まれる事も恐らくはない。
でもそれはあくまで可能性の話。
そんな僅かな可能性にすら、臆病になる。

それは悪いことではないのは分かっている。
それは同時に、他人を遠ざける事も。
他人が受け入れないものは、自分にも許容されない。自分自身のことは、他人の認識の方が正確な様に、他人が違うと言うならそれが嘘で無い限りはそれが正しい。
自己の事は、どうしても自覚しづらいのだ。
だから彼女達が話して欲しいと望むなら答えるべきなんだろう。

深い沈黙。
ほんの僅かしか経っていない時間が、無限に感じられる刹那。

『―――どうしても嫌なら話さなくてもいい。誰だって嫌なことはある』

でも、と彼女は続ける。

『出来ればいつか話して欲しい。―――あんたの背負ってる業が、私達なんかに聴かせるなんて厚かましいものでも、ね。だって、寂しいじゃん?せっかくこんな狭い世界にいるんだ。外の世界なんかより近所付き合いってのが多いのに、同じ穴のムジナなのに、理解出来ないって』

彼女の哀愁漂う笑みが、心に突き刺さる。

あぁ、彼女は本当にそう思ってくれている。
それなのに私のこのザマはなんだ。他人を巻き込むのが怖い?
そんなのは只の言い訳だ。
巻き込んで後悔するくらいなら、守り切ってみせろ。

世界が敵に回ろうとも、関係ない。
私は、本当の<守護者>になるチャンスを掴んだのだ。
すべて零れ落としても、掻き集めればいい。
―――絶対に後悔しない結果には辿り着けないだろうが、それでも私は足掻いてみせる。それが私が理解した自己の在り方。正義の味方らしさ。

未来なんてものは分からない。
ならば常に前を見据えろ。
自分自身を認める事が出来たのだ、それくらい造作もないだろうエミヤシロウ―――!!

『―――分かった。全て話そう。私がどういった存在か。今まで何をしていたか。その残酷さ、しかと焼き付けよ』

迷いの消えた瞳で、彼女達を一瞥し、私は総てを話した。
第三回は、守矢神社のお母さん(見た目的な意味で)の八坂神奈子

八坂神奈子(やさか かなこ)
種族:神霊(実体有)
能力:乾を創造する程度の能力
二つ名:山坂と湖の権化

見た目:注連縄(しめなわ)は、蛇の絡まる姿を表している。
脱皮を繰り返す蛇は、復活と再生、永遠の象徴。
諏訪子に勝った事も表している。
鏡は、諏訪大社の宝物<真澄の鏡>。
背中には御柱<オンバシラ>を背負っている。

性格:一言で言うとフランク。
気さくな姉御タイプ。
威厳たっぷりにも見えてどこか隙が多い可愛い奴。
因みにかなりの年m(オンバシラ

諏訪子との関係は、最初は敵同士だったが、今ではかなりの仲の良さを披露。

蛇とは、豊穣神、天候神として古くから信仰を集めていた。
また光を照り返す鱗身や閉じることのない目が鏡を表していることから、太陽信仰に於ける原始的な信仰対象ともなった。


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