表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

泡だらけ

作者: 雪つむじ

それはまるで、グラスに注がれたサイダーみたい。

下へ、下へ。

一度沈んで。

上へ、上へ。

出口を求めて、さまよっている。

一方通行。


どれくらい、重力が高かったら。

それとも、このグラスの中に。

どの程度の粘性があったら。

その動きが止まるのか。

出口がないと、思い出すのか。


一粒一粒。

浮かんできたものにふたをする。

一粒、一粒。

昇り切れなくて、つながりを増す。

大きく、大きく。

次第に成長した。

泡の中に、自分の顔が写っていって。

初めて、サイダーは思い知る。

自分の欠片が、次第に失われていくことに。

自分の体が、だんだんと入れ替わっていくことに。


外へ出ていった分だけ、何かが残っていく。

外へ出ていった分だけ、何かが沈んでいく。


沈んだものが、泡に置き換わって。

いつしか、泡が出なくなる。


人の、心も、そう。

泡と、言葉の代わりに。

重い、想いを、溜めこんでいく。


泡が出なくなったら。

きっと、底が抜けるんだ。

じっと見続けられるほど、悠長な時間はない。

じっと見続けられるほど、僕に余裕はない。

見下しているだけの、プライドだけが、沈んでいく。

きっと、そのうち、それだけが残る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ