第6話 ドキドキ・・・?
第6話 ドキドキ……? P.14
いつもの道を真っ直ぐ自転車でこいでいく。案の定、麗奈は上機嫌になってくれていた
健斗にこっそり可愛いと言ってもらったことにも、何だか健斗らしさを感じて嬉しさを感じていた
けど、これから七夕祭だということにも楽しみを感じていた
麗奈は鼻歌を歌いながら、笑っていた
そして健斗に言ってきた
「ねぇねぇ」
「ん?」
健斗が振り向くと、麗奈が笑いながら言ってきた
「七夕祭ってどんなのかな?」
「どんなのって言われても……まぁ普通の祭りだよ」
「お店とかどんなのがあるの?」
健斗はしばらく考えた。お店か……
「焼き鳥とか焼きそば、たこやき……わたあめ……バナナチョコ……かき氷とかかなぁ。大体100〜200円くらい」
「へ〜♪早く行きたいなぁ♪」
そんな麗奈を見て、健斗はまるで子供のようだと呆れながらも、笑って麗奈に言った
「そんなに楽しみかよ?」
健斗がそう聞くと、麗奈は頷きながら答えた
「うんっ♪私ね、あんまりこういうお祭り行けなかったんだ」
健斗はそれを聞いて、少し不思議そうな表情を浮かべて麗奈に訊いた
「東京にはこういう祭りなかったの?」
「ううん。東京にもお祭りはあるよ。でも……ほら、私引っ越しが多かったから……忙しくてあまり行けなかったんだよね」
健斗はそれを聞いて少し物寂しい気になった。そのことは聞いてたけど、本当に色々大変だったんだな……
それ以上何かを聞こうとは思わなかった
だから健斗は、ふと微笑んだ
「ふぅ〜ん……よかったな」
「うんっ♪だからさぁ、今日健斗くんちゃんと付き合ってね?」
「ホイホイ」
「本当に?絶対だよっ?約束だからね?」
「分かってるって」
そんな風に会話を交わしていると、ふと健斗たちの右斜め後ろを漕いでいるヒロが納得のいかないような顔を浮かべて、健斗たちを見ていた
「……仲良くしてるとこ悪いけど……お前ら俺のこと忘れてね?」
そんなことを言うヒロに、健斗は困ったような顔を浮かべて、振り向きながら言った
「いや、別に忘れてねぇよ」
「あっそ。……いいなぁ健斗ばっかり」
「何が」
ヒロはぶつぶつ呟くように言ってきた
「浴衣美人後ろに乗せてさ……俺にも乗っけさせてよ」
「だってさ麗奈。ヒロんとこ行ってやれば?」
健斗がそう言うと、ヒロが明るい表情で麗奈に言ってきた
「ウェルカムットゥー麗奈ちゃんっ!!」
「う〜ん……私健斗くんの後ろじゃないと、何か落ち着かない……から……」
麗奈が苦笑しながらそう言った瞬間、ヒロの明るい表情が一気に落胆した表情に変わった
これから祭りに行く人の表情じゃない
「ご、ごめんね?」
「う……うう……チクショ〜ウッ!!!!」
ヒロは泣き叫びながら、健斗たちを通り越してものすごいスピードでこの一本道の道をこいでいった
どんどんヒロは見えなくなっていく
「あ〜あ……」
健斗は苦笑しながらそんなヒロを哀れに思っていた
それからしばらくして、健斗たちはようやく神乃崎駅の近くまでやってきた
歩道には健斗たちのように浴衣を着て、神乃崎商店街に向かって歩いてる人がたくさんいる
家族や友達同士や恋人とか……もちろん中には知ってるやつだっている
その代わり、車の方は少なかった
神乃崎商店街の方は完全に車侵入禁止になっていた
駅から降りてくる人もいる。きっと隣町からの人だ
それだけ規模の大きい祭りということだろうか?
「人いっぱいだね〜」
と麗奈が言うのを、健斗も苦笑して言った
「だな。みんな考えることは同じだもんな……」
ふとそんなとき、周りの人たちの視線が気になった
健斗たちを見ているような気がする
その理由は大体分かっていた
多分麗奈に見とれてるのだろう
特に男の人は必ず麗奈を見る
そんなことを思うと、やっぱり相当可愛いんだなぁ
健斗たちはいつもの図書館の駐輪場に自転車を止めて、また神乃崎駅に向かった
「麗奈、今何時?」
麗奈に聞くと、麗奈は小さなポーチから携帯を取り出して、時間を見た
「んっと……5時23分」
5時23分か……
「ちょっと早かったな?早川と佐藤来てっかな?」
ヒロの言う通りのような気がする
でも、早川たちが時間前に来てるかもしんないし……
とりあえず、健斗たちは駅前に向かうことにした
駅前に向かうと、本当に人が多かった
踏切のところで通り過ぎる電車を待って、浴衣とかを着た人びとが神乃崎商店街へと向かっている
「なぁなぁ」
健斗がヒロに話しかけれて、健斗はふとヒロを見た
「こんな大勢の人がいるところに一人でいたらさ、早川もあんな風にナンパとかされちゃいそうじゃね?」
と言いながら、あるとこを指差した
健斗がその指差された方向を見ると、何やら若い男の人が若いチャラチャラした女の子に話しかけている
確かに……ナンパだ
健斗はそれを見てからむっとした様子でいった
「早川はあんなチャラチャラしたやつらに落ちるやつじゃねーよ」
と言っていると、踏切を渡り駅前に着いた
人が多いから、早川と佐藤を見つけるのが少し難しかった
健斗と麗奈とヒロはキョロキョロと辺りを見回してみる
……健斗が見た限りだと、見当たらない
やっぱりまだ来てないのか……そんなことを考えているとだった
「……あっ!!おい健斗っ!!」
ヒロが少し慌てた様子で健斗の肩を叩いてきた
健斗はヒロを見ると、ヒロは少し可笑しそうに笑っていた
「おい、あれっ!!早川じゃね?」
ヒロに言われて、健斗がすぐに見てみると、駅前の出入り口の隅に確かに早川がいた
その瞬間、ドキリと胸が高鳴った
早川の可愛い水色の華やかな浴衣を見て、髪には華やかな花の飾り……遠くから見てもめっちやくちゃ可愛い……♪
今……初めてヒロの気持ちが分かったような気がする
が、そんな風に悠長なことを言ってる場合じゃなかった
早川のところに誰かがいる……さっき健斗が踏み切りのとこで見た若い男の人たちのように、チャラチャラした若い男の人が早川に話しかけているようだった
早川の表情はとても重い表情をしていた。下をうつむき、おどおどした様子で困っているようだった
「やっぱり早川ナンパされてんじゃん?やるなぁ」
とヒロはかなり落ち着いた様子で健斗に言ってきた
健斗はそれを見て、慌てながらヒロに言う
「お、おいっ!!早川ヤバくね?」
するとヒロは可笑しそうに笑った
「平気だって。たかがナンパだぜ?」
「で、でもさ、どっかに無理矢理連れていかれたらどうすんだよ!?早く行こうぜっ!!」
健斗がマジで真剣にそう言うと、ヒロはかなり可笑しそうに笑った
「んなドラマみたいなことがあるわけねぇだろ?」
するとヒロが何かを思いついたように健斗に言ってきた
「そうだ。お前、早川一人で助けてこいよ」
「は……はぁ?」
ヒロに突然言われて、健斗は少し憤りを感じた
「ふざけんなよ。みんなで行けばいいだろ?」
「別にみんなで行くことないじゃん。それにお前一人で助けたら、早川お前のこと惚れちゃうかもよ?」
健斗はそれを聞いてドキッと胸が高鳴った。確かにヒロの言うとおりかもしれない
惚れてくれるのはないけど、少なからず好印象を与えることになる……
けど……
「俺ここで見てっからさ。危なくなったら助けてやるよ」
ヒロにそう言われて、早川から好印象を受けたい一心で健斗は勇気を出し、一歩進んだ
が……すぐに足を止めて、不安そうにヒロを見る
「……殴られたりしないかな?」
そんな風に言う健斗を、ヒロは呆れながらも可笑しそうに笑った
「ないない。ちょっと早川を呼べば平気だから」
ヒロにそう言われてそれでも健斗は不安そうに早川に向かっていく
少しずつ近づくと、だんだん会話が聞こえてきた
「なぁなぁ、一人なんだろ?俺らと遊ぼうぜ?」
「こんな可愛い子一人じゃほっとけねぇって」
そんな風に口説こうとする男の人たちに対して、早川は怖がった様子で呟くように言った
「あの……わ……私……人待ってるから……ごめんなさい……」
「え〜。いいじゃんそんなの〜……俺らが怖い?」
「大丈夫だって。何もしねぇよ」
健斗は心臓を高鳴らせながら、溜まった唾をゴクリと飲む
そして勇気を出して名前を呼んだ
「は……早川」
情けない、しゃがれた声になってしまったが、早川にはちゃんと聞こえたらしくて、早川は健斗の方を見た
すると早川は健斗を見て、安堵感を感じたのだろうか、顔がほころんだ
「健斗くんっ!」
すると、早川に話しかけていた二人組の男の人たちはじろっと健斗のことを見てきた
その瞬間、健斗は体が固まって、頭の中に恐怖心が襲ってきた
ぜ……絶対殴られる……
早川は健斗のもとに走ってきて、そっと健斗の後ろに隠れた
健斗を頼りにしてるのがすげー嬉しい……すげー嬉しいし、めちゃくちゃ可愛いし……こういうシュチエーションも悪くはないかも
けど……ちょー怖ぇ〜……
若い男の人たちは健斗をじろっと見ている
そのとき覚悟した
殴られるの我慢しよう……
と思っているとだった
「……んだよ、彼氏連れか……」
「ちぇ……行こうぜ」
若い男の人たちは残念そうにぶつぶつ呟くと、健斗たちから離れて、商店街の方へと向かっていった
健斗は意外な展開に少し戸惑っていた
何もされずに行っちゃった……
「アッハッハッハ♪」
ヒロが後ろから笑いながら、健斗たちに近づいてきた
健斗は顔を真っ赤にしながらヒロを睨みつける
「な、何が可笑しいんだよ」
「だってよぉ、お前かなりびびってたべ?よかったな?何にもされなくて」
そんな風に言われて健斗はヒロから目をそらした
「大体、男がいる女と思われれば、手なんか出さないよ」
健斗はそう言われた瞬間、また顔が真っ赤になっていく気がした
誤解とは言え……早川の彼氏だと思われたんだよな……
……
……
「健斗くん」
突然早川に話しかけられて、健斗はビクッと体を震わせた
早川は健斗を見て、頬を赤く染めて嬉しそうに笑っていた
「ありがとう♪助けてくれて」
それを聞いた瞬間、胸が高鳴った
近くで見るとやっぱりすげー可愛い……
「あ……いや……うん……大丈夫?」
「うん♪平気。本当にありがとう♪すごく怖かった……」
「そっか……」
素直に「怖かった」と言ってくる早川に健斗は可愛さを感じて、顔がほころんだ
幸せな気分だ。ヒロの言うとおり、勇気を出してよかった
「その……ごめんな」
「何が?」
健斗は恥ずかしそうに言った
「えっと……何か……俺出しゃばっちゃったから……あの人たちに……その……早川の彼氏みたいに思われちゃって……」
健斗がそんな風に言うと早川は顔を赤らめた
けどすぐに微笑んで、首を横に振った
「ううん。全然気にしてないよ?平気」
「そっか……」
健斗が照れながらそう言うと、早川も照れて笑った
何だか……めちゃくちゃいい雰囲気じゃね?
そんなこと考えていると、ヒロが健斗の背中をパンッと叩いてきた
ヒロを見ると明らかににやけていることが分かる
健斗は恥ずかしさを覚えてプイッと顔をそらした
「……あ、そういえば、麗奈ちゃんは?」
「……あれ?」
早川にそう言われて、健斗たちはキョロキョロと周りを見渡した
そういえばどこにいるのか?
とするとだった
「あの……あれ」
早川が苦笑しながら指を差してきた
健斗たちがその指差された方向を見てみると、確かにそこには麗奈がいた
しかも、またさっきのやつらが……今度は麗奈に話しかけていた
「れ……麗奈ちゃ〜んっ!!!」
真っ先に向かっていったヒロは、ものすごい形相でその人たちに向かっていく
健斗と早川はただ苦笑してその様子を見ていた
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