第5話 挑戦、変わる勇気
第5話 挑戦、変わる勇気 P.4
「こんちわ〜」
「こんにちわ〜」
店に入ると、今日は客足が多かった。オープンキッチンの方には店長がいて、健斗を見るとゆっくりと微笑んできた
「おう、来たか」
「すみません。ちょっと遅れました?」
「ギリギリ。減給はセーフ」
「っしゃあ!!」
健斗は大きくガッツポーズをした。
危なかった……減給されたら、お小遣いが減っちゃうからな
店長が皿を拭く手を止めて、キョロキョロと周りを見渡している麗奈を見た
「可愛い子だな。もしかして彼女か?」
そう店長に言われ、健斗は顔を赤くして答えた
「違いますよ。こいつが麗奈です」
健斗がそういうと店長はほぉっと納得した
そして麗奈ににっこりと微笑みかけた
「こんにちわ」
「麗奈、この人がこの店のオーナーの竜平さん」
麗奈も店長を見て、ゆっくりとお辞儀をした。可愛いらしい笑顔でいつものように元気良く挨拶をした
「こんにちわっ♪健斗くんとお付き合いさせてもらってます、大森麗奈です!!」
麗奈の言葉を聞いて、店長は目を丸くしたが冷静な口調で健斗に言ってきた
「何だ……二人は付き合ってるのか……」
「ち、違いますって。お前も悪ノリすんなっ」
と言って、健斗は麗奈の脳天に軽く拳骨を入れた
「いったぁい」
麗奈は頭を押さえながらそう嘆いてきた
「冗談だったのにぃ」
と言って頬を膨らませてくる
健斗はそんな麗奈を無視して店長を見た
「すみません……こいつがついてくるって言ってきて……やっぱりまずかったですかね?」
と健斗が言うと、店長はヒゲを揺らして笑った
「ハッハッハ。別に構わんよ。可愛い女の子なら大歓迎だ。麗奈ちゃん、ゆっくりしてってね」
と店長は笑いながら言うのを麗奈は「はい」と言いながらゆっくりと頷いた
麗奈はまた店内を見渡した
「すっご〜い……中もこんなにお洒落〜」
「私の趣味なんだ。気に入ってもらえるといいんだけど……」
麗奈はにっこりと笑うと少し興奮気味で言ってきた
「とっても素敵ですっ!!」
「本当かい!?いや、嬉しいなぁ」
と店長は嬉しそうに笑った。久しぶりに見た店長の嬉しそうな表情だった
「竜平さんのお髭、何かジョリジョリされたら気持ち良さそう〜♪」
と麗奈は可笑しそうに笑った
「コラッ!!す、すみません、変なやつで」
すると店長はまた高らかに笑いながら言ってきた
「アッハハハハ♪そっか、気持ち良さそうか?面白くていい子だなぁ」
店長はすっかり麗奈のことが気に入ったみたいだった。多分、麗奈がこの店の雰囲気を誉めたからだと思う……店長も単純だ
「じゃあ俺着替えてくるけど……」
「健斗くん何時までやるの?」
「今日は7時まで。そこに座ってろよ」
と健斗は言うと、店の奥へと進んでいった
健斗がいなくなると、店長は麗奈を手招きしてカウンター席に座らせた
「麗奈ちゃんは紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「え?じゃあ……ミルクティーで」
「ナポリタンはどうだい?あいつのお気に入りのナポリタン」
「本当ですか?ぜひ食べてみたいです。でも……私お金持ってません……」
「構わないよ」
というとそっと麗奈に耳打ちするよう小さな声で言った
「ちゃんと健斗の給料からナポリタンと紅茶分引いておくから」
麗奈はそれを聞いて、可笑しくなって吹き出して笑ってしまった
店長も、笑ってる麗奈を見て声を立てて笑った
しばらくすると店長はあったかいミルクティーを出してくれた
「いただきま〜す」
麗奈は静かにミルクティーを飲んだ
「あ、美味しい♪」
普通の喫茶店では味わえないミルクティーだった。純粋に今まで飲んだ紅茶の中で一番美味しかった
麗奈好みのほのかな甘さとマロヤかさだった
「私がオリジナルにブレンドした紅茶なんだ。気に入ってもらえると嬉しいよ」
「本当に美味しいです。これ……持って帰りたいくらいですぅ」
「それならどうぞ?持って帰るかい?」
「いいんですか?じゃあ……」
今度は麗奈が店長に耳打ちするように囁いた
「その分も給料から引いておいてください」
「任せとけ」
「アハハ♪」
竜平さん……すごくいい人だと思った。優しくて面白くて、まるで……
「竜平さんって、もう一人のお父さんみたい」
麗奈がそう言うと、店長はにっこりと微笑んだ
「それ、前健斗にも言われたな」
「竜平さんご家族いますか?」
麗奈の問いかけに竜平さんはにっこりと笑っていった
「いるよ。女房と子供が二人。隣町にね」
「へぇ〜、羨ましいな〜。竜平さんみたいな人がお父さんだと」
と麗奈が笑いながら言うと、ふと店長は聞いてきた
「麗奈ちゃんはどうして健斗の家に居候することになったんだい?」
麗奈はそれを訊かれてミルクティーを飲みながら答えた
「お父さんが……今外国でお仕事があって……それで健斗の家に居候させてもらってるんです」
「確か……お父さんは貿易会社の社長さんなんだって?すごいじゃないか」
麗奈はそれを言われて、苦笑した
「そうなんですかね……?」
ふと麗奈の寂しそうな表情を見て店長はしばらく黙っていた
すると、だった
店の奥から健斗が出てきた。それに気がついた麗奈はすぐに健斗を見た
店の奥からでてきた健斗を見た麗奈は……
……
……
……
……
「……ぷっ……アハッ……アッハハハハ♪アッハハハハ!!アッ〜ハハハハ!!」
麗奈は健斗を見て、大きな声で吹き出して笑った。お腹を抱えて、大爆笑していた
「な、何だよ!!何が可笑しいんだよ!!」
健斗が訊くと、麗奈は笑いながらまた健斗を見た
「だって……アッハハハハ♪その恰好……アッハハハハ♪」
「何が変なんだよ。これうちの制服だぞ?」
「何か……子供っぽい健斗くんが着たらっ……アッハハハハ♪すごい大人びて見えて面白い!!クス……アッハハハハ♪アッハハハハ♪アッハハハハ♪」
「う、うるせ〜!!お前には言われたくないわ!!」
健斗は顔を赤くして、麗奈に怒鳴りつけた
店長も麗奈につられて笑っていた。しばらく笑いが店の中に沸き起こる
そんなに変だろうか?でもこの前かっこいいって言われたぞ?
健斗は死ぬほど恥ずかしかった……
そして深く後悔していた
「やっぱし……お前連れてくんじゃなかった……」
と大爆笑している麗奈を見て、健斗は深くため息をついた
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