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第6話 ドキドキ・・・?
第6話 ドキドキ……? P.12


それから家に帰ると、健斗は自転車を庭に置いて、欠伸をしながら麗奈といっしょに家の中へと入っていった

「「ただいま〜」」

家に帰ってきた安堵感により、思わずため息が出る両者

健斗たちは自分の部屋に向かわず、居間へと向かった

居間を覗くと、母さんが洗濯物を畳んでいた

またその隣にはタオルケットがしかれていて、その上に……ドロドロに汚れたゴンタが寝そべっていた

それを見た瞬間、嫌な予感が……

母さんが健斗たちに気がつき、ゆっくり微笑みながら言ってきた

「あら、お帰り。今日は早かったのね〜」

母さんがそう言うと、麗奈が笑いながら元気よく言う

「ただいま〜♪今日部活出られないんで、帰ってきたんです」

「あら、そうなの?あ、そうだ。二人とも〜……」

「お、俺、手洗いとうがいしてこよっ」

と少々焦りながら健斗がそそくさっと、そこからいなくなろうとすると……

「ちょっと待った」

母さんに呼び止められて、健斗はビクッと体を震わせると立ち止まった

母さんはコホンッと軽く咳払いすると、意気揚々と言ってきた

「麗奈ちゃん、この回覧板お隣さんに持っていってくれる?」

と母さんがちゃぶ台の上に置いてあった回覧板を麗奈に渡してきた

麗奈は何の抵抗もなく、心よく受け取った

すると母さんは猫なで声で健斗に言ってきた

「それと……健ちゃ〜ん?健ちゃんは、ゴンタのお風呂お願いね?」


……来た


健斗は軽く咳払いをすると、ちょっと慌てながら言った

「お〜、俺宿題やらなきゃ。母さんやっといてよ」

「いつもやらないくせに……」

と麗奈が呟くのを、健斗がむっとして言った

「今日からちゃんとやんだよ」

健斗の見苦しい言い逃れに母さんがため息をつきながら言ってきた

「つべこべ言わない。どうせあんた汗だくなんだから、ちょうどいいでしょ」

「え〜……つーかこいつどうしたの?また庭でも掘り起こした?」

健斗がじと目で眠っているゴンタを見ながらそう言うと、母さんがため息をつきながら言ってきた

「そうみたいなのよ〜。何を掘り起こしたのかしら……帰ってきたら庭がぐちゃぐちゃ」

「え〜……面倒くさいなぁ」

「え〜……じゃないっ!!分かったらさっさとやるっ」

「ほ〜い……」

母さんは威厳とした態度で洗濯物をしまいに行った

母さんが行ったあと、健斗はため息をつくと、何も知らずに眠っているゴンタをじと目で見つめた

そしてゴンタに近づいて……

「ゴンタ」

耳打ちするようにゴンタの名前を呼ぶと、ゴンタはゆっくりと目を開けて耳を傾けた

「……俺と麗奈、いっしょにお風呂入るんだったらどっちがいい?」

健斗にそう訊かれたゴンタは、首を傾げた

健斗はさらにゴンタに耳打ちを立てた

「俺なんかに洗ってもらうよりも、麗奈に洗ってもらいたいだろ?麗奈といっしょにお風呂入れんだぞ〜……いいだろ〜?」

カキンッ!!

その瞬間、後頭部に激痛が走って、健斗は後頭部を押さえながら後ろを振り向いた

麗奈が頬を赤くして、顔をしかめていた

どうやら麗奈が裏拳をかましてきたらしい

「健斗くんのエッチッ!!ゴンタに変なこと言わないでよっ!!」

「いってぇなっ!!殴るこたぁないじゃん」

「バカなことしてないで、早くゴンタをお風呂に入れてあげてよね」

と、ふんっと鼻で言われてツンッとした態度で居間から出て行った

「ったく……乱暴なやつなんだからなぁ……」

「何か言ったっ!?」

あっちに行ったと思ったら、廊下から顔を覗かせてきた麗奈に健斗は驚いてしまった

「べ、別に何もっ?」

「ふぅ〜ん……あ、やっぱり先シャワー浴びさせてもらうね?」

健斗はそれを聞いて、顔をしかめて納得のいかないように言った

「はぁっ?今お前さっさとゴンタをお風呂に入れろっつったじゃん?」

「だってぇ〜、汗びっしょりなんだもん♪じゃあ、そういうことで〜」

と笑いながらお風呂場に向かう麗奈……

健斗はそんな麗奈を怪訝そうに見ていた

「乱暴な上にワガママ女……」

健斗はそう呟くと、深くため息をついた










麗奈がシャワーを浴びるのを待ってから、ちょっと嫌な気分で健斗はゴンタを連れてお風呂に入れた

麗奈が入っている間、健斗は服を着替えておいた


ゴンタはお風呂に連れて行かれると、嫌がって、何度か脱走を試みようとしてきた

「こら、ゴンタッ、動くなって」

けどゴンタは全然言うことを聞かない

健斗がゴンタを押さえつけても、強い力で抜け出そうとする

これじゃシャンプーで洗うことが出来ない

面倒くさそうに健斗がため息をついたそのときだった

風呂場の戸が突然開いて外から麗奈の顔が覗き込まれた

微笑みながら麗奈は言ってきた

「手伝おっか?」

健斗はしばらく麗奈を見つめた

それからすぐにため息をついた

「いいよ。別に。回覧板お隣さんに渡してこいよ」

「だって一人じゃ大変でしょ?それにちょっと興味あるし♪回覧板はそのあとで」

健斗はしばらく考えてから、面倒くさそうに息を吐いた

「じゃあ〜……とりあえずそこで見てて」

「はぁ〜い」

健斗は暴れるゴンタを押さえつけて、一気にシャワーをかけてあげる


するとゴンタは体をビクビク震わせながら、高い鳴き声を出し、怖がっていた

どうして犬はこんなに水を嫌がるんだろう

不思議だ

健斗はゴンタを不安にさせないように優しく言った

「ほら〜、ゴンタ?水は気持ちいいだろ?」

正確にはぬるま湯だけど……まぁこの際どちらでもよい

けどゴンタは困ったように嫌がりながら、健斗を見ていた

若干涙目で健斗を見つめてくる

「そこまで嫌がるなよ……」

苦笑しながら健斗は言うと、そのままゴンタを押さえながら左手を麗奈の方に差し伸べた

「ほい、シャンプー」

すると麗奈は健斗の左手にシャンプーをつけた

健斗はシャンプーを泡立て、ゴンタの毛から洗ってやる

「ほら、気持ち良いだろ?何にも怖くないぞ〜?」

「へぇ〜、ゴンタの体が泡だらけになってくね?気持ち良さそう」

「だろ?ほら、だんだん甘くていい香りがしてきた……ん?」

確かに甘くていい香りがする

けど、何かゴンタのいつものシャンプーじゃない

健斗はその瞬間、はっと麗奈を見た

「おまっ……どのシャンプー使った?」

健斗がそう訊くと麗奈はきょとんとした様子で健斗を見た

そしてすぐに微笑み、それを見せてきた

「じゃ〜ん♪私がいつも使う、高い高いシャンプー〜♪ゴンタも柔らかい毛筋になって欲しいからね」

健斗はそれを見て、深くため息をついた

やっぱり……

健斗は顔をしかめると、怒声で麗奈に言った

「だぁ〜っ!!もう、このバカッ!!何でそんなもん渡すんだよっ!!犬が人間と同じシャンプー使うわけねぇだろっ!!」

健斗の言葉に麗奈はきょとんとした様子で言った

「だって健斗くん、シャンプー渡せって……」

「犬用のシャンプーだっつうのっ!!」

健斗は顔をしかめながら、その犬用のシャンプーを手に取って麗奈に見せつけた

「これだよこれっ!!犬の絵が書いてるやつっ!!」

麗奈はそれを凝視すると、不思議そうに言った

「別に同じじゃないの?」

「全然ちげーよっ!!犬に人間のシャンプー使ったら、肌が荒れちゃうだろっ!?犬の肌は人間と違って弱いんだから」

「へぇ〜、そーなんだ」

「そーなんだじゃなくって――うわっ!!」

ゴンタが健斗が麗奈に説教しているスキをついて、健斗の手から抜け出して、麗奈の脚の間を通り、風呂場から脱走しやがった

「あ、ゴンタッ」

「おいっ、逃げるなっ!!」

健斗と麗奈は同時にそう叫んで揃って風呂場から出て行き、脱走したゴンタのあとを追いかけていった









ゴンタを捕まえて、健斗は疲れてしまった。息を荒らして、またゴンタを押さえつけながら、シャワーでゴンタの泡を丁寧に落としていった

ゴンタは相変わらず、嫌がってる素振りを見せている

「……シャンプーつけて……犬用のなっ」

「はぁ〜い♪」

麗奈のこういう軽い返事のときは、何かしらやらかすって分かってたはずなのに……

健斗は深くため息をついた

麗奈がちゃんと犬の絵が描いてるシャンプーを取ったかを確認すると、妙に安心したのは何故だろう

健斗はすぐにゴンタにシャンプーで体を洗ってやった

と、するとだった

「ねぇねぇ、私にやらせてぇ?」

麗奈にそんなことを言われて、健斗は困ったような顔をした

「え〜……ちゃんと出来るかぁ?」

「出来るよ〜。こう……ワシャワシャすればいいんでしょ?」

そう言いながら、手でワシャワシャ……つーよりもシャカシャカする麗奈を見て、若干不安だったけど、麗奈と場所を交換した

麗奈はゆっくりとゴンタの体に触れて、シャカシャカ……ワシャワシャと手を動かして、ゴンタの体を洗い始めた

「ゴンタ気持ちいい?」

麗奈が聞くとゴンタは確かに気持ちよさそうに、くぅーっと鳴き、目を瞑った

「ほりゃほりゃほりゃ♪」

頭もシャカシャカと洗ってやる

「あ、足も洗って」

と健斗が指示すると、麗奈は素直にゴンタの前足を洗い始めた

「いや〜、お客さんいい毛並みしてますね〜?お手入ればっちし〜。いつもどんなシャンプー使ってらっしゃるの?羨ましいです〜」

とお客さんにシャンプーをしているどこかの美容師の真似をして、ゴンタに話しかけていた

そんな麗奈を見ながら、健斗はある思いにふけていた

健斗には何の関係はないけど、本当に麗奈に好きな人が出来たなんて、やっぱり驚きだった

一体……相手は誰なんだろう?

麗奈がこの町にやってきて、もうすぐ二ヶ月になる

案外早いものだ。けど思い出はいつの間にかたくさんある

二ヶ月、こいつといっしょにいて、時に懐かしい気持ちになることがある

やっぱり前こいつに会ったことがあるんだなぁ〜って、妙に納得出来る

確か……10年前とか言ってたよな。こいつに会ったことがあるのは……

5歳の俺は、一体こいつとどんな風に接してたんだろう?

ふとそんなことが気になって、健斗は母さんに聞いたことがあった

確か、母さんが肩こりが酷いからって、肩たたきをやってたときだっけ?

「え〜?今とあまり変わらないわよ〜?」

母さんにそう言われて健斗はちょっとびっくりした

「そりゃ最初は健斗も、恥ずかしがってたけど、30分くらいしたら今と同じようにすっかり麗奈ちゃんと仲良くしてたわよ〜?あ〜っ!!そこそこっ」

「別に……今が仲良くしてるってわけじゃないし……」

と言って、素直にならない健斗……

「でも何で俺全然覚えてないんだろ?」

本当にまったく覚えてない

そんな印象的なことがあったんなら、絶対覚えてたはずなのに……

そんな風に言う健斗に母さんは可笑しそうに笑った

「まぁ、まだ5歳ってのもあったし、滞在期間がたったの1週間だったしね〜?」

「でも、俺5歳のとき幼稚園で初めてコマ回ししたことは覚えてるよ?」

「知らないわよそんなの。あ〜、気持ちいい〜♪」

健斗がふぅっとため息をつくと、また母さんが笑って言ってきた

「あのときの健斗は、完璧に麗奈ちゃんに惚れてたね」

母さんがそう言うと、健斗は顔を赤くして言った

「なっ……そんなわけねぇだろっ!?俺があいつを好きになるわけねぇし」

「そうかしら〜?麗奈ちゃんがいた間、あんた麗奈ちゃんのことばっかり話すからね〜?お父さんが、“何だ、健斗はー麗奈ちゃんに惚れちゃったかっ?”って聞いたらね、あんたったら顔を真っ赤にして“違うもんっ!!麗奈ちゃんは友達だもんっ!!す、好きじゃないもんっ!!”なんてムキになったから、母さん可笑しくって可笑しくって、大笑いしちゃった♪アッハハハハ♪」

母さんが笑いながら話すのを、健斗は納得しない様子で聞いていた

想像してみよう

俺が麗奈のことを好きになる?

あんな脳天気おバカを……好きになる……

ないないないっ!!

2回立て続けで、安倍さんと福田さんがすぐに首相を辞めてしまって、またすぐに麻生さんに変わってしまったという、どうしようもない今の日本政府よりもありえないっ!!

「俺が麗奈のこと好きだったなんて、父さんはただの3流会社の平社員だけど、実は元CIAの人間で、実は今も裏でサイバーテロや国際犯罪の防犯に取りかかっているっていう超意外な状況だったというよりもありえないことだって」

「何言ってんのあんた……まぁ、麗奈ちゃんが帰っちゃうときに、あんた2週間は泣き寝入りしてたって事実もあるわよ?それだけ麗奈ちゃんが大好きだったってことよね〜?」

「だから違うって!!絶対ないからっ!!」

「あら〜?そうなの〜?そうやってムキになって否定するのは昔のまんまだけど〜?」

「ぐぐっ……別にムキなんかになってねぇし……」









ただ、認めたくなかっただけだ

こんな脳天気でバカでわがままなやつのことを好きだったなんて、考えたくもなかった

「ん〜、これでオッケイかなぁ?」

と言いながら、麗奈はゴンタの体を水で洗い流す

初めてにしてはよく洗えていた






ゴンタをバスタオルで熱心に拭いて、ドライヤーで完全に水気を乾かしてやる

するとさっきとは見違えるほど、綺麗になった

ゴンタもさっぱりして嬉しいのか、体を伸ばして嬉しそうに尻尾をふっている

すると母さんがゴンタのお風呂が終わったことに気がつき、顔を覗かせてきた

「あら、上手く洗えてるわね〜?そんなに綺麗だったら家で遊ばせていいわよ〜?」

母さんがそういうと、麗奈がゴンタに微笑んだ

「だってゴンタ。よかったね?」

するとゴンタも嬉しそうに吠えた

健斗はそんな様子を見ると、ふと笑った

「……じゃあ俺、回覧板渡してくるよ」

麗奈にそういうと、麗奈は意外そうに言ってきた

「え、いいよ。私行くから」

「だって結局ゴンタ洗ったの麗奈だからさ。回覧板は俺が行ってくるって」

と健斗が歩き出すと、麗奈が健斗を止めた

「いいって。好きでやったんだから♪健斗くん、お風呂まだでしょ?入りなよ。私行くからさ」

「え〜、いいのかぁ?」

健斗が苦笑しながら言うと、麗奈は微笑みながら頷いた

「じゃあ頼むわ」

「はぁ〜い♪ほら、ゴンタ行こう」

とゴンタを居間に連れて行きながら、麗奈は風呂場をあとにした

健斗はそんな麗奈の後ろ姿を見て、ちょっと驚いた

意外にも素直に優しいとこあんだよなぁ……

そう思ってから、健斗は小さく笑って、風呂にはいることにした









それから時間が経って、夜の6時半を回ったところだった

「ただいま〜」

家の戸が開き、父さんが仕事から帰ってきた

「あっちぃなぁ〜」

汗を掻き、すぐに靴を脱いで、家に上がる

すると居間から母さんが迎え出た

「あらお帰り〜。今日早いのねぇ」

「ああ。仕事が早く終わってな。健斗たちは?」

「居間でテレビ見てるわよ?先お風呂にする?」

「んあぁ。そうする。外は本当に暑くてさ」

と言いながら背広と鞄を母さんに渡して、ネクタイを緩めながら居間を覗くと、確かに健斗と麗奈がクーラーの利いた涼しい空間にいた

健斗はお茶をのみながらテレビを見ていた

麗奈はゴンタを膝枕して、優しく撫でながらゴンタを眠らせていた

父さんが帰ってきたことに、健斗と麗奈が気がつくと、二人とも口を揃えて言ってきた

「「お帰り〜」」

「ただいま〜、マイチルドレン」

といつものように会話を交わすと、健斗が父さんを見ながら言った

「父さん、今日早いんだね」

「ああ。お前たちの顔が早く見たいから、頑張って早く帰ってきたんだ」

「う……」

健斗はそれを聞いて気持ち悪そうに苦い顔をした

麗奈は苦笑するだけだった

父さんはゴンタにゆっくり近づいた

するとゴンタは目を覚まし、父さんを見た

「よっ、ゴンタただいま。羨ましいことしてんなぁ」

するとゴンタは甘えた声を出した

そんなゴンタを、父さんはゆっくりと頭を撫でた

「お疲れ様です。外暑かったでしょ?」

と麗奈が聞くと、父さんは苦笑しながら頷いた

「あぁ。夜もすっかり熱帯夜って感じだよ〜」

「父さん父さん」

今度は健斗が言ってきた

父さんはすぐに健斗のほうを向いた

「何だ?」

健斗はテレビを見て、指を差しながら頬を赤くして言った

「この、川崎智恵。スッゴい可愛くない?」

「川崎智恵?……どれどれ〜?」

と父さんがすぐに健斗の隣に座って、テレビを見た

健斗が見ていたテレビは普通のバラエティー番組だった。今度はそれのゲストで出演している、最近売れっ子のグラビアアイドル、川崎智恵ことチエちゃんについてだった

「ん〜……」

「どうどう?」

「ん〜……まぁ確かにチエちゃんも可愛いけど、父さん的にはこの司会のアナウンサーのほうが可愛いとは思うけどなぁ?」

「え〜?絶対チエちゃんのほうが可愛いってっ!!」

「そうか〜?何か声とかわざとらしく可愛い声を出してるよーな気がするぞ〜?」

「地声だよっ!!」

「何だ、健斗はーチエちゃん好きなのか」

「うんっ!!だってだって、この……」

と言いながら、健斗はにやけながら頬を赤くして、グラビアアイドル特有の豊満な胸を指差した

それをみて父さんも頬を赤くして、鼻の下を伸ばしながら、納得したようにいった

「まぁ確かに。そこはグラビアアイドル特有って感じだなぁ♪」

「父さん」

「何だ?」

「鼻の下伸びてるよ♪」

「お前もだよ♪」

という風なおバカな会話を交わしていると、後ろから突然拳骨を食らった

「いったぁっ!!」

後ろを見ると母さんが怒れた表情で父さんを見ていた

「アホなこと言ってないで、早くお風呂に入っちゃって」

「……はい」

父さんは母さんの言葉に素直に従うようにお風呂場へと向かった

健斗は痛そうに頭を押さえていると、麗奈がじと目で健斗をみていることが分かった

麗奈はじと目で健斗を見ると、呟くように言った

「……最っ低……」

「う……うるせぇなぁっ!!」

健斗は顔を赤くして、すぐにぷいっと顔を背けた








父さんも風呂に入り終わり、ようやく一家揃ったことで晩飯の時間となった

今日の晩飯はジャガイモのコロッケだった

久しぶりに食べるコロッケ、かなりおいしかった

ゴンタも今日はこの場でドッグフード食べて家族の団欒にいる

「「「「アッハハハハ♪」」」」

晩飯を食べながら、健斗たちは10年前のことを話題に話していた

「そっかぁ。二人とも本当に覚えてねぇんだなぁ」

と父さんが笑いながらそう言ってきた

健斗は頷きなからコロッケを口に運んだ

「でも……時々こいつに会ったような感覚を感じるときがあるよ」

健斗がそういうと、麗奈もすぐに言ってきた

「あ、私も。そういえばこの前夢でね、健斗くんっぽい男の子見たの。それ考えたら、やっぱり健斗くんと前会ったことあるんだな〜って」

「夢か……俺もあるなぁ」

健斗がそんな風に言うと、ふと健斗はその夢のことを思い出した

それは二度、三度見た

近くの公園で、小さな女の子といっしょに遊んでいる光景

それは第三者の目で昔の自分を見ていた

とても可愛い、ミディアムヘアーの女の子

いっしょに走ったり、ブランコ乗ったり、話したり、ずっといっしょに遊んでいた

そんな光景を延々と眺めているだけ

それがとても心地よくて……楽しいんだ……

それはまるで夢ではなくて、一つの記憶を鮮明に映し出しているようだった


「……あぁ〜……そういえば三丁目公園でよく遊んでたよな?日が暮れるまで」

と父さんが笑いながら母さんにそう言う

「河原の方でも遊んでたわよね?それに昔の麗奈ちゃんは、今よりうんっと髪も短かったわよね?」

「う〜ん……確かに今よりは髪短かったかなぁ?前の結衣ちゃんよりもうちょっと長いくらい」

「へぇ。昔の記憶が夢に出てくるんだなぁ」

と父さんが少し驚いたように言ってきた

健斗は少し首を傾げて、苦笑した

自分だって、どうしてあんな夢を見たのか、分からなかったから

「そういえば明日七夕祭ねぇ。今年あんた行くの?」

母さんにそう言われて、健斗はちょっと気恥ずかしそうにゆっくりと頷いた

すると父さんが笑いながら言ってきた

「へぇ、よかったじゃんか」

「……何が?」

健斗が聞くと、父さんはからかうように言ってきた

「5歳から好きだった麗奈ちゃんと七夕祭行けるなぁ」

それを聞くと、母さんが吹き出して笑ってきた

父さんもつられて大きな声で笑ってくる。麗奈は頬を赤くして、照れてるようだった

そんな三人を見て健斗はムキになって顔を真っ赤にして怒鳴るように言った

「だからチゲェーよっ!!別に好きでもなんでもなかったってっ!!」

「アッハハハハ♪昔と同じ反応だなぁ」

と父さんがからかってくるので、健斗は憤りを感じながらご飯を一気に食べた

「麗奈ちゃんは七夕祭初めてよね?健斗といっしょに行くんでしょ?」

母さんが聞くと、麗奈はちょっと照れながら頷いて答えた

「えっと……はい♪」

「だってさ。よかったなぁ健斗」

また父さんがからかっきて、健斗はむっとした表情でご飯を食べ続けた

「あと、結衣ちゃんとヒロくんとマナもいっしょに行くんですぅ」

「結衣ちゃんってチヨオバァサンのお孫さんなんでしょ?佐藤さんは確か高校で知り合ったのよね?」

と健斗に聞いてきたので健斗は頷いた

「早川は中学もいっしょだったじゃん。佐藤は隣町の中学通ってたらしいんだけど、今は親戚の家でお世話になってんだって」

「へぇ。なんで?」

「そりゃ、学校に通いやすいからじゃん。あれ、安川さんとこだよ」

健斗がそう言うと、母さんがびっくりするように言ってきた

「えっ!?安川さんとこのっ?あそこの親戚?へぇ〜結構近所じゃな〜い」

と、母さんが一人驚いていると、麗奈が笑いながら聞いてきた

「七夕祭って、3日間あるんですよね?私たち、最終日だけ行くんです」

「そっか。まぁ最終日だけ行けば、3日間分行ったのと同じだしなぁ。浴衣はあるのか?着てくんだろ?」

父さんの問いかけに麗奈はゆっくりと頷いた

それには母さんが口を出してきた

「確か、お母さんが高校のときに着てたのがあるのよね?」

母さんがそう言うと、麗奈はすぐに頷いた

「はい♪まだまだ着れるし、お母さんが“高校生になったら着ていいよ”って言って、私にくれたんです」

健斗はその話をご飯わ食べながら少し興味を持って聞いていた

「……夏奈かなさん、とっても綺麗な方だったわよね〜……麗奈ちゃん、夏奈さんの面影があるわ〜。そっくりになってきた」

と母さんが言うと、麗奈は照れながら笑った

「健斗くんも言ってくれました♪そんなに似てるかなぁ?」

健斗はふとあのとき、麗奈が持っていた写真に写っていた麗奈のお母さんを思い出していた

確かに似ていた

顔とかも似ていたけど、やっぱりどことなく雰囲気も似ていた

あのお母さんが夏奈さん……

そう、何だか見覚えのある優しい笑顔だった……

昔会ったことがあるってはっきり分かった

「似てるわよ〜。ねぇあなた?」

「うん。まぁな。確かに面影はあるなぁ」

「そうですか〜?何だか嬉しいなぁ♪」

健斗はご飯を食べて、お茶を飲むと一息ついて母さんたちに聞いてみた

「ねぇ、あのさ」

「何?」

「麗奈の父さんって、ここが故郷なんだよね?」

「そうよ」

「じゃあ麗奈のお母さんもここの出身?」

健斗がそう聞くと、麗奈がすぐに答えた

「ううん。お母さんは東京出身だよ」

「ふぅ〜ん……」

麗奈は箸を止めて、何か思い出しながら、健斗に話してきた

「確か、お父さんが大学のときにお母さんと知り合ったって、お母さん言ってた」

そっか……確か麗奈のお父さんって東京の大学に行ったんだよな

「タツがあんな美人さんと結婚するって知ったときはそりゃ本当にびっくりしたよ」

と父さんがビールを飲みながら笑ってそう言ってきた

「あの堅物が夏奈さんみたいな美人と結婚するなんてなぁ。ま、麗奈ちゃんは夏奈さんの全部を受け継いでよかった。タツの堅物なとこ受け継がないでよかったなぁ」

「アッハハハハ♪本当ですね♪」

と麗奈が声を立てて笑った

タツ……麗奈のお父さん

夏奈……麗奈のお母さん

健斗はお茶を飲みながら、笑っている麗奈を見ていた

そして、そんな会話を聞いていると、何だか物寂しい気持ちになって、そんな気持ちを紛らわすかのようにお茶を一気に飲み干した



川崎智恵

思いっきり架空の人物です

こんな感じなら平気かなぁ



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