ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第6話 ドキドキ・・・?
第6話 ドキドキ……? P.17

「いや〜、懐かしかっなぁ?“Believe”」

歩きながら、ヒロが健斗にそう言ってきた。小2のとき、ヒロや翔といっしょにこの七夕祭に来たときに、同じ演奏を聞いた

とても印象的に残っているのを覚えている。それほど深く感動し、鮮明に記憶に焼き付いているからだ

2年振りにやってきた七夕祭、いきなり満足出来た。そのBelieveの他の演奏もいいものだった

プログラムでは、広場ではしばらく何もやらないみたいだ。次は1時間後におじさんおばさんでのカラオケ大会らしきものが行われる。まぁ、大抵演歌だから健斗たちには退屈なだけだ

一つ不安なのが、父さんが出場するのかということ。毎年ベロンベロンにお酒に酔って帰ってくるからな

恥ずかしいことしてなければいいけど……


ともかく、健斗たちはようやくお店を見回ることにした

「麗奈ちゃん、どこか行きたいところある?」

早川が歩きながら、麗奈に微笑みかけてそう訊いた。早川が麗奈にそう訊いたわけは、二つある。

一つは健斗たち、神乃崎住民は、毎年この祭りに足を運んでいる。そのため、この祭りにどんな店があるのかは知り尽くしているのだ

二つ目は、麗奈があまりこういう祭りに来れなかったという事実。

一つ目二つ目から、健斗たちよりも麗奈が楽しんで欲しいと、四人で言い合ったことだ

最初にそれを言ってきたのは、早川だった

心優しいと思った。早川は友達想いの子なんだなと、改めて感じたことだった

早川にそう訊かれて、麗奈は少し悩んでいた。行きたいところがいっぱいあるのだが、まずどこから行こうか、整理がつかないのだ。しばらく歩くと、麗奈は笑顔でみんなに言った

「じゃあね、私金魚すくい行きたいっ!!ダメ?」

麗奈の提案に佐藤が可笑しそうに笑った

「麗奈ちゃんが行きたいならいいんじゃない?それに金魚すくいやりたいし」

というわけで、金魚すくいの場所に向かうことにして、一向はその場所へと足を送らせた



金魚すくいの場所へと足を運ぶと、やはり定番というだけに人気があるようで、多くの人、特に子供たちで賑わっていた

健斗たちは顔を覗き込むようにして、金魚すくいの様子を見ていた

「ねぇねぇ健斗くん」

麗奈が健斗に話しかけてきて、健斗はすぐに麗奈に目をやった

「勝負しない?どっちが金魚多く取れるかさ」

さらに麗奈はにやけて言ってきた

「ちなみに負けた方は、わたあめ二本奢るっていうの」

本来ならここで、気合いを入れてその勝負を受けるのが、一部負けず嫌いなところがある健斗はそうしてただろう

しかし、麗奈の言葉を聞いて健斗は頬を強ばらせて引きつっていた

「いや〜……う〜ん……」

曖昧な答えしか出せない健斗を見たヒロは必死に笑いをこらえているようだった

「麗奈ちゃん、こいつに勝負挑んだって無駄だぜ?」

ヒロは健斗をバカにするように続けて言ってきた

「だってこいつ、金魚すくいマジ苦手なんだからさ。勝負になんないよ」

ヒロがそういうと佐藤や早川、麗奈は可笑しそうに笑い始めた

健斗はむっとした様子で恥ずかしさを堪えていた

笑いながら麗奈は呆れたように挑発的に健斗に言ってくる

「それじゃ仕方ないっか♪健斗くんの性格からだったら、こういうのダメそうだもんね」

そう言われた瞬間、頭の中で何かのスイッチが入った

「う……うるせーなっ!!いいよ。だったらやろうぜ?絶対負けねーからな」

単純な思考に呆れながらも佐藤が面白そうにヒソヒソとヒロに言った

「健斗って本当に単純だよね♪」

「絶対笑えるから見とけよ?」

健斗はそんな二人の様子を怪訝そうに眺めていた

実際のところ、別に麗奈の挑発されたからというわけではない

それよりも早川にまで笑われたことが心外だった

早川にまで自分の性格はそんなにがさつに見えるものなのだろうか

少し悲しかった



健斗たちの番になると、健斗と麗奈はお互い150円を出して、おじさんから愉快そうに、金魚をすくうための網をもらった

網といっても、プラスチックの枠に薄っぺらい紙を張っているていどのもの

水に濡らすと、すぐにふやけてしまい非常に破れやすくなってしまう

とは言っても、一匹か二匹くらいはすくえるだろう

そう、毎回そう考えるのだ。それはまるで宝くじを買う際にもしかしたら当たるかもという心境に似ているのかもしれない

健斗は目の前でうようよと泳ぐ橙色に光る生き物に目を張らせた

どれを取ればいいのか……

麗奈との勝負にも負けたくないし、早川にも恥ずかしいとこなんて見られたくない

と考えていたが、金魚に集中していくにつれ、そんなことを考えている余裕なんてなくなっていく

健斗はある一匹の黒い金魚に狙いを定めた

出目金と呼ばれる金魚だ。こいつだけ、健斗に捕まらない自信があるのだろうか、悠々とゆったりと泳いでいる

健斗は手が震えながらも、ゆっくりとその出目金へと網を近づけていく

水につけて、本当にゆっくりと出目金の下に網を持っていく

あとは上に上げるだけ

そう考えて、健斗は焦燥感に駆られ一気に網を上げた

そのときだった。網は出目金をすくったが、水から出た瞬間に網が無惨にも破れてしまい、出目金は元の水槽へと戻っていった

「「だぁぁぁぁぁっっっ!!」」

悲痛の声を上げる。だが、その声は誰かと重なった

健斗は横を見ると、目を大きく見開いた麗奈と目が合った

麗奈の網は……破れていた

しばらく沈黙が続く……

「……プッ……アッハッハッハッハッ♪ア〜ッハッハッハッハ」

そんな二人の勝負の虚しい結果にヒロと佐藤と早川は耐えきれず大笑いをしてしまった

「アッハッハッハッハ♪二人とも下手くそにもほどがあんだろ!?イッヒヒヒヒヒヒ。は、腹いてぇ……アッハッハッハッハ♪」

とヒロが大笑いする

「アッハッハッハッハ♪何だか……やっぱり健斗くんと麗奈ちゃんって、アハハ♪似てるよね」

早川も笑いながらそう言ってきた。顔を見合わせた二人は、しばらく苦笑していた

「え〜っと……」

麗奈が口を開いてきた。苦笑しながら健斗に言ってきた

「じゃあ〜あの〜……引き分け……ってことで」

「……だな」

健斗は苦笑しながら頷いた。苦笑しあって、健斗たちはささっとのけぞった

結局、意味のない勝負の張り合いをしてしまったということか……



健斗と麗奈は可笑しそうに笑いあった

きっと麗奈も同じような可笑しさが込み上げてきたに違いがなかった






健斗たちの次に、ヒロと佐藤と早川が3人揃って金魚すくいに挑戦した

その結果、3人とも健斗と麗奈とは違い、いとも簡単にも金魚をすくえた。いとも簡単には言い過ぎかもしれない

佐藤と早川は普通の人がとれる、2、3匹をすくえた

まぁまぁである

だが、“いとも簡単にも”という表現に相応しいのが意外にもヒロだった

たった一回でやつは6匹の金魚をとりやがった

早川たちが驚いたのももちろん、周りにいた子供たちも感心してヒロのことを見ていた

健斗は最初からヒロが金魚すくいが得意ということを知っていた

だからあまり驚きはしなかった。だってこいつ小5のときに、金魚すくいで8匹をとったことだってあるのを覚えている

物理的に不可能だと思われていることを覆した小学生に当時おじさんも感服の限りだっただろう

ヒロは自慢気に振る舞っていた

けれどヒロはすくった金魚を、周りの子供たちに全部あげてしまった

これから移動するのに邪魔だからそうだろ

これに一言言えるのであれば、笑わせるな

ヒロの考えていることなど、健斗には大方予想出来た

金魚すくいですごいところを麗奈に見せつけたあと、さらに寛大な心の持ち主だということをアピールしたいのだろう

それを裏付ける証拠に、麗奈に「ヒロくん優しいんだね」と言われたときの表現ときたら……呆れて物が言えなかった

が、だからと言って麗奈がヒロに対して好意を持ったわけではない。そんなことよりも、健斗と同じことをしてしまったことに悔いていた

失礼な話である

健斗たちは、金魚すくいの隣に営んでいた、わたあめを一人一本ずつ買うと、再び歩き出した

おじさんが、わたあめを作る機械から溢れんばかり出てくるわたあめを割り箸で職人技のように巻いていく

次第に大きくなっていくわたあめの塊

そんな様子を麗奈は興味深そうに見ていた

そんな麗奈を見ると本当にあまりこういう祭りに来れなかったんだなと思えた。早川はそんな風な仕草を見せる麗奈が子供らしいという理由で可笑しそうに小さく笑っていた


甘いもの好きな麗奈は幸せそうにわたあめを食べていた

「わたあめなんて久しぶりだなぁ〜♪」

と嬉しそうに笑っているのを見ると、何だか口元が綻んでしまう

健斗もわたあめは久しぶりだった

わたあめの味は好きだったが、このベタベタした感じはどうも好きにはなれない


でもまぁ、こんな風にわたあめを食べているといよいよ祭りらしくなってきたような気がしていたのを健斗は自覚していた

しばらく歩くと、麗奈がまたある店に引き寄せられた

「ねぇねぇっ!!」

麗奈が引き寄せられたのは、これもまた祭りの定番と言える、射的だった

ルールはオモチャの鉄砲で、10メートルくらい離れて並べられている空き缶を打ち倒すというものだった

持ち弾は8発。8つ中3つの空き缶を倒せば……豪華賞品をもらえる

簡単そうに思えるが、10メートルという距離は案外遠くて、狙いにくい

さらにオモチャの弾であるため、一発当たっただけでは空き缶は倒れない

またさらに、8つ中3つはアルミ缶、もう5つはスチール缶で分けられている

スチール缶に当たっては、当たり前だが倒れるわけがない

スチール缶には何発か当てて下に落とすしか方法がない

またアルミ缶かスチール缶かは分からないようになっている

さらに特別ルールがあって追加料金を払えば弾を3発リロード……つまり弾を補充できるというわけだ

なかなか深く、興味深い射的である

「面白そう〜♪ねー、これやろ〜?」

麗奈にそう促されて、健斗たちは賛成した

ルールも興味深いものであった

「じゃあ、今度は早川たちからやる?」

健斗がそう言い出すと、早川が苦笑しながら右手を横に振って言った

「私いいや。射撃ダメなの」

「あたしも……射撃はちょっぴり……」

佐藤もそう言ってきて、健斗は軽く息を吐いた

懸命な判断だろうと思ったからだ。大体こういうのはあまり期待しない方がいいだろう

「じゃあ俺からやってやりましょー」

そう言ってきたのは、先ほどの金魚すくいで気分高潮、まぁ調子に乗っているヒロだった

ヒロは鼻息を荒くして食いかけのわたあめを健斗に押し付けてきた

射撃も自信あるのか?ヒロがこういうのをやったのを見るのは初めてのような気がした

ヒロはおじさんにお金を払うと、ゆっくりと手元に置いてあるオモチャの鉄砲を手にもつ

そして狙いを定める

どれがアルミ缶なのか、勘に頼って打たなければならない

3つのアルミ缶を撃ち落とせばいいわけだから、持ち弾が8つ、一つのアルミ缶に二発使うとしたら、計算的には6発使えばいい。ただ……確率の問題なんだよな〜……

健斗はそんなことを考えながら、射的の様子を見ていた

ヒロは本当に適当に打ち始めた

「おりゃ、おりゃおりゃおりゃ……あり?」

単純なヒロの射的の腕前は……最悪だった

今打った5発……一発も当たってない

「はは……おかしいなぁ〜?」ヒロは誤魔化すように、苦笑していた

そんな様子を佐藤がニヤニヤして見ていた

「く……くそっ!!くそっくそっ……」

ヒロはさらに残った3発を打ちはなった

が、結果は見えていた

ヒロの弾は二発だけ、缶にあたった。当たっても跳ね返るだけだった

先ほどの栄誉が台無しになったような気がする

すると、おじさんが意気揚々に高らかに笑いながらヒロに言った

「はい残念〜。どうする兄ちゃん。リロードするかい?」

ヒロは悔しみながらもリロードに迷っていた

「止めとけよ。金の無駄だぜ?」

「くぅ〜……」

ヒロはマジで悔しがっていた。なんつーか……大袈裟だなぁ

「じゃあは〜い♪私やりま〜す!!」

と麗奈が手をあげて元気よく言ってきた

そんな風に言う健斗は怪訝な顔をして言った

「やめとけって。今の悲惨なヒロを見ただろ?」
これ以上やっても賞品なんか手に入るわけがない

ただでさえ当てるのも難しいはずなのに……その上あまり動かないスチール缶が混じってるだなんて……

しかし麗奈は口を尖らせて言ってきた

「え〜?だって豪華賞品欲しいも〜ん」

「だから無理だって。こんなのに200円捨てるのかよ」

「大丈夫。私射的に自信あるから」

と胸を叩いて、誇らしげに言ってきた

いや……そういう問題じゃ……


「まぁいいんじゃない?」

と佐藤が苦笑しながら言ってきた

「賞品は無理かもしんないけど、ほら楽しめるんならさ、損じゃないじゃん」

それを言われると……と言わんばかり、健斗は口をつぐんだ

麗奈は能天気な性格のため、おじさんにお金を払ってしまった

健斗はそれでも……どうしたら豪華賞品が手に入るのか


空き缶が8つ……3つはアルミ缶でもう5つはスチール缶

アルミ缶に当たれば、すぐ連続で二発程度ですぐ倒れると思うんだけど……

スチール缶に当たったら、弾の無駄遣いになるんだよなぁ〜……

どーしたら、アルミ缶とスチール缶の区別がつけられるんだろう

連続二発で倒れるアルミ缶と動かないスチール缶……

動くアルミ缶と……動かないスチール缶



そのときだった

健斗はひらめいた

そうだ。あったよ。アルミ缶とスチール缶を区別する方法がっ!!

「麗奈っ!!ちょいストップ」


健斗がそういうと、麗奈は構えるのを止めて、健斗を見た

健斗は軽く手招きすると、麗奈は不思議そうに首をかしげながも健斗の元へと行く

「なぁおっちゃん」

健斗はおじさんに話しかけるとおじさんはすぐに健斗を見た

「これさ、本当に半分がアルミ缶でもう半分がスチール缶で分けられてんだよね?」

健斗がそういうと、おっちゃんは威厳とした態度で言ってきた

「あったりまえだ。卑怯なことはしねぇ。全部スチール缶なんてことはないからな」

健斗はそれを聞くと軽く口元で笑った

「なぁ麗奈、お前豪華賞品欲しいんだよな?」

健斗がそう聞くと、麗奈はすぐに首を縦にふった

「ちょい……」

健斗はまた軽く手招きをする

麗奈は不思議そうに首を傾げた

「ん?」

「あのな……」

健斗は麗奈に耳打ちを立てて、他の人には聞こえないように健斗のひらめきを麗奈に話した

ヒロも佐藤も早川も不思議そうな顔を浮かべていた

健斗のひらめきを聞いた麗奈は、少し怪訝な顔をした

「え〜……う〜ん……」

「これならいけるって」

「う〜ん……信用して大丈夫?」

「大丈夫だって」

麗奈は若干納得しないつつ、ゆっくりと鉄砲を構えた

慎重になって的を狙う。おじさんはさっきからニコニコしていている。

麗奈は健斗からどんなアドバイスを受けたのか……

この射的も人気があるのか、多くの人たちが囲んでその様子を見ていた

そして麗奈は、一発放った

その一発は見事缶に命中した

麗奈はしっかり照準を合わせて、缶を当てようとした

その結果、麗奈の射的の腕は相当なものだと思える

二発外してしまったのだが、残り八発、並んだ全ての缶に命中した

麗奈が苦い顔をしているのを見たおじさんは満足そうに笑った

「上手だったね。どうだい、リロードするかい?」

麗奈はおじさんの問いかけを無視して、健斗を見た

すると早川が微笑みながら残念そうに麗奈に声をかけた

「麗奈ちゃん上手だったね。でもやっぱりどれがスチール缶でどれがアルミ缶かなんて分からないよね」

「そうだよ。どっかの誰かさんよりかは全然すごかったよ?」

と佐藤がニヤニヤしながらヒロを見た。ヒロはそれが自分であることに自覚しているようで、佐藤の言葉を聞くと体をビクンッと震わせた

麗奈は照れるように
「えへへ」と笑うとまた健斗を見た

そして心配する趣で健斗に訊ねた

「……分かった?」

健斗はそう聞かれて、軽く口元で笑って見せた

「完璧。サンキュー」

多くの人で賑やかになっている射的。さっきから失敗ばかり出しているのでおじさんは得意気だった

「さぁっ!!誰か挑戦するやつはいないか?3つ倒せば豪華賞品だ!!」

おじさんの客寄せの文句に観客はざわめいた

みんなお金の無駄だと予測してるからだ

が、しかしだった

「おっちゃん。今度は俺がやる」

と自ら進んで前に出たのは健斗だった。新たな挑戦者が出て、おじさんは嬉しそうに笑った

健斗がお金を払おうとすると、それに佐藤が苦笑しながら言ってきた

「あれ?結局健斗もやるんだ」

「んあぁ。どうせ豪華賞品手に入ったも同じだし」

健斗の言葉に早川と佐藤とヒロは首を傾げた

豪華賞品を手に入ったと同じ……それは何を意味しているのだろう

的に完璧に当てられる自信があるということなのか……しかし、どれがアルミ缶なのかスチール缶なのか……分からなければ意味がない

健斗はお金を払うと、すぐに銃を構えた

どの的を狙うのかは、決めていた

健斗から見て、右から二番目……

健斗は照準をしっかり合わせて、銃をうちはなった

パパンッという二回の銃音を放ち、弾は的に当たった

それは見事、アルミ缶だった

二回の衝撃でアルミ缶は倒れた

初めて缶が倒れたことに、観客は大いに盛り上がった

まず一個目……確か次は……

健斗はその隣を狙い、打ちはなった

またそれも見事アルミ缶で、缶は倒れた

最後の缶……健斗は一番左を狙った

そして迷うことなく、しっかり照準を合わせて……二発打ちはなった

それは、気持ちのよい音を出して倒れてくれた

健斗は見事3つ倒すことに成功した

「やりぃっ!!」

健斗はにぃっと笑うと、軽くガッツポーズをした

3つ倒したことに周りで見ていた人たちは驚きの声をあげた。健斗が倒したのは全てアルミ缶だったからだ

健斗にクリアされておじさんは悔しそうに頭を抱えると、甲高い声を出した

「くあぁぁぁぁぁっっ!!坊主やるなぁっ!!」

健斗は得意そうに笑うと、おじさんは苦笑して健斗に言ってきた

「くそ〜っ……何でアルミ缶がどれか分かったんだ?」

健斗は何も答えなかった。そのかわり嬉しそうな笑顔をおじさんに見せつけた

「しゃあねぇ……ほら、豪華賞品第一号だ。持っていきな」

おじさんは下からその豪華賞品を取り出した

豪華賞品とは、何と大きい花火セットだった。線香花火はもちろん手持ち花火や、小さい打ち上げ花火など種類豊富に入っていた

確かにある意味、豪華賞品だった

「ありがとうおっちゃん」

おっちゃんは袋に入れて花火セットを渡してくれた

健斗は笑いながら、豪華賞品を受け取ると、健斗たちはその場をあとにした。歩きながら、麗奈からわたあめを受け取ると満足そうに麗奈に花火セットを渡した

「ほい。豪華賞品」

麗奈は嬉しそうに笑って、花火セットを受け取った

「わ〜い♪ありがとう〜♪」

麗奈の子供らしい笑顔に可笑しさを感じつつ、健斗はふと笑った。すると早川が健斗を見て、感心しているようだった

「健斗くん。射的上手なんだね〜。すごかったよ〜?」

早川がそう言うと、健斗は照れくさそうに笑った

するとそれにヒロが苦笑しながら、健斗を見て言ってきた

「そうだ……忘れてた。こいつ、シューティング系得意だったんだよな」

ヒロは思い出しながら苦い表情を作って、続けて話した

「ずっと前こいつと街まで映画見に行ったときさ、そのときゲーセン行ったんだけど……そんときこいつ、シューティングゲーム、ワンコインでしかも一人でクリアしやがったんだよ……あんときもかなり観客がわいてさ、すげーびっくりした」

「すごっ……」

佐藤と早川は驚くように健斗を見た。健斗は得意そうに自慢して、みんなに言った

「まぁ……なんとなく簡単だから」

「ん〜……でもさ」

早川が不思議そうに訊ねてきた

「どうやってアルミ缶の場所分かったの?勘?」

早川に不思議そうに聞かれて健斗は可笑しそうに笑った。首を横に振りながら、得意気な様子で話した

「勘なわけねぇよ。麗奈の射的を見たから、アルミ缶の場所が分かったんだよ」

健斗の言葉に早川たちはまた首をかしげた

健斗は笑みを浮かべながら、手の素振りを見せて説明した

「いい?缶が8つあって、その中にアルミ缶が3つ、スチール缶が5つあるじゃん。さっきのヒロのを見て、あの弾の威力からじゃ、一つのアルミ缶を倒すには二発当てなきゃなんなかったんだ。つーことは一つのアルミ缶を倒すには、六発必要ってことじゃん?」

「それは……わかるけど。だからどうやってアルミ缶の場所が分かったの?」

「あの銃でスチール缶を打っても、スチール缶って固いからさ、ただ跳ね返されるだけなんだけど……アルミ缶は当たったらある程度衝撃を食らうんだ。そこに注目しただけ」

すると佐藤がじれったそうに、焦燥感を感じながら健斗に言ってきた

「どういうこと?」
「さっき麗奈に、全部の缶に当ててもらったんだ。そしたら、わずかな差だけど、弾が当たってもまったく揺れなかった缶と、弾が当たったら少し揺れた缶があった。つまり、動かかった缶がスチール缶で、動いた缶がアルミ缶だって分かったわけ。麗奈のおかげでアルミ缶の位置が分かったから、あとはアルミ缶だけ狙えばよかったってわけ」

健斗の説明に、早川たちは驚きながらも納得した様子だった

ヒロが納得するように健斗に言ってきた

「あ〜……あっそっか。確かに性質が分かってるなら、逆にそこを注目すればよかったんだ……」

「健斗くん……すご〜い」

「まぁ、一種の天賦の才能ってやつ?」

健斗は得意そうに笑った

「しょーもない才能だね……」

健斗の言葉に対してそう呟く麗奈を、健斗は聞き逃さなかった

「お前やっぱりそれ返せ」

「や、やだぁっ!!だって私のおかげでこれ手に入ったようなもんじゃん」

「確かにそれもあるけど、役立ったのはせいぜい二割。あとは全部俺のおかげです」

「逆ですぅ!!私がいたから健斗くんが助かったんだもんっ!!」

「やっぱ返せっ!!何か腹立つっ!!」

「やだもんっ!!」


そんな風に言い合いをしているのを見て、早川たちは可笑しそうに笑った

健斗たちは再び、大勢の人ごみの中へと溶け込んでいった


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。