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90分だけ貴女の味方です 作者:織田 涼一
5/10

005:貴女に花束を

皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
こちらのお話は不定期ですが両立させたい
と思っています。

ブックマークに1つきました。
そして消えました(笑)。
総合評価0爆進中、こちらは
気がついた人向けのお話です。
 今日は朝から三人でテーラーに仮縫いした衣装を合わせにいった。
ウォルフと自分は男なので衣装を調えるのに然程時間はかからなかった。
このテーラーには女性にゆっくり見てもらうように喫茶コーナーが設けてあった。
早速ゆっくりお茶をして待つことになった、一応今日はミーシャの護衛を兼ねているので自分達が終わったからといって帰る訳にはいかない。
ミーシャが出てくるのを待っていると店員から「お美しいですわ」と賞賛の声が聞こえてきた。
奥から登場を待つとミーシャは淡い緑のパーティードレスを着て、クルリと一回転しフレア部分をつまみんで礼をした。

「ミーシャかわいいよ」と声を掛けると慌ててウォルフも「うん、とってもいいね」と追随する。
「ウォルフ兄さま、減点です。アキラ兄さま、そこはかわいいではなく・・・」尻すぼみになった声はかすれていった。
「まあ、何はともあれこれでダンスパーティーに間に合ったね」
「ミーシャの分は別邸まで届けていただけますか?自分達の分は後で私が取りにきますので」

 店員にそう告げるとサインをする、支払いは別邸のお爺様が既に処理しているようだった。
カランコロン、入店の合図があったので思わずそちらを見るとステイシアがお供を連れて入ってきた。
一番に気がついたので失礼を承知で近づきお供の方へ声を掛ける。
「初めまして、アーノルド家のアキラと申します。この後お伺いする予定でしたが・・・」と続けようとした所ステイシアが期待をこめて前に出てきた。

「アキラさん、昨日はありがとうございました」
「いえ、お役に立てたなら幸いです」
「それでその手紙はもしかして・・・」
「はい、えーっと。ウォルフちょっといい?」
「え?ウォルフさまもいらっしゃるんですか?」
「アキラ呼んだか?」
「こちらが昨日の」
「ああ、これは失礼しました。私アーノルド家のウォルフと申します。この度は申請ありがとうございました、返事はこちらに認めましたが折角こうして会えたので直接返事をさせて頂きます。」
「・・・はい」ごくりとつばを飲み込む音が聞こえた気がした。

「今回のダンスパーティーのカップルこちらこそお願い致します。妹のお守りもありますのでずっとと言うわけには参りませんが」
「あ・・・ありがとうございます」
「まあお兄様、お守りとはひどいですわ。それと私にも紹介頂きたいと思います」
ミーシャが登場を伺いながら前に出てきた。

 ステイシアは三人揃った姿に緊張しているようだった。
そして「この後時間がありますか?」と聞かれたので皆に確認し近くの店でお茶を飲むことになった。
まずミーシャがステイシアの唇に注目する、そしてこちらを軽く睨んだ。
「アキラ兄さま、あれをお渡ししたのですね」
「うん、まあこのくらいはね」
「ステイシアさま、その唇とてもかわいいですわね」
「あ、これはその。昨日アキラさんに用立てて頂きましたの」
「とても似合ってますわ。ねえウォルフお兄さま」
「ん、そうだね。彼女の魅力が更に引き立てられているように感じるよ」
「まあ、魅力だなんて・・・」

 しばらく二人の会話を見て大丈夫だと判断するとミーシャに目配せをする。
「そうですわ、この後予定がありましたの」ミーシャがステイシアに断りを入れて退出することを告げると、自分も送るためと理由をつけて二人っきりにさせてあげた。
急に二人っきりにされたステイシアは慌てていたけど、きちんとお供の人が控えていた。

 帰り道で最近の学園の様子をミーシャに聞いてみると仲の良い友人が増えたそうだ。
そして【ウォルフ親衛隊】の人数が又増えた事を教えてくれた、【ミーシャを見守る会】がある事をミーシャは知らない。
二人はお互いに多くの人に見守られているが、お互い見守られている事に気がついていなかった。

 特に貴族の長男長女としてこの学園に来ているものは親からきつく言い含められていた。
アーノルド家は王国から見放されたのだ、へたに関わって不興を買う訳にはいかない。
こうして政治的付き合いの関係ない子息子女は同性の相手と友人になり、密かに憧れる者は親衛隊や見守る会に入っていくのだった。

 休みがあけて学園が始まる、その日は前日リクエストがあった真っ白い花束を用意していた。
「ウォルフ、見にいっちゃダメかい?」
「アキラ、さすがに恥ずかしいんだけど・・・」
「後でミーシャに聞く事で納得するよ、噂が広がるのは早いだろうからね」
「そこは覚悟しとくよ」

 ウォルフが花束を持って学園に行くと密かな騒ぎになっていた。
「ねえ、もしかして」「クスクス」「え?なになに」「わたしかも?」「え?それはないわぁ」等など。
ウォルフは居た堪れなくなり一限目が終わり、休み時間になるとある教室へ向かった。

 教室の入り口に立つと出入り口にいた女性に声を掛ける、そしてステイシアを呼び出してもらった。
「あらウォルフさん、今日は・・・」
立膝をつき後ろに隠していた白い花束を差し出す。
「ステイシアさま、今回のダンスパーティー是非ご一緒させてください」
周りから黄色い悲鳴が沸きあがる。
「わ・・・私で宜しければ・・・お願いします」花束を受け取り一本引き抜いて返す。

 これは家として正式に交わされたカップル申請の正式手続きが終わった後の様式美のような儀式だった。
ただ、やる方は相当恥ずかしく形骸化されたものだったのでやる者は少なかった。
ステイシアは耳元にこっそり「ありがとうございます」とお礼を言いウォルフはそそくさと退出した。
すると周りの女性はステイシアに殺到し質問攻めにあうのだった。

 ミーシャに関してはさりげなく噂が広まっている。
昨年と同様に兄弟がパートナーをする事が決まっていて、問題はその合間に誰がダンスを申し込めるかにかかっていた。
事前の申し込みは見守る会を説得する必要があり、余程高位の爵位でなくては難しい。
爵位だけで何とかなるかどうかは人格によるが、学園時代はさりげなく家を主張するのがスマートだった。
パートナーが決まっている以上、第二第三候補でいいと申し込むのは非常識だった。

「やあ、ウォルフお帰り。どうだった?」
「はぁ、マジ緊張したわ」
「ステイシア嬢の慌てる姿が目に浮かんだよ」
「ん、すごいガチガチだった」
「詳細は・・・」
「ミーシャにでも聞いてくれ」
絶対尾ひれ背びれがついている情報でいいのか?と思いつつ後の楽しみにした。

 週末にはダンスパーティーが迫っている。
ウォルフの行動によりダメで元々とアタック&アピールするものが激増していった。
次第に盛り上がっていく学園内の空気に皆があてられて行く。
迫り来る影はなりを潜めていた。
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