ペルソナ3ポータブルが楽しくて更新が遅くなりました。しかもなんか中途半端です。ペルソナ3既プレイな自分でも色々と変更点があったことで飽きが来ないです。
んで、考えたんですけど。東方×ペルソナって書いて見たいなって。
―――何と言う莫迦野郎だろうか。まだこちらの小説が序盤で足踏みをしているというのに、その上新規に小説を書きたいだと?
そんな事をすればどちらかが崩壊する。中途半端な好奇心故に我が身に鞭を打つなぞ、愚の骨頂。
否、だからこそ。
好奇心とは、詰まるところ探究心でもある。自分の満足のいく小説を書きたい、皆何事もやるにして多少なりの向上心は持ち合わせている筈。
その心故に、人は成長する。
とか言ってるけど結局は何となくが発端なんすよねー。皆さん的にはどう思いますかね、考えを下さい。
『取り敢えずこの館の住人を紹介するから来て頂戴』
彼女の言葉により私と咲夜はこの館の主人であるレミリア・スカーレットの後ろを追いていく。
その歩幅は私達の半分ほどしかなく、それも本人も理解しているのか、必死に前を歩こうと早歩きに勤しんでいる姿が可愛らしい。
咲夜をちらりと覗き見る。恍惚の笑みが咲夜を支配している。レミリアを見てすっげー幸せそうにしてる。
先程までの凛とした表情は何処へやら、その緩みきった顔はそんなもの存在しないと完全に否定するようなものだった。やばい、このままじゃ咲夜のイメージが磨耗し切ってしまう。
悦に浸った咲夜の姿を記憶から抹消し黙々と歩き続ける。深夜のせいか、働いている従業員の姿を見ない。流石にこれほど大きな屋敷の中に咲夜だけが従業員と言うのは有り得ないだろう。
数分と歩いただろうか、目の前に大きなドアが現れる。レミリアはそれを軽く開けると、次に現れたのは地下へと続く階段だった。レミリアは何も言わずそれを降りていったので、それに続く。
足元を照らす程度の明かりだけが視界の拠り所で、無駄の一切を削いだ下り道を降りていく。横幅も人一人と半分程度で、まさに洋館の地下通路のイメージだ。
『今から会わせるのは私の友人でね。ちょっと人見知りが強いけど悪い奴ではないよ』
『優しいんだな。友人の第一印象のせいで悪い先入観を植え付ける可能性を考慮してフォローを入れるとは』
『………妙に難しく言ってるけど、別にそんなんじゃないわ。単に悪印象を持たれて仕事が捗らなくなったら困るからよ』
こちらを見向きもせず、淡々と話す。でも心なしかレミリアの歩幅が広くなった気がする。やはり少しはそのケはあったのだろう。動きから気恥ずかしさが伺える。
間も無く視界に大きな光が写る。それが終点だと理解するのに思考は必要なかった。
暗闇が晴れ、その代わりに視界を覆ったのは、一目じゃ数を把握しきれない程の書庫と無限とも思える大量の書物だった。ここには世界の真理すらも文献として収められているのではないか?と言う錯覚すら覚える。
地下に訪れてから、人の気配が増大する。四、五人といった所だろうか。つまりはこの館に今居るのは十人近く。館の大きさと反比例して、住んでいる数は結構少ないとは、持ち腐れもいいところだ。
『あら、お嬢様に咲夜さん。それと………誰ですか?』
本棚の隙間から体を覗かせたのは、赤い長髪の少女だった。焦茶色のゆったりとした服とロングスカートに身を包む姿からは、清楚な物腰を伺える。しかし、背中と側頭部から生えているコウモリの様な羽が、彼女が人ならざる者だと言う事を明確に伝えている。
『あぁ丁度いいわ。コイツの紹介をしたいの、パチュリーとか呼んできて頂戴』
『分かりました。すぐにでも』
その言葉と同時に身を翻し、背中の羽で器用に飛んでいく。頭の羽の用途が分からない。
『さっきのは小悪魔―――こあって言うんだけど、あれはパチュリーが召喚したサキュバスよ。とは言っても何かしら行使したらしくてサキュバスとしての特性は無くなってるけど』
『そうか。ならパチュリーと言うのが君の友人かね?』
『そう。まぁこんな所に住んでるって時点で想像はつくでしょうけど、パチュリーは本の虫ね。寄生虫もいいとこよ』
遠慮の無いその物言いの中からは、どことなく愉しげな雰囲気が現れている。信頼関係が深い証拠でもある。
『虫なんて失礼な言い方しないで頂戴。そんな本の中身すら理解出来ない様な奴等と同類なのは頂けないわ』
先程こあと呼ばれた少女が飛び去った方角から、彼女を含め四人の姿が現れる。先程のレミリアの言葉に反発した少女こそ、パチュリーなのだろう。
腰の辺りまであろう長い紫色の髪、薄紫と濃い紫の縞模様が目立つパジャマの様な服、帽子も紫のふわふわとしたフリル付きのもので、アクセサリに赤と青のリボンが右に、左には三日月が装飾されている。
そんな少女が、眠たそうにこちらへと飛んでくる。そして更に、その後ろからこあを含め三人程遅れてやってきた。
一人はこあと瓜二つで、服装も全く一緒。違いと言えばその少女のほうが背が小さく、髪はショートボブだと言うことだけ。
もう一人もまたレミリアと似た少女で、髪型は一緒、色は金、服と帽子も色違いの赤で統一されており、羽はレミリアはシンプルな蝙蝠の羽だったが、彼女は一本の枝にまるで宝石でも散りばめたかのような、羽としての用途があるとは思えない奇怪なものだった。遠目から見た雰囲気、レミリアと違い見た目相応の幼さを感じる。
『あれ、貴方誰?』
レミリア似の少女が無垢な瞳で見つめてくる。打算の一切無い純粋なその瞳は、逆に全てを見透かされているような気分にさせられる。
『あらフラン、いたの』
『うん、いたよ。パチュリーにね、面白そうな本無いか聞きにきてたの。そしたらほら』
両手で持ち上げ自慢するように見せたのは、一冊の童話の本だった。白雪姫、赤ずきんちゃん、不思議の国のアリス、有名どころの総集編。そのチョイスに納得してしまう。
『あぁ~、うん。分かった。それよりもコイツの紹介をするわ。コイツはエミヤシロウ。今日からここで執事として働くことになったの』
『執事………にしては無骨な装備してるわね』
パチュリーがジト目―――素のようだけど―――でこちらをまじまじと見つめてくる。
『あぁ、執事服ならある』
というか、創れると言った方が正しいのだが。
『そうは見えないけど………まぁいいわ。私はパチュリー・ノーレッジ。このヴワル魔法図書館に住んでる魔法使いよ』
また魔法使いか。外だと魔法使いは世界に五人しかいないから、こんな当たり前のようにポンポン出てくるのは違和感しか感じない。
『私はフラン!フランドールだよ!』
ぴょんぴょんと飛び跳ねて自己主張をするフランドール。無邪気な挙動が微笑ましい。
『まぁ見ればわかるでしょうけど、私の妹よ。少し生意気だけど仲良くしてやって』
『うわ、お姉様自分のこと棚に上げすぎ。どう見たってお姉様の方が生意気そうだと思うけど』
その言葉に頬をひくつかせるレミリア、対してフランドールは舌を出して子供染みた挑発している。
こあがフランを嗜め、レミリアは―――咲夜がいつの間にか取り押さえていた。幸せそうに。
『あ、あの………』
おずおずと目の前に現れたこあ似の少女。何かを言おうとしているのだが、少し挙動不審な様子。
『緊張しなくてもいい。もっとフレンドリーに接してくれて構わんよ』
出来るだけ緊張をほぐそうと、優しく笑いかける。しかし逆に身体が強張った様子。心なしか顔も赤い気がする。
『わ、私の名前は小悪魔です。けど、それじゃお姉ちゃんと一緒だからって、パチュリー様が私にはリトルって名前をつけてくれたんです』
俯きながら早口で捲くし立て、肩が上下に動いている。これから会話するのに毎回これだと彼女が苦労しそうだ。どうにかならないものか。
やはりどうにかして親しくなるしかないのか。でもこの状態じゃあ、私がここにいる間にどうにかなるか不安で仕方ない。
『君のお姉さんはこあ、だっけ。それもパチュリーが?』
『はい。私達はパチュリー様に使い魔として召喚されたんです。一応私はサキュバスなんですけど、今ではこの図書館の司書です』
サキュバスって確か精気を好むらしいけど、この子はこんなんでその………口では言えないことをやってきたのだろうか。想像出来ない、いや、したくない。
『そ、そうか。大変だろう、こんな大量の本を管理してるのだから。これからは私にも手伝わせてくれ』
『い、いえ!確かに本は大量ですけど、パチュリー様との契約時にサキュバスとしての性質を弱めると同時にその分の力を書物探査能力へと移行させたんです。つまるところ今の私達はサキュバスというより本の精霊に近いかもですね』
バツの悪そうに頭を掻くリトル。元はサキュバスで今は本の精霊、本人も複雑な心境なのだろう。
しかしその表情に不満はなく、寧ろ充実した活力のあるものだ。
『私達、確かにサキュバスではあったんですけど、召喚される前にそれらしい事やってた訳でもなくて、結局肩書きにもならないんですよね。お姉ちゃんは分からないけど、私が男の人のせ………精気を吸うだなんて―――!』
自分で言って爆発したように顔を赤くさせるリトル。確かにこんなにも免疫がなさそうじゃ勤まる訳もなさそうだ。パチュリーがやったことは意図的にしろ無意識にしろ良い結果を産んだのだ。
『はいはい、お喋りはそこまでにして頂戴。それよりも、シロウ、だっけ?貴方はこの紅魔館に執事として訪れたのなら、相応の自信があるのよね?』
リトルとの会話の中にパチュリーが介入する。それに続くように周囲の喧騒も止み、意識がこちらへと向けられる。
『自信は、無いこともないが自分自身実力を把握をしていなくてな。比較対象が修行時代に巡り合う事がなかった』
『比較対象がいないって、我流なの?』
『そういう訳ではないのだが、ある女性の下でレクチャーを(強制的に)されてな。マンツーマンで私以外に教えを請うていた者もおらず、彼女が満足のいく結果が、今の私のスキルとイコールで繋がっていると言っても過言ではない。勿論、そこからの精進は我流だが』
『ふぅん………。なら咲夜と勝負させてみたら?』
突如、レミリアがそう提案してきた。
『私と、ですか?』
『そうよ。確かにシロウの言い分も咲夜に当てはまるのよね。咲夜自身、ここでメイド長の実績を治めていると言ってもそれはあくまでこの紅魔館という視野でしかない。妖精メイドは咲夜と比較するまでも無い。だから実質その位置に甘んじてるに過ぎない。―――咲夜のメイドとしてのスキルはこれが限界とは思えない。だからと言って完璧に近い所に至ったもの程高めるのに困難なものは無い。ならばどうするか?』
そこでパチン、と親指を鳴らしその伸びた人差し指を私へと指す。
『ライバルよ。お互いを高めあい、目標とする存在。それが必要なのよ』
『確かにそれは正論ですが………果たして彼の実力が如何程のものか』
『別に相応の実力を求めてる訳では無い。これの主立った目的は、シロウの実力を測ることにあるからね』
レミリアの言葉に納得する。
なるほど。つまりは咲夜と私を勝負させることで、自身のスペックを理解させ、それと同時にお互いの能力向上に繋げる。まさに一石二鳥だ。
『じゃあ、今からやるの?私達は夜型だから大丈夫だけど、シロウはそうもいかないんじゃあ………』
心配そうな表情でこちらを覗き込むフランドール。私はその心配の色を消す為に彼女の頭に手を置き、撫で回す。
フランドールは擽ったそうに目を細め、私の手の動きに身体を預ける。人懐っこい傾向にあるのだろう。
『心配してくれて嬉しいが、もしレミリアがそう言うのならば私はそれに従うまでだ。執事とは、傅く者だからな』
『うにゅう………』
話を聞いていたのかが分からない返答だったが、取り敢えず撫でるのを止めてレミリアの方へと向かう。
『そうね、貴方がそう言うなら今やりましょうか。でも仕事は咲夜が殆ど終わらせちゃったからまたやるとなると二度手間で無駄なのよね~』
別に君がやるのではないからいいのではないか?とも思ったが黙っておこう。そのせいで適当なものになってはどうにもならない。
『料理は作ってすぐに冷蔵庫ってのもアレだし、掃除は埃被ってる訳でもなし、洗濯も終了済み。残るものといったら………』
『………戦い?』
ポツリとパチュリーが呟く。
『おい待て、それと従者の対決になんの関係がある』
『あながち関係ないものでもないわよ。主に仕えるのならば、ただ仕事をこなすだけでなく主を一切の敵から守る戦闘力があっても何の不都合も無いでしょう?』
『確かに、そうかもしれんが』
それでも本職を差し置いてそれはないだろう。優先順位が明らかにおかしい。
『それもいいかもしれないわね』
『そこ、納得するな。咲夜はどうなんだ、従者として勝負のサジがおかしいとは思わんかね?』
彼女の答えに期待を込め、問いかける。
『私は、お嬢様の言葉に従うまでですわ』
駄目だった。
『んじゃあ今から場所を決めてやりましょうか』
『え、遊ぶの?フランもやるー!』
『遊ぶんじゃないっつの』
駄目だ………また流されてる。分かってても個の意見が尊重されないこの世の中、世知辛い。
『へ~、面白そうだな。私も観戦させてもらうぜ』
その言葉が辺りに響くと、空気が一瞬凍りついた。
先程までの会話の中には無かった声色に、思わず皆がその声の方向へ振り向く。
そこには、十代の中盤ほどの外見の少女が当たり前の様に仁王立ちしていた。
黒色の尖った帽子にそこから覗ける金髪のロングヘアーが特徴的な少女で、服は白黒のエプロンドレスを着用している。装飾には帽子には対照的な白のリボン、右側頭部にも小さな白のリボンが結ばれている。
そんな少女の右手には等身以上の長さの箒が握られており、その柄の部分には頭より少し大きめ程度の袋が掛けられていた。
『ま、魔理沙!?』
パチュリーが驚愕し、フランドールが歓喜する声が重なる。
パチュリーは先程までの覇気の無い声とは思えない声を上げ、フランドールは魔理沙と呼ばれた少女に近づき抱きつく。
声には出さないもの他の面々も多種多様の驚きを見せている。
『知り合いか?』
『知り合い………だけど、どちらかと言えば悪い知り合いね。コイツはこの図書館にある書物を盗みまくってるのよ。簡単に言えば泥棒ね』
『おいおい、私はちゃんと返すって言ってるぜ?死ぬ前には』
少し男勝りな口調の少女は、悪びれた風も無く飄々とした態度を見せている。あの袋の中身も、ここの本という可能性もある。
『なるほど、先程までずっと感じていた気配は君のだったのか』
一部が気付いてたのかよ的な目で睨みつけているが、今はそれよりもこの少女だ。盗みを働いてるのが事実ならば、それを容認することは出来ない。
それに、こんな幼い子が犯罪に手を染めるなんてのはあってはならないことだ。彼女の人生を悪い方向へと導きかねん。
『それにパチュリー、私は泥棒じゃなくて魔法使いだ』
………またか。これで三人目。外には五人しかいないというのに、ここではバーゲンセールの如く存在している。有り難味も珍しげもありはしない。まるで石ころだ。
『―――シロウ、咲夜。ちょっと勝負はお預けで構わないわね?』
『え、何が―――』
疑問を投げかけようとした言葉は、更に続く言葉に掻き消される。
『魔理沙をとっちめるわよ。不法侵入に窃盗、赦されるとは思ってないわよね?』
レミリアは終始笑顔。だが誰もがそれが表面上だけのものだと分かるだろう。
パチュリーも怒りを静かに露にしている。この少女との戦闘が始まるのは時間の問題だろう。
しかしまずい、そうなると多勢に無勢。彼女に罪があるだろうとはいえそれはあんまりではないのだろうか。幾度となくここで盗みを働いてるのだから彼女自身それなりの実力の持ち主なのは想像できるが、実質の六対一………覆す隙は無い。
『待ってくれ』
『何よ、言っておくけど魔理沙を見逃せってんなら却下よ』
『違う、彼女の躾は私に任せてもらえないだろうか』
レミリアが一瞬きょとんとするが、すぐにいつもの表情に戻る。
『理由は?』
『純粋に私の実力を測る舞台を提供してもらいたいんだ。それに咲夜と私を戦わせたのなら、最悪どちらかが仕事をこなせなくなってしまうだろう?だが彼女相手ならば最低でも咲夜が支障をきたすことはない筈だ』
嘘と言うものは案外ペラペラ出るものだな。私一人なら彼女を傷つかせずに勝敗を決することも不可能では無い。下手に助勢があれば逆に手元が狂いかねない。
『それは、私達を侮ってるってこと?』
『侮るもなにも、私はこの館の住人では咲夜の実力しか知らんよ。単なる保険さ』
レミリアは一瞬考えると、すぐ決断する。
『オッケー。ただし言ったからには絶対に捕らえなさい。それが絶対条件よ』
その言葉に満足した私は、不敵な笑みを浮かべ、呟いた。
『了解した、マスター』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『おいおい、そっちで勝手に話を進めてるけど、私は戦う気なんかさらさら無いぜ?』
途端、魔理沙が箒に跨るとそのまま空中へと浮いていく。魔法使い、で誰もが連想する姿がそこにはあった。
『逃げようなんて事は考えないほうがいいぞ。私には君が何処に逃げようと絶対に逃すことの無い自信がある。ならばここで私を撃退したほうが君にとっても都合がいいのではないかね?』
こちらには赤原猟犬がある。放てば最後、私が死ぬかそれが破壊されるまで、弾かれようとも永遠に標的を追い続ける。相手が逃げの一手で来るのならば、こちらはその間魔力を込めることが出来る。大体四十秒あれば例えセイバーだろうとエクスカリバー無しで止めることは不可能。
とは言っても元より使う気はさらさら無い。言うなればただの脅し文句だ、一切の嘘の無い。
『信じる信じないは勝手だが、後悔することも出来ないかもしれんぞ?』
わざと悪人の様な歪んだ表情で魔理沙を挑発する。
これで立ち向かうならよし、逃げるならば―――こちらがどうにかして頑張るしかない。
『――――――分かった。あんたと会うのは初めてだが、少なくとも嘘を言ってる気はしないな。まぁ、個人的に嘘であってほしいがな』
逃げる体勢から、正面に向き合い対峙する。その際にポケットから何かを取り出した。中心に穴の空いた八角形の小さな物体、一つ一つの角の正面には色々な形の模様が刻まれている。
『だからそんな危ないものを出される前に、私はとっとと決着をつけることにするぜ』
その物体を両手で力強く構えると、小さな穴から光が収束し始める。
『あれは、魔力か?』
『気をつけてシロウ!あいつの得意技は―――』
『もう遅いぜ、パチュリー』
パチュリーが声を大にして叫んだその瞬間、その言葉を最後まで聞く前に空気を裂く音と共に世界が閃光した。
爆音と共に放たれた超極太のレーザー砲―――マスタースパーク。魔理沙の得意技であり、最も威力のある魔法。人間が放つには到底不可能な魔力と熱量が、シロウを包む。
衝撃波が図書館全体に伝わり、本棚は倒れ、私はそれに吹き飛ばされそうになる。
そんな中未だ続く攻撃に、私は疑問を覚える。
本来マスタースパークはその莫大な熱量と魔力を用いる為に長時間の放射は理論上不可能。無理矢理魔力を搾り出せば可能だが、その際にかかる負担は尋常なものではない。
今の魔理沙には、両腕は逆に拉げる痛みと、衝撃に耐えるべく踏ん張る胴には激痛が走っていることだろう。
何故、そこまでする必要があるのか。
アイツがあそこまで本気を出すのは滅多に見ない。それが何故、初対面の相手に対して普段見せない本気を晒しているのか、理解が及ばない。
耳を劈く爆音が消え、衝撃で舞った砂埃と膨大な光の余波による視界の不明瞭さだけが残る。
『これで、どうだっ………』
ゼェゼェ、と息を荒げる魔理沙。アレだけの衝撃を抑えるのなら、息をする間もないのも頷ける。
衝撃で帽子はいつの間にか吹き飛んでおり、箒が無ければただの人間にしか見えない。
『シ、シロウ!』
妹様―――フランドール・スカーレットが魔理沙と対峙していた男の名を叫ぶ。男の姿は土煙によって確認が不可能な状況、生死すらも定かではない。
あれを人間がまともに食らえば軽く塵芥になってしまう。私はしっかりとシロウの身体が閃光に包まれたのを確認した。生存確率は絶望的なものだろう。
煙が晴れると妹様は慌ててシロウのいた場所へと近寄る。あの状態の彼女がこんなに取り乱しているのも珍しい。
斯く言う私は至って冷静。知り合う以前の存在が死んだ所で目の前で死んだという後味の悪さしか残らないし、それも時間が経てば摩耗し最後にはその事実すら私の中で無かったこととなる。
私に限らず、記憶とはそういうものだ。本当に自身を揺さぶる出来事でもない限り生涯残り続ける記憶なんてものは生まれない、薄情な生き物。それが世界に生きる万物の罪。
次第に鮮明になっていく視界に映ったのは、魔理沙に向かって右手を突き出し立ち尽くしているシロウの姿があった。その姿に傷は見当たらず、先程と変わらない表情で相変わらず魔理沙を見ている。
『嘘………どうして』
その言葉は私と魔理沙、両方のものだった。
思考のシンクロ、魔理沙も今間違いなく彼が生きてること、いや、彼が無傷だという事実を認められずにいる。
当たり前だ。魔理沙は人間の魔法使いであるものの、決して本家に劣らない魔力を有している。色々な妖怪と対峙し、戦果を上げた実績はそれなりに知れ渡っている彼女の本気を浴びて、無傷という有り得ない光景。まるで理解が及ばない。
『いや危なかった。君が叫んでいなければ間違いなくあれをまともに喰らっていたよ。感謝する』
魔理沙の方を向いたまま、私へと文字通り感謝の言葉を投げ掛ける。
『そんなことより、なんで生きてるのよ!?』
『私が生きていては不服かね?』
つい声を荒げてしまうが、シロウ自身は至って冷静に答える。その余裕が何だか腹立たしい。
普段はこんなに取り乱したりはしない。ただ、目の前の光景が余りにも信じ難いものだったから。
こんなに我を忘れたのは久しぶりだ。
『シロウ!』
妹様が彼の名を叫び背中から抱きつく。いつの間にあんなに懐いたのか。
『フランドール、すまないが離れてくれないか?まだ仕事の最中でね』
『そんな事より、どうやって魔理沙のマスタースパークを防いだの?』
空気を読まず妹様は興味深々に会話を続ける。シロウもそれに多少困っている様子が背中越しに伺える。
『あぁ、あれは盾を使って防いだんだ。とは言ってもあの一撃で壊れてしまったがね。私的には相殺に持ち込めたのは嬉しい誤算だったよ』
盾?そんなものアイツが所持していた風には見えなかった。
隠せるサイズの盾があったとしても、そんなのでは身体全体を防ぐのは無理だ。でも、何かしらで防いだのは事実だろう。あれを一身に受けて服にすら損傷が無いというのは矛盾しているからだ。何よりも生物としての範疇を超えている。
『盾が壊れたんなら、もう防ぐ手立ては無い筈だぜ?』
魔理沙は魔力を再び八卦炉に収束させ、再びあれを放とうとする。
無茶もいいところだ。今の彼女は誰が見ても満身創痍、口では平静を装っていても挙動は疲労に満ちている。次放てばどうなるか分かったものではない。
対してシロウは逃げもせず、立ち向かおうともせず魔理沙を睨み付けたまま身動きを取らない。妹様が抱きついてるから動けない訳ではなさそうで、最初から逃げも隠れもしない気なのだ。
『一体、どうする気なの………?』
レミィ―――レミリアと咲夜は何をするでも無くただ有り体を見守っている。彼の言葉を信用してか、二人の様子を見て楽しんでるかはその表情からは読み取れない。
『これで、終いだ!』
搾り出した様な声で叫ぶ魔理沙の八卦炉は、最早最大まで溜められている。これを再び食らえば今度こそ助からないだろう。
今まさに放たれようとした瞬間、突如シロウの手からも一瞬光が集まったかと思うと、そこには一本の槍が握られていた。それにシロウ以外のこの場の人達が驚愕する。
二メートルあまりはあるであろう真紅の長槍。しかもそれからはとんでもない位の魔力が溢れ出ている。あれではまるで神話に出てくる魔具だ。
………魔具?
私は思考をフルに回転させて今まで読んだ書物の情報を紐解いていく。
あんな感じの槍を、本で見たことがある。それはそう、確か神話の武具に関する書物だった筈。
記憶ではあの様な風体の槍は二本しか確認していない。ゲイ・ボルグとゲイ・ジャルグ、という名前だった気がする。
ゲイ・ボルグは確かケルト神話に出てくるアイルランドの英雄が所持していた槍で、長さも2メートル、丁度あれ位のリーチだ。投げれば30の鏃となって降り注ぎ、突けば30の棘となって破裂するという逸話があり、それを足で投擲していたとか何とか。
ゲイ・ジャルグもまたケルト神話に登場する槍で、その持ち主はフィアナ騎士団というものに所属していたらしい。槍の長さはゲイ・ボルグを超えたリーチを持ち、その槍に貫かれたら喩え魔法によって強化された鎧であろうと意味を成さない破魔の効果を持つ槍。
この状況下で出されるのならば、間違いなくゲイ・ジャルグの方だ。
だが、それをどうする気なのか。喩えあれが本物の破魔の槍だとしても、魔理沙がマスタースパークを放てばあの広範囲の魔法を相手にどう立ち向かう?今から捨て身覚悟で飛び掛っても間違いなく間に合わない。破魔の効果を利用して盾にするにも判定が小さすぎて意味を成さない。
『そんな細っこい槍で私の魔砲は止められないぜ!』
シロウが槍を逆手に持ち替え、担ぐように魔理沙へと切っ先を向ける。
『咲夜!』
私はすぐさま叫んだ。ここにいては危険だと、本能が告げていたから。咲夜も意図をすぐに理解したようで、小さく頷くとポケットから懐中時計を取り出す。月時計と呼ばれるそれは、咲夜の時間を操る能力の補助装置だ。それの恩恵があってあれだけの性能を誇るようになる。彼女自身の力だけでは大した力は出せない。それが人間に余る力の欠点と言うことだ。
瞬きをする間もなく、世界の全てが反転する。ヴワル魔法図書館に居た筈の私達は、その地下への入り口にまで移動させられていた。突然のことに一部は困惑している。
『二人は?』
妹様が誰にでもなく問いかけた瞬間、紅魔館全体を振動と轟音が包んだ。
その揺れは尋常ではなく、地下でどのような光景が広がっているかが容易に想像できる。
『凄いっ……揺れ……』
『それになんて魔力の波なの!?』
魔力の塊が衝突し合ったことによる衝撃が地下から噴出している。一撃目よりも強大な波は、地下への道と言う狭い道から溢れることでより密集し、その場にいた殆どは吹き飛ばされてしまう。
この中で最も魔力抵抗の無い咲夜と子悪魔達は結構な距離を飛ばされ、リトルが怪我をしたのか隣にいたこあが倒れている彼女を抱えている。
『皆さん!大丈夫ですか!』
美鈴が廊下を慌てて走ってくる。彼女もこの異変を察知したのだろう、表情は険しいものとなっている。
『大丈夫には大丈夫だけど、リトルが怪我した可能性があるの。安全な場所に運んで頂戴、私達は様子を見てくるから』
『分かりました。気をつけて下さいね』
美鈴がリトルを抱え、バランスの良い走りでその場から消えていく。こあも遅れてそれについていった。やはり姉として心配なのだろう。
私達は浮いて一気に地下を降りていく。階段なんてものを使っていては時間がかかるだけだし、何より私の身体が持たない。
辿り着いた瞬間、私は絶句した。
本棚はほぼ全て薙ぎ倒され、それら一部分には引火を起こしている箇所すらあり、まるで嵐の通り道だったかの様な壮絶な光景が眼前に広がっている。
『私の、本が………』
私は落ちる様に膝を屈する。
これ程大量に納められているのだから、当然この世に一つしか無い物だって存在する。まだ確認した訳ではないけれど、もし僅かにでも綻びが生じてる箇所があったりでもしたらと思うと確かめるのが恐ろしくて堪らない。
だが、そんな私の落胆は誰も意に介している風もなく、ただ一点を見つめていた。
その先には、僅かながらにボロボロになっているシロウと、壊れた八卦炉をもの言わず見つめている魔理沙の姿だけがあった。
今回も一気に人紹介します。書くのが大変。
霧雨魔理沙
種族:人間
能力:魔法を使う程度の能力
二つ名:普通の魔法使い
魔法の森に住む魔法使い。そして原作を通して主人公の一人を担っている。人間離れした存在の中ではかなり人間に近い。
蒐集癖があり、物が捨てられない性格。負けず嫌いで捻くれ者だが根は真っ直ぐ。努力家で勉強家。何処へ行っても迷惑がられるが、実際に迷惑な行動が多い。
人間の里の大手道具屋「霧雨店」の一人娘であるが、事情があって勘当されたらしく、絶縁状態にある。彼女が幼い頃その店で働いていた人物がおり、物心ついた頃には独立をしていたが、その人物が何度も実家を訪ねていたことで、知り合いではある。
魔法使いとしては光と熱を使った魔法が得意であり、人間の中では最高クラスの威力があるが、物を破壊する程度の効果しかなく多様な魔法は使えない。彼女の使う《マスタースパーク》は原作で最高の威力と判定を誇っており、まさに代名詞と言ってもいい。
口調は ~だぜ ~か? の様な男口調であるが、俺とは言わない。
泥棒行為は日常茶飯事。パチュリーは今日も涙目。
パチュリー・ノーレッジ
種族:魔法使い
能力:火+水+木+金+土+日+月を操る程度の能力
二つ名:動かない大図書館
見た目は小説内で記述したが、リボンには魔法力を高める効果が付与されている。
生まれつきの喘息持ちで、さらに「本のそばにいるものこそ自分」と考えており、滅多に外出せず運動もしないため体が弱い。ビタミンAも不足している。
魔法の中でも特に精霊魔法や属性魔法を得意とする。
レミリアとは友人関係で、レミリアから「パチェ」というあだ名で呼ばれ、パチュリーはレミリアのことを「レミィ」と呼んでいる。
小悪魔 こあ リトル
種族:悪魔
能力:不明
原作では中ボス的位置づけで、設定も殆どない。故にその地位にいるキャラは必然的に二次創作で色んなキャラ造りがされている。
私の小説内では、二次創作であるキャラ構成としてロングヘアorショートヘアの双子の姉妹としています。
その理由は、全国の小悪魔ファンのニーズに応えるべく思案した結果です。
姉の方は、こあと言う名前。
性格はおっとりして、実は芯が備わっている。でも天然。
妹のことを過保護にしており、妹のこととなると普段しっかりしてる反動故にパニックになってしまう事もしばしば。
妹はリトル。
気が弱くて引っ込み思案。女性が蔓延る幻想郷という環境のせいか、男性に対して免疫が一切無く、更に男性に対する理想像も膨らんでいる。そんな中現れたエミヤシロウに、彼女はどのような感情を持ったのか………。
他にオリジナル要素として、悪魔の中で更に分類されたサキュバスという種族で通しています。詳しくは小説本文で記述しています。
フランドール・スカーレット
種族:吸血鬼
能力:ありとあらゆるものを破壊する程度の能力
二つ名:悪魔の妹
レミリア・スカーレットの妹。七色に光る特徴的な形状の翼を持つ。身長はレミリアと同じくらい。495年以上生きている。因みにレミリアとは5歳差。
少々気がふれており、そのため生きてきた時間のほとんどを地下室に幽閉されて過ごしていた。こっからオリジナル→しかし、魔理沙と戦ったことによって精神が多少安定し、それから日にちが経つことによって紅魔館内を自由に歩きまわれる程になった。
普通、吸血鬼は食事のために、殺さない程度に人間を襲うのだが、長く幽閉されていたため人間の襲い方を知らず手加減ができないため、相手を跡形も残さず吹き飛ばしてしまうという。
「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」とは、打撃による破壊活動ではなく、全ての物には力を加えれば物を破壊できる「目」が存在しており、離れた物の「目」を自身の手の中に移動させることができ、強く握ることで爆発(破壊)させてしまう能力。直視の「点」を突いてるのに近いが、違いはその「目」を自身の手の平に移動させることが出来る、つまるところチートにチートが上乗せされていることになる。
でもこの能力は殆ど使うことが無い。彼女にとって戦いの定義は、遊びだからだ。能力を把握しているが故、それをすれば遊べないと理解しているから。
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