はい、また更新が遅いですね〜。パソコンで後書き等を書くのですが、そのパソコンがおじゃんになったので直るまで停滞してました。
私はマヨヒガから立ち去った後すぐに帰宅し、執筆を開始しました。
その内容は、チラシ作成。それも就職活動の。
紫さんが渡したリストの中には古今東西の就職口が書いてあり、その中には新聞記者―――つまり私達天狗の仕事までが記載されており少々驚きはしました。
しかし私達の仕事はともかくとして、他の雇用先には癖を超越した所ばかりで、こんな所に就職しようなんて物好きはそうそういないでしょう。
そしてもうひとつ。私がこのチラシを配る訳なのですが、紫さんはその場所を指定しました。
本来この様なものはありとあらゆる存在の目に留まるべくして作られるもの。
それを限定的な場所にしか落とさない、と言うのも不自然過ぎます。
そしてその配布先は………魔法の森、アリス・マーガトロイド亭付近と言う狭い範囲。
何を目的としてそんな事をするかは分からない。
それでも私は仕事を続けるだけです。
………なんだか紫さんの悪巧みに協力してる様な気分になります。
悪巧みなのかは分かりませんが極秘裏に行われる時点で怪しいですし。
走らせていたペンを置き、椅子に寄りかかる形で身体を伸ばす。
時刻は深夜2時。
明日の明朝までにこれを配らないといけないらしいので、書き終わっても大して休む暇もありません。
まぁ仕事上慣れてはいますが。
『さて、もうひと頑張りいきますか』
だらけさせていた身体を再び机に向け、ペンを取り執筆を再開した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
手に持ったビラをベッドに置き、お粥を食べる事に専念する中、思考する。
紅魔館での執事としての仕事。
確かに私にとっての天職ではあるが、慧音に念を押されて言われる程に得体のしれない館。
そんな所へ易々と入るのは流石に無謀過ぎる。
剣術指南は、私には無理だ。
私の戦いは、剣を使えると言うだけで、そこには型も形式も存在しない。
ただ生き残る為の、誰かを殺めるだけのものだ。
剣術、と言われるのすらおこがましいもの。
よって、優先順位からは下がる。
薬の実験………あからさまに危険な匂いがする。
この様な裏の仕事みたいなものは給金は高い。
しかし長い目で見れば人間一人の価値とはかけ離れた安い金額に過ぎない。
命を張ってまで稼ぎたい、と言うほど先を見ていない訳ではない。
新聞記者、で例の少女を思い出す。
射命丸文、だったかな。
取材されたりもしたが、私に関した内容の新聞は未だ見ていない。
それはともかく、これも厳しいかもしれない。
何せ幻想郷の地理を把握してもいないのに取材だなんて、時間の無駄以外に他ならない。
それに、彼女のあのスピード。
あれ位は出来ないと幻想郷で新聞記者はやっていけないのかもしれない。
足を強化してもあれには及ばないし、何より地より空の方が圧倒的に効率が良い。
よってこれも駄目。
仕事のパートナー。最も的を射ない内容で、しかも雇用先は地獄ときたものだ。
それが比喩なのか事実なのかはともかく、嫌な予感を感じないのは何故だろう。
それはさておき、ペットの飼育。
これはかなり楽な部類に入るかもしれない。
しかし動物など飼った事のない男がいきなり他人のペットを引き受けるのは流石に失礼にあたる。
命を預かる立場にある癖にそれを全う出来ない奴には決してなりたくはない。
結果最後に残ったのは、家庭教師。
これでも戦いばかりしていた訳ではなく、教養は人並には身につけているつもりだ。
―――魔術と言うか、そっち方面の知識の方が濃いのは致し方ない事ではあるが。
部屋の奥へ消えていった人形師の少女が姿を現す。
『もう決めたの?』
決めた、と言うのは勿論今手に持っているこれの事だろう。
『そうだな………。様子見でまず家庭教師辺りを当たってみようかと思う』
『そう。でも確か、家庭教師だけは雇用先が表記されて無かった気がするんだけど』
彼女の言う通り明確な部分は表記されてはいないが、指定された場所はきちんと書かれている。
直接の場所を書かないのには理由があるのだろうが、大して不審には感じない。少なくとも他の雇用先に比べたら。
ただ一つ問題があるとするなら―――
『よりによって妖怪の山頂上とはな………』
その指定場所が、今最も会うのが憚られる者達が住まう所に近いなんて言うレベルでは無い所だったりする。
今更語るのもあれだが、私と早苗は今気まずい状況にある。とは言っても気まずいと感じてるのはこちらだけかもしれないが。
少なくとも、あの時の早苗は私がどうこう出来る問題とは思えなかった。
神奈子や諏訪子に負担はかけたくないと言って私が向かえば恐らく悲劇が繰り返されるだけで、本末転倒だろう。
心苦しいが、私の出る幕は無い。
『何か問題があるの?』
『あぁ。あそこで、と言うかあそこに住まう人に少し迷惑をかけてしまっていてな。
本当は私が出向くべきなのだが、それは火中の栗を拾う事に繋がってしまうのだよ』
伏し目がちなシロウの表情を見て、少女は何か考えている様子。
それで何か思ったのか、うんうんと頷いている。
『―――仕方ないわね。一回だけでいいならあそこの奴等に会わない様注意を逸らすわよ。
あんたの言い分だと、その相手って守矢神社の誰かでしょ?面識が無い訳じゃないから多少は役に立てるわよ』
と、いきなり提案して来た。
『いや、そこまでしてもらわなくてもこちらでなんとかする。何より君に負担がかかる。そこまでしてくれる義理もなかろう』
私の答えに少女は溜め息を吐く。
『義理、ねぇ。大有りよ、そんなもん。
何せ私の目指していた世界を見せるだけじゃなく、カタチにしてしまったんだから。
自分の力で到達出来なかったのは悔しいけど、まだ完璧って訳じゃ無いからここからは私の領分。後は仮定で使ったツケの精算だけ。
―――それに、借りの作りっぱなしは私の性分じゃないの。そういったのはパパッと済ませないとこっちの気が収まらないのよ!』
一気に捲し立てるその姿を見て、懐かしい影を重ねる。
一緒に地を駆け空を駆け、いつも傍らにいた戦友であり、遥か昔に憧れた存在と目の前の人形師が、あまりにも似ていた為だ。
見た目はまるで違うが、本質はこうも同一だと、生まれ代わりかと勘違いしてしまう程だ。
だからこそ一瞬で理解出来る。
彼女には、何を言っても曲げない確固たる信念が根付いてると言うことを。
………ここは大人しく好意を受け取っておくとしよう。
確かに見返りを拒むと言う行為はしようとは思わないが、それでも私にはこの条件が等価交換には思えなかった。
『分かった。しかし私が安全なところまで行ったと言う確認が取れないのではないか?』
『それなら安心して。
私は本当に世間話をしに行くだけだもの。貴方の護衛は副産物って考えてくれて構わないわ』
あれ程義理がどうのと言ってたのに今更ついで扱いなのは、彼女なりの虚勢なのだろうか。理由は分からないが。
全く、何故こんなにも凛の様な少女と縁があるのか。
『そうか。それでも感謝するよ』
それを最後に彼女は横にそっぽを向く。
その行動に笑いが漏れそうになるが堪える。
『取り敢えず向かうわよ。ほら、ちゃっちゃとする!』
問答無用と言わんばかりに腕を引っ張る。
だが、その前にやらなければいけない事があった。
『まぁ待て、ひとつ大事なことを忘れている』
『なによ。そんなもの後で構わないわ』
『いやいや。これは至極大事なことなんだ』
そう、これは絶対に外してはいけない。
本来なら昨日やるべきだったのだが、どうにもタイミングが無かったし、彼女自身も気づく様子も無かった。これ以上先延ばしにすると機会は訪れないかもしれない。
こちらの強い意思に気付いたのか、彼女は腕を離し軽く溜め息を吐く。
『………早く済ませないと気が変わるわよ』
『なに、ものの数秒もかからんよ』
そうして離された腕を私は彼女の前に差し出す。
『私はエミヤシロウ、君は?』
………こちらの意図か読めないのだろうか。彼女は私の顔と手を交互に観察している。
『………何これ』
『何って、名前の交換と握手だよ』
それでやっと理解したのか、すっきりした表情になる。
『私はアリス・マーガトロイドよ』
お互いの手が重なり、握手が成り立つ。
それに満足し、私は軽い笑顔を浮かべる。
『さぁ、これで用事は済んだ。行こう』
『そうね。上海、蓬莱、行くわよ』
その言葉に反応し、ふわふわとベッドから旅立つ二体。
………二体?それとも二人なのだろうか。
『今のは自律状態なのか?』
『そうね。
不思議なことにこの子達は寝てると自然と魔力を回復、つまり取り込む事が出来るみたい。まぁ最低魔力が残留してる場所じゃないと無理なんでしょうけど』
………そこまで凄いことをした覚えは無いのだが。
いや、意識が無かったんだ。いつも通り無茶をしたんだろう。
無意識で無茶出来るなんて、天然記念物ものだな。
『つまりは、魔力を行使しない限りこの子達は半永久的に活動出来るのよ』
まるでサーヴァントだな。
違いなんて、躰の構成材質だけだ。
そこで考える。
そんな事が可能なのか、と。
いや、目の前に結果があるのだから信じざるを得ないのだが、少なくとも私程度の魔術と魔力でどうにかなった時点でおかしいのだ。
初めて守矢神社に来た時に投影した木材。あれだって違和感がある。
魔力を帯びたものでは無い為魔力の消費は微々たるものだが、精巧過ぎたのだ。
通常、私が投影する物質は自然と元の物質よりランクがひとつ落ちる。それは必然なのだが、あの時の木材はそれを感じさせなかった。
まるで本物を引き抜いて来たかのような。
あの時はさほど気にしなかったが、今回の件で理解した。
エミヤシロウは、何処か壊れているんだと。
マイナスにならない破損なんてものは有り得ない。いつかフィードバックの際にプラス以上の破壊に繋がるだろう。
だからと言って出し惜しみする気は毛頭無いが。
ふわふわと近づいてきた上海は、何故か私の頭に着地する。蓬莱はアリスの隣を浮遊している。
『………何故こうなっている』
頭に乗った上海を持ち上げ、抱える様に胸元に持っていく。
上海は、まるで頭の上が恋しいかの様に天を仰いでいる。
『貴方はこの子達に身体をあげた人だもの。父親だと思っているんじゃない?』
『ほう、それなら君は母親か?』
そう言われればそう返すしかあるまい。
案の定、彼女は顔を真っ赤にしている。
言われるまで気付かない、と言うのも不幸だな。
『――――ッ!
馬鹿な事言わないでよね!』
理性が崩壊しているのか、上海を抱えてる私を殴るという奇行に走り出した。
だがそんな素人なパンチなんかに当たる筈もなく、易々と片手でそれを受け止める。
荒い息を立てて上目遣いに睨むアリス。
その剣幕から、決して悪いことをした訳では無いのにこちらが悪人に感じてしまう。
『ほら、君が早く行くと急かしたのだろう。
その君が足止めするのは間違いではないか?』
『………分かってるわよそんなの』
振るった拳を引き、手首を回す少女。
全く、第一印象は冷静だと呑んでいたのだが。
私達は今度こそアリスの館を後にし、妖怪の山へと足を向けた。
アンケートの結果、天子の家庭教師ルート、つまりは緋想天ルートが一位となりました。
アンケートが予想以上に集まり、小説を書かせてもらってる身としては感慨深いものがあります。
そんなこんなで、その感動の恩返しとして、緋想天ルート以下2位と3位になったルートも本編に交え、余裕ができたら他ルートもIFストーリーとして書きたいと思っています。
せっかくのアンケート無下になる選択だと思う人もいるかもしれませんが、それほど喜んだと思って頂けたら幸いです。
IFに関してはどうなるかは正直今は検討もつきませんが、出来るだけちまちまと書けたらいいな〜。
2位と3位は各自想像してお待ちください(笑)
さて、アリス・マーガトロイドの紹介をひとつ。
アリス・マーガトロイド
種族:魔法使い
能力:人形を操る程度の能力
二つ名:七色の人形遣い
見た目:金髪にカチューシャ、肌の色は薄く人形のような容姿に、西洋風のドレスを着用している。
魔法の森の小奇麗な白い洋館に住む少女。
大量の人形を自由自在に操ることができ、視界の外ですら人形10体以上を同時かつ精密に操る。
家事の殆どは人形にやらせている。他に雪かきや割れた窓の修復などもさせている。
戦闘は人形に武器(剣、槍等)を持たせて攻撃させたり、人形がレーザーを撃ったりする。
それ故に肉体での戦闘能力は低い。魔法使いなんだからしょうがない。
人形は爆発させることも出来るが、私の書くアリスはそんなことしません。
圧倒的な力で敵を倒すことは楽しくない為に好まず、常に相手より少し上の力で戦う。
戦いの緊張感の中にも常に心に余裕を持つことが彼女達の美徳である。弾幕はブレイン、と豪語している。
求聞史紀にはアリスは元人間の妖怪と記述されているが、旧作と関連付けると彼女は魔界の生まれの生粋の妖怪ということになる(或いは魔族か)。
まぁ魔法使いは悪魔の一種なのだが。
二次設定では友達のいない可哀想な扱いの子。
そしてひどいときは人形に話しかけるアブナイ人扱いされたり、と謎にイジラレキャラになっている。
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