私事で遅くなりました。なんか今回無駄に長いです。なんでこんなに長くなったか自分でも理解できません。あと軽く私事のせいで集中力切れてたので後半文章が変かもしれませんが、生暖かく見守って下さい。
天と地を繋ぐ階段を降りた後、振り返りその姿を焼き付ける。
雲を貫くその壮大な存在感は、私と衣玖らにしか捉えられないこと自体が信じられないほど。
しかし、これだけのものが現れたにも関わらずここら一帯に人気を感じないと言うことが、本当に見えてはいない証拠でもある。
しかし、不定期に来る事を承認したということは、これは常に解放されていると言うことなのだろうか?
そんな事をしては、何かしらの因果によって存在が広まる可能性だってあるのでは無いのだろうか。
それは衣玖にとっても、天人にとっても都合の悪い事。そしてその時に責任を取らされるのは間違いなく………。
階段から背を向け、心無いまま歩き出す。
自分の都合ばかりが視野に納め、大局を見誤ってしまうこの体たらく。昔の自分ならばそんな事は決して有り得なかっただろう。
私が幸せになる事。それが今の自分が生きる明確な目的。
しかし、他人を蔑ろにし自身だけが良い思いをする。それは本当に私にとっての幸せの定義に当てはまるのだろうか。
私の求めるべき幸せとは、誰かのマイナスを自身のプラスへ変える事で成り立つ穢れたものなのだろうか。
皆が言う。私は他人を第一に考え、自身はその枠にすら入っていないのだと。
―――違う。そうじゃないんだ。
少なくとも、今は違う。そうはっきりと言える。
昔はただの憧れだった。眩しい位に真っ直ぐなその存在が、私の人生そのものを突き動かしていただけ。
自分の意思などそこには無く、まさに傀儡の如くさ迷っていただけに過ぎない。
誰かを救う事は悪いことには決して成り得ない。例えその対象にどんな要因が働いていたとしても。
しかし、私が本当に救いたい者。その殆どが世界の意思によって切り捨てられた者、つまりは存在価値自体を否定された憐れな生き物を差す。
障害者が全て社会不適合者だと言う偏見と変わらない。ただ目先にしか見えない事実だけを捉え切り捨てられた結果、その対象はおのずと絞られる。
世界にとって価値が無い者が天秤に掛けられた瞬間、そこに重さは無くなる。いや、元々質量すら無いものと扱われる。
それは余りにも無情で、救いが無い。
運命と諭されて納得出来る様な安っぽい出来事なんかじゃ無いのに、何も知らない者からすればそれ以外の何物でも無い。
知ることで絶望しながら死に絶えるか、知らないまま理不尽と嘆きながら死に絶えるか。その違いなど皆無に等しい。
先行く未来が変わらないのならば、どちらが一番マシと捉えるのか。
私は、それが嫌だった。
意味もなく死に行く人、理不尽に苛まれる人。
運命と言う不確定要素に抗うには余りにも弱い人間を、救いたかった。
この世の誰しもが救えないのなら、弱き者の手を取ろうと思う事は間違いなのか?
涙は枯れ、流れるのは血液のみ。
人としての意思は砕かれ、残るのは無惨な姿の硝子のみ。
これならば機械になれればどんなに楽かと思う事すら許されなかった。
私の正義の味方になりたいと思う意思が心のギリギリを支え、それがとてももどかしく、まるで拷問の様に生かさず殺さずを保っていた結果、私が生まれた。
世界に必要な者―――つまりは強者ばかりを優先する守護者としての在り方が、私を汚染した。
強者を生かす為に、弱者が屠られる。いや、意思とは無関係にこの手で屠り続けていった。
それが、守護者としての代償だったから、私はその状況に縛られるしかなかった。
でも、それはただがむしゃらだっただけ。
各個たる信念を築き上げたと自惚れたそれには芯が入っていなかった。
これでは私利私欲で動く俗物と何ら変わらない。
救うべき者すら定まらず、自己満足だけで悦に浸っていた莫迦者。正義という欲望を、弱き者に対して捌け口にする醜悪の権化。
私はその事実に気付くのが遅すぎた。
気がつけば私は衛宮士郎の抹殺と言う望み薄の悪足掻きにすがっていた。
最早自分自身への復讐しか無いと考えていた自分は、盲目的にそれを追い続け、その為に何もかもを捨てた。
殺人に対する背徳感。
躊躇う程に非道な戦術、戦略に対する恥の心。
正義の味方としての私の人生。
―――私が今まで救えた者の意味。
仮に衛宮士郎が死に絶え、その影響で私も同じ末路を辿ったとしよう。
ではその後に起こり得る未来―――本来私が救えた筈の死する運命にあった存在はどうでもいいと、関係無いと被りを振ってしまうのか。
私の信念が、正義の味方への思いが弱かったから望んだ我が儘によって、何百、何千の人間が死んでしまう。今考えても自身の莫迦さ加減に憤りすら覚える。
機械が心を持ち合わせた事による内面からの破壊。
視覚で確認できる肉体の破壊とは違い、それは外側の肉体が変化するまで削れなければ、気付かれない。そして、気が付けばもう手遅れ。
誰かに内面の破壊を認識されない限り、止まる事は無い。
しかし、機械自身にはそんな術は無い。いや、ある筈なのにそこすらも壊れてしまい、最早自分自身が分からなくなる。
だから誰かが向き合うしか、そのガラクタに救いは無い。
数多の命を救えても、自分自身は救えない。たとえどんなに救いを懇願したとしても、救われる為に努力したとしても、誰かが手を差し伸べなければ糸口すら掴めない。
悔しいが、それが自身を投げ打ってきた者への罰なのだろう。
『ふぅ………』
この手の事を考えて、何度目の溜息だろう。
何度も問答しては出るのは溜息のみ。虚しいにも程がある。
恐らく前にもしたであろう、顔を左右に振り意識を外へ向ける。
そこで気が付く。
『どこだ、ここは』
迷っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
森の中で三つの影が三つの感情を露にしている。
『キャハハハハ!せいこうせいこう!』
愉しそうにぐるぐるその場を回転している金髪の少女。
『ちょっと、そんな大きな声出さないでよ。バレちゃうじゃない』
その姿を叱り付ける金髪で縦ロールの少女。
『―――ねぇ、やっぱり止めといた方がいいよ………』
何に対してか怯えをみせつつ、今しがた行った事への中止を訴える黒髪ロングの少女。
その三人は、形は違えど共通的に羽が生えていた。
幻想郷の住人なら、その姿を見れば一度で理解できる容姿をしている。
妖精。
常にその姿は子供と同等の大きさしかなく、しかしその背中から生えたものから、人間とは違う存在だと認識できる。
人間よりも下位の存在として扱われ、肉体的な死を迎えても蘇り続ける。ある意味不死に等しい存在。
知力もその見た目同等位しかなく、毎日楽しそうに騒ぎを起こしている。そして退治されてはこりずに繰り返す。
そして今この少女達は、ある標的に対して悪戯をしかけていた。
そいつはその悪戯に気づかず、右往左往としている。
金髪の少女―――サニーミルクは光の屈折を操る程度の持ち主である。
縦ロールの少女―――ルナチャイルドは周りの音を消す能力の持ち主。
黒髪ロングの少女―――スターサファイアは、生物の動きを補足する能力の持ち主。
彼女達はこの能力を駆使して、対象を迷わせる遊びをよく行っている。
光の屈折で景色に嘘を与え、景色の安定しない森の中を迷わせる。
音を消すことで自身の位置を把握させなくする。
補足する能力で対象の位置を常に把握したり、悪戯の対象を簡単に探し出せたりする。
直接的な戦闘ではそこまで意味をなさない能力だが、悪戯限定ならばこれほど有効なものは無いだろう。
『大丈夫だって。ルナが音消してくれれば逃げ切れるし』
『ったく、それで何回捕まったりしたと思ってるのよ』
金髪二人が軽い言い合いをしている間、もう一人の少女は言うべきか悩んでいた。
それは、少し前に遡る―――
『暇~』
サニーミルクが、唐突にそう言った。
他の二人は、またかと思いつつその少女へと目をやる。
『そんなのみんな一緒よ』
『ならまたあれやろうよ~』
ルナチャイルドがいつもどおりの返しをすると、サニーミルクもまた殆ど変わらない返しをする。
スターサファイアは木陰で小説と思わしきものを読んで、二人に干渉する気は一切なさそうだ。
『こんな時間に?』
ルナが上を指すと、日は傾き初めていた。遊ぶには少々遅い時間帯ではある。
『あれをやるにはもう遅いんじゃない?暗くなればこんな森の中になんか誰も立ち寄ろうなんて考えようと思わないでしょ』
『そんなのわかんないじゃん。てか、それを探す為にスターサファイアがいるんでしょ?』
自分の名前を呼ばれたことで、スターが顔を上げる。
『めんどくさい。大体結果的に怪我したりする可能性ばかりじゃない』
冷静にそう答える。
彼女からすれば、その能力のせいで欠かさず連れまわされとばっちりを食うにも等しい位置に立たされているのだから、当然の反応ではある。
『そんなこと言わないで、無敵の「スターサファイア」さんなんとかしてくださいよォーーーッ!!』
『無敵ならやられてないわよ』
ボケもスルー。慣れだろう。
パタン、と音を立てて本を閉じると、軽い溜息を吐く。
『仕方ないわね。ちょっと待ってて』
拒否を繰り返していても五月蝿いだけと悟ったのか、目を閉じて両手で輪を作り出す。これが彼女が能力を使うときの儀式である。
視界が一切の黒の中、浮かび上がる幻想郷の情景。
四方八方あらゆる位置から覗ける世界を、自身がいる森の中だけに絞る。
森の中くまなく探し出すと、ひとつだけ存在を感じ取れた。動物とは違う、確かな存在を感じる。
『ひとつだけ………存在を感じれたわ。でも―――』
『よし!じゃあそこへ向かうわよ!』
それを聞いた瞬間、サニーがばびゅんと飛び去っていった。
取り残された二人は、その姿に呆れ返る。
『仕方ないわね、いきましょ。あいつ場所も知らないのに全く………』
『え、でも―――』
全て語り終える前に、ルナもまたサニーの消えた方向へと姿を消した。
『………でも』
その場でぽつりと呟く。
あのときに感じた存在を容易く感じ取れたのは、森の中にいる生物が少なかったからだけではない。
その存在を捉えた瞬間、理解した。
今まで悪戯をしかけた誰よりも―――強大な力を所持している奴だったから、引き付けられたのだと。
私達が居住している大木の近くの神社に住まう博霊だったかを探知したときも同じ感想を抱いた気がするが、そんなものが霞んで見える位に力強く、雄雄しく、何故か暖かい感じがした。
私が二人の制止への遅れたのは、その暖かさのせいだった。
ただ強大なだけの力ならば、絶対に近寄らない為に必死に止めていたであろうが、その暖かさのせいで、一瞬大丈夫なのではと躊躇ってしまった。
『急がなきゃ』
考えてみれば、そんな不確定な感覚だけで信用できるほど自身の能力が強いと自惚れてはいない。
一度も感じたこともない力なのだから、一目見ない限り不安は募る。
死なないからといって、死地に向かうのは愚かでしかない。でも二人が心配なのは確か。
出来れば二人がその存在に気がついてませんように。そう願い急ぎ追いかけた。
結果、彼女の真摯な願いは叶えられなかった。
追いついた頃にはサニーは能力を発動していた。幸い、能力には気がついていない様。
今更答えても聞いてくれないと判断したのか、彼女は常にその存在へと注意を払っている。
私が蒔いた種でもあるから、出来る範囲で被害を抑えようとする。
突如、そいつの動きが止まった。
先ほどまで我武者羅に歩いていただけだったそいつは、まるで気配を殺す様にその場にぴくりとも身体を止める。
ぞくり、と背筋が凍る。
久しぶりに感じた明確な死の感覚、それに中てられてる。ここにいれば間違いなく死ぬ。そう本能が告げている。
そこからは、一瞬だった。
今まで監視していた奴なんか脇目も振らず、ただ横に居る二人に押し倒すように飛び込んだ。
正直、このとき無意識に二人の口を塞いでたのは僥倖だった。
そうじゃないと、間違いなく逃げ切れない。
ドズン、という音に振り返ってみると、私達がいた場所の後ろにあった巨木に白と黒の剣が深く刺さりこんでいた。
距離に関してはやっと視認できるかどうかだったかのものだった筈なのに、殺気を感じた刹那、一秒経ったか否かの速さで今の状況が出来上がっていた。
見た目武装などしていなかったのに、こんな一瞬で武器を投げて、こんな速さで投擲したって事―――!?
二人も現状を理解してないようで、逆に大人しくなっている。
それにホッとした瞬間
『君達は………?』
とても大きな存在が、私達を見下ろしていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『君達は………?』
見られている気配を感じてから数十分程。襲われる気配もなく不気味だった上に、迷って少しイラついてたせいか、少し攻撃的になってしまった。
今回はちゃんと木に登って位置を確認したのに、何故か歩いてみれば予定外の道。
上り下りを繰り返していれば、大抵は嫌になる。
その結果、目の前にいる少女三人に出遭った。
太陽の様な金髪にカチューシャらしきものを着け、赤色に白を基調としたメイド服っぽい姿をした少女に、こちらは月光が似合いそうな金髪に縦ロール―――ルヴィアを連想させる髪型で、白を中心とした催し物に対照的に飾り付けられているリボンが映えている少女に、唯一黒髪でロングヘアーの、青を中心としたドレスにリボンの、明らかに脅えた表情でこちらを見ている少女が居た。
彼女達のすぐ近くに刺さっている干将・莫耶が、その理由を物語っている。
『あ、その―――』
『なにすんじゃいスターーーー!!』
謝罪の言葉を述べようと口を開いたと同時に、金髪少女が上に乗っかっていた黒髪の少女を飛び起きながら跳ね除ける。
一緒に倒れていたルヴィアな子はやれやれと言わんばかりの表情で気だるそうに起き上がる。
『いきなり飛び込んで一緒に口塞いで………頭ぶつけちゃったし息できなかったしー!!』
うがー、と吼えるように怒涛の文句を垂れるその姿から、活発な性格が覗ける。
対してそれに圧されている黒髪の少女からは物静かな印象を与えられるが、微妙に違う感覚も同時に与えられる。
『お、落ち着いて。だってあの時はこうするしか―――』
『だってもヘチマもない!謝れ!全力で謝れ!』
留まることの知らない孤独の謝れコールが森中を木霊する。
そんな中、痺れを切らしたのかちびルヴィアが吼える少女の後ろから肩を引っ張る。
『なによルナ!今忙しいんだから後に―――』
振り向き様にルナと呼ばれた少女が、くいくいとこちらに親指を向けてくる。
その指の先をなぞる様に視線を辿っていくと、私と目が合った。
『あ………』
どうやら今の今まで存在を認識していなかったらしい。目が合ったまま硬直している。
そこから動きがあったのは、右頬だった。冷や汗をかきながら頬をヒクヒクさせている。
その理由を知らない彼としては、この反応はまるで幽霊を見たかのようだと思うだろう。
事実、彼女はそれと同等の驚きと反応を見せていたから違いはない。
『うわぁぁぁぁああぁぁぁあっ!!』
先ほどまでの一番大きな声よりも遥かに大きな声が響き渡る。
腰を抜かしたのか、尻餅をついてそのまま後ずさり距離をとる。
『あ、ああああんたいつの間にいるのよ!』
『いや、君達が倒れ伏している時にはいたのだが』
『あんたみたいなデカブツが近くにいて、分からない訳ないじゃない!』
デカブツなんて初めて言われた。確かに彼女の身長からすればそうかもしれないが、まるで私はただデカイだけの奴みたいではないか。
『いや、この人が言ってる事は正しいわ』
怒鳴られ続けていた少女―――スターだったかと呼ばれていた子が介入してくる。
それで納得したのか、大人しくなる。聞き分けは悪い訳ではなさそうだ。
『すまない。先程まで道に迷ってしまっていてな。どうにも抜け出せなくて躍起になっていたせいで敏感になっていた様だ。まさか君達みたいな子供がこんな時間に森にいるとは予想外だったんだ』
勢い強く頭を下げる。運が悪かったら彼女達に怪我、最悪□してしまっていた可能性だってあったのだ。土下座しても許される筈もない。
『あ、あの………顔を上げて下さい』
『そうはいかない。君達を傷つけてしまう所だったのだ、謝って許してもらえる問題ではないのは承知している』
『―――――――――』
重い空気が辺りを支配する。
未遂で済んだのだからそこまで思い詰めるべきでは無いと諭されても、私自身納得していないのに許されるなんて甘い考えは持てない。
『ねぇ。頑なになるのは勝手だけどスターが困ってるから頭上げてくれない?』
『………む』
そう言われてしまうと、反論も反抗も出来ない。
私は言われるがままに顔を上げることにした。
『全く、大の男がちょっとの失態にネチネチと拘って………。女々しいったらありゃしない』
『ちょっとルナ………』
いつも私が凛とかに嫌味を言うときと似た体勢で私を罵倒するルナに、それを止めようとするスター。
『………すまない』
『だから謝んないでよ。怒ってないのに謝られても無意味にこっちが意識しちゃうじゃないのよ』
『分かった。ではこれ以上は何も言わない』
『よろしい』
自身よりも遥かに小さな子供に説教されてるその姿は、滑稽なものだろう。
スターは未だに表情に不安の色を残したまま。やはり先程のあれの名残があるのだろうか。
しかしこれ以上謝らないと宣言した以上、私はそれを守ることを優先する。
『あ、あの………』
そんな彼女が、恐る恐る尋ねてくる。
『何かね?』
『貴方、誰ですか?』
その言葉には名を尋ねる以外にも含みを感じたが、追求してまで聞くべきことではない。
『私はエミヤシロウ。君達は確か、スターにルナに―――』
『サニーだよ。正確にはスターサファイア、ルナチャイルド、サニーミルクだけど』
『ふむ。いい名前じゃないか』
『当たり前じゃない!』
えっへんと胸を張るサニー、それに呆れるルナ、苦笑するスター。
三人寄れば姦しいと言うが、どちらかと言えば彼女を中心としてその光景が生まれてるのだろう。
『それにしても、君達みたいな子がどうしてこんな森の中を?』
『えーっとそれはね~』
サニーが意気揚々と話し始めた瞬間、スターがその口を塞いだ。
サニーはもがもがと暴れてるが、スターはそんな事気にも留めていない様子。
『あ、いや。私達は遊んでただけですよ。ねっ?』
『え?うん、まぁそうかしらね』
ルナに同意を求める姿には焦りが見られる。
何か怪しい感じはしなくは無いが、些末事だろう。
『とにかく、日も落ちかかっているのだし帰った方がいい。森というのは夜になると視界も悪くなると同時に、獰猛な生き物が活発になることが多い』
『大丈夫だよ。そんな危険ならスターがなんとかしてくれるから』
笑顔で親指を立ててスターサファイアへと向けるサニー。
ルナチャイルドはそんな姿を呆れた風に傍観し、スター自身は最早諦めた風に肩を落としている。
『ん?どういう意味だ?』
『スターにはね、生物の動きがわかる能力があるんだ。それさえあれば危ない場所には近づかないさ』
そんな二人を尻目にサニーミルクが語る。
その言葉に私はスターの姿を観察すると、彼女は疑問符を浮かべた。
夕闇のせいで視認出来なかったが、集中すればうっすらと生えている透明な、まるで羽化したばかりの蝶のような羽が彼女にあるのに気がついた。
それに連なって残りの二人も観察すると、皆異なる形の羽がある。
『君達は………』
『だからサニーに~―――』
『違うわよ。名前じゃなくて、羽のことでしょ?』
私の意図を読んでくれたルナが端的に説明する。
それにサニーもあぁ、と納得した模様。
『私達は妖精。一度くらいは見たことあるでしょ?』
妖精………地域によって色んな見解があるが自然崇拝、精霊崇拝等で森羅万象に宿る命を指す、人の形を模した精霊を表している単語。
現象であるそれらには死という概念は無く、その元となっている物―――森の妖精ならば、森という存在をこの世から消さない限り消滅することが無い。
書物以外で初めてその姿を見たが、人の形を模しているとはいえこれは完全に幼い子供ではないか。
これも幻想郷故になのか。
『すまん、見たのは君達が初めてだ』
その言葉に、明らかに驚いた様子を見せる。
『はぁ!?妖精なんてそこらにごまんといるでしょ。それなのに見たこと無いって、どんだけ目が悪いのよ!或いは周りを見てないか』
………グサっときた。
私は反論する言葉も見当たらず、手と膝を地面に落とす。
なんだ、この無駄な敗北感は。
『サニー、彼って外から来たんじゃ………』
スターが遠慮しがちにそう答える。
『そうなの?』
それを確認すべく、こちらへと問いかけるサニー。
『確かにそうだが………』
『来て何日目くらい?』
すかさずルナが質問する。
『4~5日くらいだろうか』
『それなのに妖精は見たことないと』
『………あぁ』
まるで脅迫面接みたいな気分になる。
相手の弱いところに付け込んでボロを出させる、そんな感じ。
『じゃあやっぱり周りを見てないだけじゃない!』
探偵が犯人に決定的証拠を突きつける、形は違えど状況は一緒だった。
『くっ――――――――――!』
負けた………勝負すら挑んでないのに負けた………。
がっくりとした先程の体勢に、重みがさらに増す。心が重い。
『ま、まぁそんな気を落とさずに………』
『いや、慰めるところじゃないから』
スターが的外れのボケ(本人は普通に心配そうにしてたが)にルナが的確な突っ込みを入れる。
『そんなことよりも、貴方どこへ向かう気だったの?こんな森の中の先なんて、ロクなもんじゃないわよ』
『宛ては無い。だがじっとしてるわけにも行かないんだ』
この子達にバイトのことを言っても無駄だろう。そう判断して適当に答える。
『ふ~ん、でもここにいるのはよろしくないだろうし取り敢えず出たら?ここから』
会話をしていて気がつかなかったが、日はどんどん傾いてきており、夜になるのはあと僅かといったところだろう。
『しかし、先程も言ったが迷っていてな。闇雲に歩いているつもりは無いのだが、どうしてもおかしな場所に行き着いてしまうんだ』
その言葉にルナが少し考えた後、サニーに目配せをする。それを理解した様子のサニー。
『森を抜けるならそこから真っ直ぐ行けば出れるよ』
『しかし、先程向かったのだが』
『私を信用して。今度は大丈夫の筈だから』
『………?』
彼女の自信が分からないが、彼女達のほうがここに詳しいだろうから信用しよう。
『分かった。でも君達はどうするのだ?』
『貴方の言うとおり危ないだろうし、退散するわ』
『そうか。有難う、助かった』
『お礼を言われる程の事じゃないわ』
ルナと会話してる中、後ろでサニーがバツの悪そうにしていたが何かあったのだろうか。
しかしこれ以上会話をして彼女達を留まらせるのはいけないと判断し、聞かないことにする。
『では、またいつか』
『そん時は一緒に遊びなさいよねー!』
『まぁ、死んでなければね』
『あの………本当にすみませんでした』
三者三様の言葉を背中から受け、私はルナに言われた道を歩き出した。
三月精を一気に紹介してやるっ………!!
三人紹介することもあって小説内で書いた部分の紹介は端折ります。とはいっても重要な部分は書きますが。
サニーミルク
種族:妖精
能力:光を屈折させる程度の能力
二つ名:悪戯好きな日の光
性格:明るく天真爛漫。三月精の中でリーダーっぽい感じ。熱血。
三月精は原作には登場せず、漫画や小説で登場する。よって知名度はそこまで高くない=地味。
結構な出力の光線を放つことも可能なようだが、目くらまし程度の効果しか無い。
太陽の光を浴びると傷の治りが早い。
ルナチャイルド
種族:妖精
能力:音を消す程度の能力
二つ名:静かなる月の光
音を消す能力の効果は、自分を中心として一切の音を消すことが出来る。
たまに無意味に使って存在をアピールしてしまう時もある。
鈍くさいらしいが、私の中だと………どうだろ。取り敢えず冷静な観察眼を持つキャラって位置づけ。
月の云々があるせいか、普通より夜更かし。
月の光を浴びると怪我の治りが(ry
スターサファイア
種族:妖精
能力:生き物の動きを捕捉する程度の能力
二つ名:降り注ぐ星の光
星の光の妖精。能力は三妖精の中でレーダー的な役回りで間接的ながら重要。三妖精の中では唯一天候に関係なく能力が使える。
気まぐれな性格らしいが、私の中では大人しい感じで成り立ってますフヒヒ。
大阪人なしゃべり方をするらしいが、私の中では(ry
東方内で見た目が酷似しているキャラがいて、それの偽者扱いされたりする。或いは娘。
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