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第6話 ドキドキ・・・?
第6話 ドキドキ……? P.19

健斗たちは少々お疲れ気味で、けれども気分は高調になっていた

久しぶりに踊る、神乃崎音頭はいいものだった

「あ〜楽しかったぁ〜♪」

佐藤が満足そうにそう言ってきた。健斗も同感だった。身に染みている神乃崎音頭を踊るのは容易なものだったが、やはり疲れてしまう

「じゃあ〜どうしよっか?」

と健斗がそう言った。どうしよっか、というのは、まだこれからどこか見回るかという意味が含まれていた

「そーだなぁ……もうそろそろ、花火見に行かない?」

ヒロがケータイで時間を確認しながらそう言ってきた。健斗的には、ヒロの意見に賛成だった

花火の時間までまだ少し早いが、場所取りなどを考えると早めに行くのが正しいと感じたからであった

「そーだな。なんか食べ物と飲み物とか買ってさ、花火見に行こうぜ?」

と健斗もそう言った

「あれ?」

と、そのときだった。早川が周りをキョロキョロしながら、不安そうな表情を浮かべていた

「麗奈ちゃんは……?」

早川にそう言われた瞬時、他の3人も周りを見渡した。しかしそこには麗奈の姿はなかった

健斗は不思議に思った。麗奈が消えた……

「あれ?はぐれちゃったのかな?どこ行ったんだろ?」

佐藤も不安そうにそう言った

はぐれたってことは……迷子になったということだ。健斗はそう考えたとき、嫌な予感が身を通った

こんな大勢の中、麗奈一人を見つけるなんて無理に等しかった。どこにいるのかなんて見当もつかない……

このまま逢うことも難しいように思えた

「とにかく……探そう。まだその辺にいると思うし……」

と早川が真剣な眼差しでそう言ったのを、健斗は見つめていた




麗奈は、物寂しそうな表情を浮かべながら、一人で未だ賑わう祭りの中を歩いていた

目的なんてない。ただ気分的に一人になりたかっただけだ。みんなから離れたくて、だからわざといなくなった。誰にもこの想いを悟られたくはなかった……

麗奈は深くため息を吐いた。今まで楽しかったはずの時間が、嘘のように消えていくようだった

麗奈がこんな気持ちになってしまったのは、あんな光景を見てしまったから以外に他ならない

健斗と早川がかなりいい雰囲気で二人っきりで会話をしている光景。赤の他人の目から見れば、ラブラブな一組のカップルにしか見えない光景だった

それを見たとき、何とも言えない……ただ辛い想いが胸の中で燃えているような感覚を覚えたのを、麗奈は現在進行形で抱えていた

この嫉妬の火が燃え尽きることはないのか……

どうしてこんなに、ドロドロと濁った想いになるのだろうか……

麗奈はそんなことを考える自分に嫌気が差していた

そんなことを思ってしまってはいけないのに、自分の意志とは関係なく、胸の中に生み出してしまう

早川は麗奈にとって、大切な友達だから……嫌いになることなんて絶対に出来ない

けど、このモヤモヤがいつの日か、憎悪に生まれ変わってしまうのであれば……自分は、どうすればいいのだろう……

恋心というのは残酷なものだとおもう。それが決して実ることのない恋だとしたら、尚更だ

いくら自分が好きだとしても、相手に伝わってない間……見向きもされない。ただ切ない想いを抱き、見てることしか出来ないんだろうか

麗奈は今まさに、その実らない恋をしているのだと思う

幻想的な恋は形だけに過ぎない

健斗は早川のことをずっと好きだったのだ。そんなことは……分かってる

だからこの先ずっと、健斗と両想いになることはないのかもしれない。あったとしてもかなりの低い確率で……それも分かってる

そもそも、幻想的な恋にすれ、健斗に恋心を抱いてしまうことに問題があるのかもしれない、と麗奈は考えていた

麗奈はこの街に突然やってきた、居候の身だ。そして、健斗とは男として見ることは出来ない。何故なら家族だから

そしてその居候も……いつ終わるのか……分からないのだ

未だお父さんからは連絡は来ない。別に仕事が全て終えたからとか、そういう話じゃなくてもいい

ただ、お父さんの電話が欲しかった

電話をかけることが出来ないほど、今はとても忙しいということなのか……切ない想いに駆られた

とまぁ、そんなわけで、いつ帰るか分からない

そんな状況で健斗を好きになってもいいのかさえ疑問だった

健斗を好きになったとしても、もしかしたら明日帰るのかもしれない

健斗から離れ離れになってしまったあとは?どんな想いが麗奈の中に残るのだろうか

きっと切ない想いで溢れるだろう。今の想いのままじゃ、毎日毎日会いたくてたまらなくなってしまうだろう

でも麗奈にとってはそれでもよかった

それでもいい……それでもいいから、健斗を好きだという自分の気持ちに嘘なんかつきたくない

今麗奈がいる間だけでもいい……

麗奈のことを見て欲しいという強い願望が麗奈の中にあった



健斗が恋しくて……仕方がないんだ



それからどのくらい歩いたんだろう……今自分がどこにいるのかなんて分からなくなった

それに気がついたとき、麗奈は軽いショックを受けてしまった。もうみんなのとこに戻らないと……

でもどうやって?こんな大勢の人の中からどうやってあの5人を探し出せばいい?

麗奈の頭にはすぐに答えが出てきた

無理だ……

正論法で探しても見つかるわけがない……

感情に任せてみんなから離れていったから、そこまで考えてはいなかった……

迂闊だった……

麗奈はすぐにケータイを取り出した。画面を見ると、そこには着信履歴が三件……

健斗からだった

健斗が心配して麗奈に電話をくれた。不謹慎かもしれないが、ちょっぴり嬉しかった

麗奈もすぐに健斗に電話をかけてみる……しかし……繋がらない

すぐに繋がらないわけに麗奈は気がついた

回線が混雑しているのだ。こんなに大勢の人たちの中、電話をかけることが出来ない……

麗奈はしばらく呆然としながらケータイをしまった

これからどうしようか……

と、そんな風に考えていたそのときだった

「大森さん」

普段名字で呼ばれたことのない麗奈は、誰かの呼びかけに気づけなかった

「大森さん」

二回呼ばれたところで麗奈はやっと振り向いた

振り向いた先には、一人の男の子が麗奈の目の前に立っていた

美男子と呼べるような人だ。麗奈を見て、優しく微笑みかけてきた

「やっぱり大森さんだ。どうしたの、一人で」

優しく微笑みかけてきて、優しく声をかけてくるこの男の子に、麗奈は安心感を抱いていた




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