新型インフルエンザ発症しますた。深夜にめっちゃL5になってました。そりゃまぁ小説で書いたら少し面白そうだなぁってふと考えた。え?恥部を晒すってドMじゃないかって?やだなぁ、小説執筆も恥部晒してるようなもんじゃないですか。てか、私 M で す し。
三人と別れて、私は指摘された方向へと黙々と歩き続けている。
日は疾うに落ちており、アリスの時と似た状況に陥っている。
ルナチャイルドの事を疑っている訳ではないのだが、私はこの道を通っている。風景に見覚えが有りすぎるのだ。
鷹の目をあらゆる面で使用してた為か、景色の細かな差違を一瞬で理解出来るのだ。
決して自惚れではないが、この力に助けられた状況も少なくはない。
私の命を守るに貢献した部位は、信頼に値する。
ならば彼女が嘘を吐いたと?
―――馬鹿な。だいたいそうする理由が無い。
元より迷っていた身、それを混乱させた所で無意味だ。
悩みながらも真っ直ぐ道を進んでいく。
悩むのは私の悪い癖だ。悩み抜いて解決しない問題ばかりに頭を使う。そして最後に残るのは徒労のみ。
思考を切り替える為、歩みを走りに変更する。
微かにしか吹いていなかった風が、身体一杯に浴びせられる。
痛い位に染みこむ冷たい風も大して気にならない。この慣れた感覚が、私が今まで通ってきた道というものを認識させる。
息の吐く暇も無いほどの全速力で走り続けていると、闇に染まった森の隙間から光を見つける。
近づけば近づくほどそれは広がっていき、相対的に闇が掃われていく。
しかし久しぶりの世界の白みは、直後再び黒に覆われた。
その正体を建造物だと知るのには時間は掛からなかった。
月明かりに照らされたそれは、自身の矮小さを視覚的に理解させる為にやったと言わんばかりの巨大な館だった。
概観は館の筈なのに、その存在感は城を彷彿とさせる。
森の中で遠目から一度確認はしているが、まるで別物に感じる。
血の様な赤で染め上げられた館は、月の光で不気味さを相乗させている。
―――紅魔館。その名前が頭の中でよぎる。
これが紅魔館でなければ、これ以上にそれに相応しい館が存在するのかと勘繰ってしまうだろう。
入り口を探す為周囲を迂回していくと、鉄で出来た西洋の門が見えた。
その近くには、門番であろうか、チャイナドレスと龍の印が刻まれている帽子の女性が壁に寄りかかって静止している。
ピクリとも動かないその姿に警戒心を覚えるも、悪事を抱くわけでもなし、すぐに意識を切り替えて女性に近づく。
『すまないが、ちょっといいか?』
声を掛けるも、女性は動かない。
何度か繰り返すも反応はなし。
『………まさか、な』
恐る恐る顔を覗きこむ。すると予想通りというべきか、瞼は開いておらず、息も静かに整って乱れることがない。
熟睡している。見事なまでのノンレム睡眠であろう。
器用に倒れることなくこの体勢で寝られるというのは、一朝一夕で身につく技術ではあるまい。恐らく彼女は幾度と無く同じ行動を繰り返しているのだろう。
呆れつつも、今度は身体を揺すってみる。すると意外と簡単に目が覚めた。意外と浅い眠りだったのだろうか。
寝惚けた表情でこちらを見つめてくる。今にも二度寝しかねないので、話しかけることにした。
『すまないが、いいだろうか』
『え?え……………えぇ!?』
ようやっと意識が覚醒したのか、五月蝿い驚愕の声が辺りに響き渡り、鴉が逃げ惑う。
真正面からそれを一身に受けた私の耳は僅かに耳鳴りする。
『あ、貴方は………?』
『あぁ、私は―――』
答えようとした刹那、真後ろから突如放たれる殺気に身体が反応する。
目の前の女性を直ぐ様抱え、身を翻しつつ地を蹴り闇夜へ飛ぶ。
門の上に着地する直前に殺気が放たれた方向を見据えるが、その周辺には誰もいない。
森の中に逃げたのならば僅かにも音がある筈だが、殺気が放たれる直後まで、その何者かの存在に気付けなかった。
腕の中で何があったかを理解出来ていない中華風の女性。彼女に集中してたとはいえ、気を張っていたことに変わりはない。
それなのに察知出来なかったと言うことは、一瞬でその場に現れ、何の痕跡もなく消える事が出来る者が、殺気を放った正体だろう。
しかし、そんな事が可能なのか?
アサシンは限りなくそれに近い動きは出来るが、地を蹴れば足跡は残るし森を通れば葉は落ちる。自然の物理現象に抗いつつ尋常じゃない行動を起こすというのは、不可能に等しい。
―――その瞬間だけが全て相手の支配下にならない限りは。
『あ、あの、下ろしてくれませんか?』
私から目を逸らしつつ顔をほんのり赤らめているのに気付く。
ある意味当然の反応かもしれない。何せ咄嗟の事とはいえ、お姫様抱っこ―――背中と脚の裏関節付近を支える様に抱き上げる態勢―――で抱えてしまったのだ。
抱えて解ったが、彼女は間違いなく武道の心得がある。
二ヶ所触れただけだが程良く筋肉が引き締まっており無駄な肉が一切無い。だからと言って女性らしいスタイルは損なわれておらず、正に理想の体型と言っても過言では無い。
そんな実力のありそうな女性が見ず知らずの男にいきなり抱えられたのだ。殺気に反応出来ず、果てにはこんな形で時を過ごしている。羞恥で一杯になるのは当たり前だ。
その言葉に従いそっと地面へ降ろすと、ペコリと一礼をした。
謝罪の言葉を述べた後、私はここに来た経緯を説明した。
『バイト、ですか。確かほんの最近紅魔館でもその様なものを募集してましたが………本気ですか?』
バツの悪そうに私に問いかける彼女―――先程紅美鈴と名乗った―――が問いかける。
『あぁ、一応そのつもりだが………』
『貴方もここがどんな所かぐらいはご存知でしょう?なのに一体何故』
確かにバイト先ならここ以外にもある。執事だからといって目白押ししてる訳でもない。
なのに何故か?そう問いかけられても答える術はない。
自分でも分からない。一度この館を見た瞬間―――魅了の魔眼にでも中てられたかの様な心の束縛を感じたのだ。
それから今に至るまで、無意識にそこを目指していた。いや、引き寄せられていた―――?
どちらにしろ辿り着いてしまったのだ。何もせずに他をあたるのも無駄足になってしまう。
『まぁ………何となくだな』
曖昧な返答に、美鈴は困惑する。何となく、で吸血鬼の根城で働こうとしているのだ。命知らずないしは奇人変人と思われているに違いない。
『そうですか。取り合えずこの事を一回報告しないといけませんね。ちょっと待っていてくれませんか?』
美鈴が門へと向かい、私もその後へと続く。
彼女が見張っているせいか、門は夜でも開放されていた。
キィ、という金属の擦れる音が静かに響き渡る。
門を潜り抜けると、外からは測れなかった内観が広々と私を受け入れる。
館だけでなく、庭だけでも多大な面積を使用している贅沢極まりない土地に、館の主の権力が伺える。
中心まで歩いた頃だろうか、同じ殺気が真正面から押し寄せる。
目の前には影も形もない、だがそれはさっき理解している。カラクリが何であれ見えなくとも存在はしている。ならばその殺気に対応すべく全身に強化を施し万全に備えるだけ。
殺気の波が強まった、その瞬間からは一瞬だった。
咄嗟に黒鍵を二本投影し、視界に移らない「何か」に向かって身を捻りながら投擲する。
その刹那、私が立っていた場所を小さな何かが通り過ぎる。一切の躊躇いの見えない軌道だった。
一本はそれに命中したのか、火花を散らし金属の音色を奏でる。二本目もそれに連動するように音を鳴らし調律する。
一本は私に向けられたもので、二本目は美鈴の頭部を狙った軌道、三本目は迎撃。そして勘が当たって幸いした。そうでなければ彼女の命は無かった筈。
当の本人は突如放たれた黒鍵に驚いて尻餅をついている。そのお陰か外傷は見当たらない。
カラン、と音を立てて地面に落ちた「何か」を見据える。それは至ってシンプルな銀製のナイフだった。
『美鈴、貴女は門を護るのが仕事でしょう。客を招待するのは私の仕事』
殺気の本体が、美鈴に説教をする。殺気は薄れているが、不穏な空気が同時に渦巻く。
そこには、何の飾り気も無いシンプルなメイド服を着た少女がいた。
少女は腕を組み、明確な怒りを美鈴へと向けている。
言い訳は許さない、とその場の雰囲気が伝えている。
『………まぁいいわ。取り合えずそこの貴方』
今度はこちらに意識を向けてくるが、先程までの殺気は一切感じられない。
整った足の動きで目の前まで歩いてくると、ミニスカートの両端をくい、と持ち上げてお辞儀をした。
『ようこそ紅魔館へ。歓迎いたしますわ』
柔和な笑みと見下ろす三日月が、私を歓迎した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
紅魔館の長い廊下を会話無く黙々と歩く私と男。
私は、先程起こった光景を思い返していた。
私が絶対に当たると確信していたナイフが、簡単に落とされた。そんな今まで一度も無かった光景を。
予想外のひとつに、後ろを追いてきている男があった。
美鈴へのお仕置きは、彼への脅しも含めたものだった。あの程度で肝を抜かれるようならば、ここではやっていけない。つまりはその為の度胸試しだ。
体格はかなりのものだから正直初見から期待はあった。だからこそそれに比例した驚きを与えてやろうと意気込んだのだが、逆に驚かされる始末。
予想外その二。私がナイフを投げた直後まで彼は何の構えもしてなければ、あんな剣を隠している素振りすら見せなかった。にも関わらず私が瞬きをした瞬間には二本の剣が両手に装備されていて、二回目の瞬きでは美鈴へと投げたナイフは落とされ、三度目にはその剣が捉えれない筈の私へと正確に襲い掛かっていた。私の能力が無ければ間違いなく串刺しだった。それ程までに早く、迷いの無い一撃だった。
予想外その三。その剣を投げる異常なまでのスピード。
筋肉の動作というのは、伸びたり縮んだりすることで相応の力を発揮できるよう作られている。
軽いものと重いものを押すのだったら、筋肉のバネの使う量がてんで異なる。
妖怪の場合人間より遥かにそのバネに差があるが、システムは変わらない。
筋肉の伸縮を利用するのだから、より威力を高めるならば相応の反動を使うのが当たり前。
私が全力で投げたナイフは、能力と合わさって一瞬で美鈴の頭に到達する筈だったのに、彼が放った剣は、まるで筋肉のバネを無視したかのような高速で放たれていた。
直立していた筈のあの一瞬で、どこからか剣を出し、投擲する為の力を込め、放つ。その動作をやってのけた。その動きのひとつひとつが、まるで因果律を操ったと思わせる程奇怪で、在り得ないものだった。
常識の範疇を超えた能力は、常識の範疇を超えた動きには敵わなかった。とは言ってもそんなのを試したかった訳じゃないけど。
八雲紫の言っていたことを思い出す。
―――面白いことが起こるかもしれないわね。
その言葉は、間違いなく彼という存在に向けられたものだった。
只のバイトかと思えば、正体は全く掴めず。
妖怪じみた身体能力かと思えば、どこからどう見ても人間。これほどまで面妖な生き物も珍しい。
『君は何故美鈴にあんな事をしたんだ?』
突拍子もなく男から質問が来る。あんな事、とは間違いなくナイフの件だろう。
『あれはお仕置きですわ。請け負ってる仕事もまともに出来ないのにそれを放棄すると言うのは言語道断では?』
『仕置きで殺すというのは矛盾してる』
『矛盾してませんわ。美鈴はあれじゃあ死にませんから』
『馬鹿な、そんな訳があるか』
『何なら彼女に聞いてみたらどうです?嘘はついてない事が分かりますわよ』
紅美鈴は妖怪だ。見た目も実力も妖怪じみていないから普通の人は気付かない。
妖怪は人を食べると言うが、彼女はそれを嫌うから更に人間っぽく感じる。
妖怪特有の身体能力だけが彼女のアイデンティティという答えるのに困る威厳の小ささ。哀れである。
妖怪が必ずしも人間より強いという概念を覆す典型的な見本だ。
『それよりも貴方ですわ。あの一撃を防ぐのは身体能力だけはいっぱしの美鈴でも避わせない代物なのに、貴方はそれを無防備な体勢から訳もなく捌いた。常人とは思えないですわね』
『お互い様だろう?君だってその華奢な体で見切れない程のナイフ捌きを出来るとは考え難い。何かしらのズルをしてるとしか思えない』
ズル、か。
確かに私の能力は人間が使いこなせる程の安いものでは無い。私が妖怪である美鈴を圧倒出来るのも、この能力あっての事。
時を操る能力。自身以外の時を支配し、掌握する能力。それが私の能力。
私が相手からすれば目に見えない投擲を行えるのも、時間に介入し投げたナイフだけの時を加速させた後、その加速を内包させた状態で静止させる、という手段を用いてるから。
これによって、妖怪すら反応できない一撃が生まれる。
ただ単に時を止めて相手の死角に回り込んだり、ナイフだけの時を止めて何本も空中静止させて遅延型弾幕を創り上げることだって容易い。
そんな反則じみた能力なのだ。ズルと言われても反論できない。
弱点があるとすれば、停止した存在そのものには介入できないこと。
例えば美鈴の時を止めた状態で、私自身がナイフを突き立てて攻撃するのは不可能。時が止まっている間は、私ないしは私に関係するもの以外の森羅万象に変化は起こせない。
当たる直前で前述の行動を起こせば、目から脳に信号が伝達し指令を与えるより早く傷を負わせれる。つまりは明確な「死」を与えることが出来る、ということ。
そんな風に時が進んだ瞬間に突き立てれば何の問題もないから、私は安全も重視して投擲という手法を取っている。
そんな反則を、この男は肉体の純粋な動きだけで止めた。
剣をどこから取り出したのか、なんてのは些末事。明らかにこの男は視えていなかった。なのにその動きは洗練されていて、無駄の無いもの。
恐らくこいつは、私が時を止めた瞬間からナイフを止めるに至るまでの行動全てを直感だけで行っていたのだろう。
直感とは、偶然に他ならない。運と言ってもいい。
彼はその直感に全てを委ね、全てが合致した。でも、数ある可能性の中からたったあれだけの動きでさえ一致させるには天文学的な数字が必要とされる。
奇跡と同等のそれはまるで、未来予知クラスの空間、状況把握能力―――先の未来を全て見通していたかの様な―――。
それ即ち、こいつはそんな状況を幾重にも体験してきた生存者。度重なる戦いの中生き残ってきた戦士。強さの体現。戦闘に於いて最も信頼し、全てを委ねるべき相棒とも言える絶対的な第六感――――――!!
『………お互い様よ』
そう、聞こえないくらい小さな声で呟いた。
あの女もとんだ化け物を連れてきたものだ。―――だからこそ愉しくなりそうではあるが。
お嬢様の愉快そうな表情を頭に浮かべる。あの人のことだ、こんな面白い奴を見逃す筈もない。
思い耽っていると、いい具合に視界にお嬢様がいる部屋の扉が見える。
お嬢様も、とっくに起きている筈。あの人はプライドが高いから、寝起き顔を見られたというスタートを切れば大恥をかくだろう。私も恥ずかしい。
少し早足に歩いていち早く扉の前に立ち、ノックをする。
お嬢様の声が返ってくる。どうやら準備は整っているようだ。
それに続いていいタイミングで男が到着する。私は男に向かい、右手の扉を誘導させる。
『どうぞ、ここがお嬢様のお部屋で御座います』
さぁ―――お手並み拝見といきますわ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『どうぞ、ここがお嬢様のお部屋で御座います』
メイドの少女が形式に沿った動きで目の前の扉へ促してくる。
傍らの少女の表情を盗み見ると、僅かながらにほくそ笑んでいるのが映される。
含みのある笑みの中に何を思うのか。その答えはこの先に見出せる事を期待して扉に二回軽めのノックをした。
『入りなさい』
扉越しにでも分かる、少女の声。しかしそれはとても凛としており、境がある筈なのに一方には全てが筒抜けなのではと思わせる甘い声。淫靡とは真逆のそれなのに、年長者を前にしている気分になる。
緊張しているから、なのだろうか。その様な錯覚を覚えるのは。
一瞬で冷静さを繕い、目の前の境を開く。
音も無く開くそれの先は、仄暗かった廊下とは相まってとても明るい部屋だった。それはこの部屋の彩色が誰から見ても高価な飾りばかりで占められているからだろう。
そんな中10歳かそこらの少女が椅子に座っていた。
フリルが目立つドレス、帽子と全てがピンク色に包まれ、腰と帽子には映える様な真っ赤なリボンが飾られている。そこから覗かれる肩程まで伸びたふわふわとした青の髪という対照的な色全てが彼女と言う存在を目立たせる要因として上手く働いている。
しかし幼い身体とは裏腹に、背中から主張する巨大な蝙蝠の翼が彼女が何者かを明確に教えてくれる。
吸血鬼。
もとから吸血種であった「真祖」と後天的に吸血種となった「死徒」の二種類があり、当然真祖の方がその戦闘能力は遥かに上をいっている。
真祖とは、世界の意思によって生み出された超越種の中の一種族で、人間を律する為に都合の良い人を雛型として、ということから精神・肉体の構造は人間を真似て生み出された、所謂世界にとっての都合の良い存在だ。前までの私みたいに。
真祖は世界とリンクしてる為魔力には一切の際限が無い。つまり真祖を倒すと言うことは世界を破壊出来るほどの概念武装を必要とする。
だが実際そんなものは存在する筈もなく、あったところで悪用されるのが関の山だ。何せ世界を破壊出来る威力を秘めているのだから。
月齢によって身体能力に変化が生じ、満月ならば事実上の不死身と化す。
死徒とは、真祖などに血を吸われるかあるいは魔術的要因でなる吸血鬼である。
起源は人間から始まり、グール、リビングデッドと成長していき、ヴァンパイヤへと至る。そこまで生き残る確率は一万分の一と言う低いものだ。
だが、死徒とは実は寿命さえあれば誰にでもなれるのだ。問題はそんなものは普通有り得ない、と言うだけ。時間さえ掛ければ人間誰しも強くなれると言う解釈でも問題無い。
彼らもまた不老不死であはるが、エネルギーを補充し続ける必要がある。そうしないと身体を維持できない。
死徒の強さは血を吸った数に比例する、と言っても過言ではない。
最も古い時期に死徒となった者達を二十七祖と呼ぶ。古参で在ると言う事は、自然と生命を維持する為に数々そういった行いを繰り返している―――つまりはそれだけ強いということでもある。
彼女は真祖ではない。しかし死徒でもない。
真祖は血を吸わない。血を吸えば真祖は堕ちてしまう。彼女から感じる血の臭いは、その可能性を否定させる。
血の臭いというのは、洗ってどうにかなるものではない。完全に落とした様に思えても、その呪いは決して消えることは無い。ましてや吸血鬼として生きているならば尚更判り易い。
だからといって、死徒程の血生臭さは感じられない。あれらは膨大なエネルギーを得る為に血を吸い、手下を増やし、それの力でまたエネルギーを蓄える。
彼らの居る所に血が無い場所など存在しない。
生きるために、ただ貪欲にそれだけを求め続ける。生きるために生きるなんて理解し難い。
彼女から放たれる血の臭いは、それの中間程だ。
血を吸わないと死ぬ、ないしは能力に変化が生じるから吸っているのだろうが、その量は微々たるものなのだろう。それはつまり、外とは異なる吸血種、となるのではないか。
あのメイドが付き従う存在なのだ。彼女以上の実力を伴っていると考えていいだろう。
『ふ~ん………』
吸血鬼の少女が私を余すことなく吟味する。
好奇心旺盛なその眼からは、身体年齢から測ることの出来る幼さが垣間見える。
しかし、目の前にいるのは紛れも無く人外の域を出た存在。警戒を過剰にしておくに越した事は無いだろう。
『貴方、名前は?』
『エミヤシロウだ―――です』
いつもの口調を慌てて矯正する。彼女から放たれる威厳がそうさせたのか、或いは緊張ののせいか。
『無理に敬語にしなくてもいいわよ。ぎこちない受け答えって気分が悪いだけだし』
『そ、そうか』
『えぇ、その代わり私の質問には滞りなく答えること』
『了解した』
その返事に満足したのか、僅かに口元を緩ませつつ首を縦に振る。
『んじゃあ始めるわね。まず、貴方がここへのバイトを志望した理由は?』
『私は執事経験が少しあってな。職探しをしていた所で広告を見て、特技を活かせると判断したからだ』
特別ここに来たいとは考えてなかったが、いつの間にか辿りついてたから、なんて言っても合格は出来ないのは決定的に明らか。
ならば真実を交えた嘘を吐けば罪悪感も薄まるし、嘘だとばれる事も余程のことがない限り無いだろう。
『では貴方はここがどの様に語られている場所かも知ってるのでしょう?なのに来るなんて………正気の沙汰とは思えないわね』
挑発する様な笑みでこちらを観察してくる。
この眼は自分が最強だと信じて止まない者の目だ。かの英雄王と酷似したそれは、不快感を煽るには十分なものだった。
しかしそれも私を試しているものだと考え、表情に出さない様に努める。
『私は人から見れば壊れているとよく言われててな。そんな事は重々承知しているよ』
『ふぅん………』
私の答えに何を感じたのか、少しだけ表情が変化する。だがすぐにそれは元の高圧的なものへと戻ってしまう。
『貴方、戦闘経験はあるようね』
『どうしてそう思う?』
なんでも彼女が言うには丁度この部屋の窓から外を見渡すと正門から玄関付近に至るまで丸見えらしい。確かに主の部屋が隅とは考えが及ばないだろうが、視られていたのなら気付かない訳が無い。それとも殺気ばかりに気を取られていたせいで視線に気がつかなかったとでも言うのか。
それこそ矛盾している。神経を張っていたのならばどの範囲からでも間違いなく察知できる。それが出来なければ私はとっくにくたばっている。
『貴方、咲夜と会うのは初めての筈よね』
『咲夜とは?』
『あら自己紹介してなかったのね。咲夜はメイド長を勤めている私の信頼する従者よ。
―――まぁ、貴方を襲った相手が咲夜、十六夜咲夜って言った方がわかりやすいでしょうね』
そこまで言われてようやけ人物像が合致する。
少女として整った顔立ち、礼儀正しい口調、柔らかな物腰、それでいて未知の能力による常人を逸した戦闘力。弱点などまるで見当たらない、完全無比な少女の名前。
満月の終わりし夜に咲く者―――十六夜咲夜。神秘的で、吸血鬼の従者としてこれほどぴったりなものはそうは無い。出来すぎていると言ってもいいくらいに。
『それで、一体何の関係が?』
『咲夜はこの紅魔館で私の次に権力があるわ、何せ私の右腕ですもの。でもそれにはただメイドとしての責務を全うするだけでは私は認めない。
―――ここでの権力は、力。相手を制圧し、蹂躙し、支配する誰もが平等に持ち得る、古来から主従関係を理解させる為に用いられた手法のひとつであるそれを、私は最も渇望する。強く、貪欲に、獣の様に』
右の手の平を顔面に当て、指を少しずつ食い込ませていく。
力を込めていくに連れ、話している口元が歪み、目には狂気の色を帯びる。まるで自分の言葉に酔っているかの様に身体は震え、口からは狂気を孕んだ声が断続的に漏れる。
『咲夜は、それを私に認めさせた。夜王である私と肩を並べる価値ありと』
ゆっくりと顔から手が離れ、愉しそうに歪んだそれからは所々から血が滲み出している。そしてそれを少女は指で掬い取り、甘美の表情で舐め続ける。
幼さの中から垣間見える妖艶さは、容姿という概念を瞬く間に否定する。
『そんな咲夜の攻撃を、偶然にしろ必然にしろ貴方は防いだ。
―――喜びなさい、貴方はこの私に認められているのだから』
その言葉には一片の自惚れも卑屈も無く、ただ事実のみを述べただけの淡々としたものだった。
でも、だからこそその言葉には絶対の自信が篭っているのが理解る。
『光栄だよ、と言っておこうか』
『その素で喜んでいない所を隠そうとしない根性………ますます気に入ったわ』
少女はおもむろに立ち上がると私の目の前まで歩み、止まる。
すると私の事を見上げ、こつん、と胸元を小突く。身長差から腕を全快に伸ばしている姿は、背伸びしてる子供みたいだった。
『私の名前はレミリア・スカーレット。貴方を採用するわ。
でも相応の働きが無ければ即クビだからね』
その時、初めて少女は見た目相応の笑顔を私に向けた。
紅魔館はキャラ一気に出るのでかなりキャラクター説明忙しそうです。
今回は一気に出た三人の紹介をしまっす。
レミリア・スカーレット
種族:吸血鬼
能力:運命を操る程度の能力
二つ名:永遠に紅い幼き月
紅魔館の主人で吸血鬼のお嬢様。双子の妹もいます。10歳にも満たないような背の高さだが、背中に大きな翼を持つためシルエットは大きい。
性格は見た目通りの子供で非常にわがままである。
少食で、人から多量の血が吸えない。また、吸い切れない血液をこぼして服を真っ赤に染めるためスカーレットデビル(紅い悪魔)と呼ばれている。
吸血鬼は日光に当たると危険で、消滅するとかがメジャーですが、作者の小説ではどうしようか迷ってます。因みににんにくとか十字架は効きません。
紅魔館には地下があり、そこには大規模な図書館が建設されている。そしてそこにはレミリアの友人と司書がいます。
「運命を操る程度の能力」とは、彼女のそばにいる者が数奇な運命を辿るようになる能力らしいが、オリ設定である程度は指定することが出来る。
十六夜咲夜
種族:人間
能力:時間を操る程度の能力
二つ名:完全で瀟洒なメイド
紅魔館のメイド長で、紅魔館に住んでいる唯一の人間。実質的に紅魔館を取り仕切る立場にいる。
瞳の色は色々とばらけがあるが、新月から満月に至るまでで青から赤に変色するってタイプで行こうと思います。
年齢に関しては10~20前半らしいが、時間止めれるから信用できない(笑)
時間を操る能力を持っており、時間を止めることができる。さらに、時間の流れるスピードを変化させることもできるらしい。しかし、起きてしまった出来事を無かったことにするのは難しく、壊れた物などは時間を戻しても元には戻らないため、事実上時間を戻すことはできないとされる。バイツァ・ダスト持って来い。時間と密接に関係する空間も弄ることができる。
銀製のナイフを投げナイフ用として多数所持しており扱いが上手く、時を止める能力を使用しているだけのタネなし手品も得意としている。投げナイフの腕と料理の腕は比例するらしく、そのため彼女は料理も上手い。
瀟洒な咲夜さんでいくか、砕けた咲夜さんでいくか………どうしよう。
紅 美鈴
種族:妖怪
能力:気を使う程度の能力
二つ名:華人小娘
紅魔館の門番を務める中国人風の妖怪。中華風の衣装に身を包み、帽子に付いた星には「龍」の文字が刻まれている。衣装の下には弾幕用のくないが仕込んである。身長は高め。シロウ基準で比較すると、だいたい胸元の真ん中位(という設定)。でけぇ。おっぱいも。
非常に人間臭い妖怪で、人を襲うことはほとんどなく、逆に人間と親しく話すこともある。侵入者に対しては容赦がないが、非を詫びて館の外に戻った者を深追いするようなことはしないらしい。
能力特化型ではない、いわゆる万能型の妖怪であるため、妖怪としてはそれほど強くない。しかし、武術に長け戦闘能力が高く、弱点らしい弱点もないため、普通の人間相手には強いという。弾幕戦だと常に劣勢な為、門を守りつつ侵入者を退治する、普通に考えたら………な為、よく叱られてる。ぶっちゃけそういった相手は門なんか通らないで飛んでいける。カワイソス。
気を操る程度の能力は、気功を操る能力または他人に気を使う能力として表されている。他人に~の方は二次創作です。苦労人。
気功を用いて身体強化、治癒能力強化、他人の気を操って身体不全起こしたり様々なことが出来る。シロウとコンビ組んだら強そう。
これら全ては全てリーチ1、つまり隣接してないと効果を発揮しない。よって他人の気を~は結構難しい。一人だと。
次回も2~3人くらいの紹介になるかも。
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