ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第6話 ドキドキ・・・?
第6話 ドキドキ……? P.10

麗奈のモヤモヤする気持ちは、次の日の学校に行っても少し胸の中に留めておいた

健斗と麗奈はいつもの三人といっしょに集まってお喋りをしていた

お喋りしていても、麗奈はほとんど何も聞いてなかった

ただぼ〜っとして、あのモヤモヤする想いにふけっていた

別にそうしたいわけじゃない。けどここ最近変である自分と、妙に健斗を意識してしまうことに困惑してしまい、自然とそうなってしまうのである

こうやって、健斗くんの近くにいても平気なのに……どうしてこんなに意識しちゃうんだろう

意識してしまうことに嫌気がさし、逆に意識しないようにしている結果がこの様子である


ふと健斗と結衣ちゃんを見る

「へー、早川と佐藤浴衣買いに行ったんだ」

とヒロがそういうと、早川が笑いながら照れるように言ってきた

「毎年着てたやつがもう汚くなってたから。マナといっしょに行ったの」

「ふぅ〜ん……俺のジンベエなんて親父のお古だぜ?なっ?」

と、ヒロくんが言うと健斗くんはちょっと頬を赤くして言った

「うん?まぁ……」

どうして頬を赤くしてるのか

その理由は麗奈だけには分かっていた

大方、結衣ちゃんの浴衣姿を想像してたんだと思う

そう思うとまた何だか切ない気持ちになって深くため息をついちゃう

「麗奈ちゃんも、もう浴衣買った?」

とヒロが麗奈に聞いてきた

……が……麗奈はまったく反応せずぼ〜っとしていた

「……麗奈ちゃん?」

「……え……」

やっと麗奈が反応すると、四人は不思議そうな表情を浮かべた

「どうかした?」

結衣ちゃんにそう聞かれて、麗奈はすぐに微笑んで首を横に振った

「ううん。何でもないよ」

「俺さ麗奈ちゃんの浴衣姿がすげー楽しみなんだけど……絶対可愛いんだろーなぁ」

とヒロくんが頬を赤くして、想像しながら言ってきた

麗奈はそう言われるのを、苦笑した

「麗奈ちゃん絶対浴衣に似合うよね〜♪浴衣美人になりそう」

「そんなことないよ♪マナだってきっと可愛いと思うよ?」

と麗奈が言うと、マナが照れるように笑った

「え〜?そうかなぁ〜♪やだぁ♪」

「……お世辞だって」

「何か言ったっ!?」

「お、おせんべい食べたいって……」

そんなやり取りに麗奈は可笑しくなって、声を立ててクスクスと笑った

けどそんな笑顔も……



健斗くんが頬を赤くして、ポリポリと頬を掻いた

「……は……早川だって……きっと浴衣似合うつーか……その、可愛いと思う……よ」

多分健斗くんなりに勇気を出して好きな人を誉めようとしたんだと思う

そんな健斗を見て、誰もが驚いていた

健斗くんは顔を真っ赤にして、それ以上何も言わなかった

けど結衣ちゃんはクスッと笑ってくれた

「……ありがと♪お世辞でも嬉しいな♪」

するとそんな言葉に健斗くんは少し慌てた口調で言った

「いや、お世辞じゃないって」

「ホントに?ありがと♪健斗くんって、優しいね♪」

結衣ちゃんの嬉しそうな表情に、健斗はドキッとして、下を俯いてしまった

そんな健斗を見て、早川はクスクスっと笑っている

甘酸っぱい雰囲気が二人の間に流れていた

「……わぉっ♪二人ともラブラブだねぇ♪」

と、マナが二人を茶化して笑っていた

「そっかぁ……二人はすでに出来てたのか」

とヒロくんの冗談に健斗くんと結衣ちゃんは頬を赤くして否定した

「べ、別に……そんなんじゃねぇよっ」

「やめてよ二人ともぉ〜……」



二人の様子を見てた麗奈は、胸が締めつけられる想いになった

もう……我慢出来なかった

こんな二人を見てるのなんて……嫌だった

麗奈はゆっくりと立ち上がった

その瞬間、四人とも麗奈を見た

「あれ、麗奈ちゃんどうしたの?」

マナが不思議そうに聞いてきた。麗奈はできるだけみんなに気持ちを悟られたくなくて、精一杯の作り笑いを浮かべた

「ううん。ちょっとトイレ。すぐ戻ってくるから」

「そう。授業もうすぐ始まるよ?急いで行ってきなよ」

麗奈は頷くと、健斗を一度も見ずに走って教室を出て行った

麗奈が出て行ったあと、麗奈の作り笑いに騙されてみんな何事もなかったかのように話を始めた

ただ一人、健斗を外しては……だったけど










トイレなんてもちろん嘘だ

ただあの場から逃げたかった、適当な嘘

麗奈はそのまま、屋上へと走っていった

この屋上は、健斗くんが特別に内緒にするなら使ってもいいって言ってくれた

悩みとかあったら、ここに行けばって

それを聞いたとき、すごく嬉しかったよ……



健斗くんから教えてもらった鍵の在りか。そこから取り出して、鍵を開ける

そしてドアを開ければ……

「わっ」

強い風が吹き込んだ

あまりにいきなりだったので、麗奈の髪を靡いた

今日は風が強い。麗奈はゆっくりとドアを閉めてゆっくりとため息をついた

とぼとぼと、歩いて柵のところに上半身を預けて、この田舎の景色を眺めていた

すごくモヤモヤする

あんな光景見せつけられたら……そりゃそうだよ

麗奈はしばらくずっと田舎の風景を眺めていた




結局戻ることもなく、ただずっとこうしていたかった

次に気がついたのは昼休みが始まるチャイムを聞いたときだった


……どうして健斗くんは、結衣ちゃんばかり見るんだろう

結衣ちゃんしか目に入ってないの?

私のことも見て欲しい


最初から分かっていた

もう否定なんてできない



きっとこの気持ち……健斗くんのこと……好きだから




健斗くんが……好きなんだよ

昨日……さりげなく言ってみた。冗談ふかめしたみたいに


健斗くんが大好きだって……

でも、やっぱり健斗くんに伝えるのは難しい

どうしてこんな気持ちを抱くようになってしまったのか……

健斗くんがしったら、どう思うんだろう

きっとびっくりすると思う

それに……健斗くんは結衣ちゃんが好きなんだから

困るよね

前までは、私は健斗くんの恋を応援しようと考えていた

健斗くんが結衣ちゃんのこと本気で好きなんだなぁってことがよく分かったから

そんな健斗くんが可笑しくって、ちょっぴり結衣ちゃんが羨ましい気さえした


けど過ごしていく日々の中で、いつの間にか健斗くんを好きになっていたんだ



だから、健斗くんと結衣ちゃんが仲良くしているのを見ると……何だか悔しい気持ちを抱いてしまう

最近、何かと負い目を感じてしまうのだ



麗奈は静かに目を瞑った

また思い出す



それから色んなことがあったよね。でもやっぱり一番覚えてるのは、健斗くんが結衣ちゃんに好きな人がいるっと聞いたとき……

すごく悲しい表情を浮かべてたよ

そんな表情が嫌で、何でかな?

健斗くんから結衣ちゃんを忘れさせたかった

だから……思わずキスしちゃったんだ


今でもあの……柔らかくて暖かい感触を覚えてる



けど、それがきっかけで……健斗くんと喧嘩しちゃったっけ?

素直になれなくって、けどお互い気にしてたんだよね

たった1日だったけど、健斗くんのいない1日がどんなに辛くってどんなに退屈だったのかを知ったよ

そして健斗くんは笑って許してくれた

あのときの暖かい気持ちを今も感じる

そして……健斗くんは私に……私を認めてくれたよね

自転車をこいで風になりながら……

『俺さっ!!お前のこと、好きかもっ!!』


私を認めてくれたんだよね

家族だって……

すっごく嬉しかったよ?



麗奈はまたゆっくりと目を開けた

風の音が吹き抜けていく。麗奈はそんな田舎の風景を眺めながら、ふと頭の中に浮かんだメロディーを口に出していた

「……何故、めぐりあうのかを私たちはなにも知らない。いつ、めぐりあうのかを私たちはいつも知らない」

お母さんがいつも歌っていた……
「糸」

誰かと誰かを繋いでる曲……誰かとめぐりあったための大切な曲……


健斗くんとめぐりあったのは、糸でつながれてたから?

「どこにいたの?生きてきたの?遠い空の下、二つの物語」

この歌を歌ってると、お母さんが近くにいるような気がする

大切な人が傍にいて、いっしょにいてくれるような気がする

「縦の糸はあなた……横の糸はわたし……織りなす布はいつか誰かを、暖めうるかもしれない……」


切なくてどうしたらいいのか分からなかった

苦しくって……だから歌いたかった

この大好きな歌を

大好きな人に届けばいいなぁって……









健斗は昼休み、みんなから離れて一人屋上へと向かっていた

麗奈が授業に戻ってこなかったことから、確信した

やっぱりあいつ……隠してるんだ

さすがに気になって仕方がなかった

屋上に向かう途中、とあることを思い出していた






麗奈がいなくなったあと、初めに口に出したのは早川だった

「……麗奈ちゃん……最近元気ないね」

健斗はそれを聞いて、ゆっくりと下を俯いた

「そう?」

佐藤は不思議そうに早川に言う。早川は確信を持ったように頷いた

「……麗奈ちゃん、何かあったの?」

と早川は健斗に聞いてきた。そう聞かれたとき、健斗はちょっと悩むように考えた

「……あいつ……よくわかんないけど……俺も変だと思う」

健斗はそう言うと今まで麗奈の様子が変だなと感じたときのことを思い出していた

「何か……急に怒ったり優しかったり、ぼ〜っとしたり……よくわかねぇんだけど、あいつらしくないっつーか」


健斗の言うことにみんなはあまり理解出来ていないみたいで、不思議そうな表情を浮かべていた

「……昨日何か、変な雑誌読んでたし」

「雑誌?」

早川がそれに反応して、不思議そうに聞いてきた

「うん。何か……Cute Girlっつうやつだったような気がする」

「Cute Girl!?」

佐藤がちょっと意外そうに驚いてきた。早川やヒロは何の雑誌か知らないみたいだったけど、佐藤は知っているようだった

しばらく佐藤は考え始めたと思ったら、突然何かを思いついたのか、健斗を見てにやけてきた

健斗が不思議な表情を浮かべると、佐藤はまた可笑しそうに笑った

「フフフ♪わかった。そういうことかぁ?」

佐藤の可笑しそうに笑ってる表情に、健斗たちは首をかしげた

健斗は佐藤の答えに期待していたけど……

「何がわかったんだよ」

とヒロがじれったそうに言ってきた

すると佐藤はヒロを見て呆れながら言った

「も〜っ、みんな鈍いなぁ。Cute Girlって、ファッションやデザインとか、あと香水とか〜、好きな男の子のために読む人が多いのよね」

「……好きな男の子……えっ!?じゃあ、もしかして麗奈ちゃん……好きな男が出来たのかぁっ!?」

ヒロがパニック寸前で、佐藤はクスクス笑っていた

「そのとおり♪よく言うじゃん?恋する乙女の変化って」



…………………






それを聞いたとき、やっぱり佐藤も同じことを考えていたみたいだった

店長も同じこと言ってた

でも本当に好きな人ができたとは言え、どうしてそんなに悩んでるんだろう?

悩むほどそいつのこと好きなのかよ

そんなことを思いながら健斗はおかしさがこみ上げてきて、ふと笑った





屋上に辿り着くと、健斗はゆっくりとドアに手をかける

鍵が開いてることにすぐに気がついた

やっぱりここにいたんだ

悩みとかあったらここに来れば?って言っておいたもんなぁ

そんなこと考えながらゆっくりとドアを開けると、強い風が健斗の髪を揺らした

目を細めて見てみると、目の前には麗奈がいる

柵に寄りかかって景色を眺めているみたいだ

ふと風の音とともに歌が聞こえた

「縦の糸はあなた……横の糸はわたし……織りなす布はいつか誰かの傷をかばうかもしれない」

この歌……麗奈が教えてくれた
「糸」……綺麗な歌声で、それは静かに寂し気な感じで歌っていた

「縦の糸はあなた……横の糸はわたし……逢うべき糸に出会えることを……」

「人は“仕合わせ”と呼びます……だっけ?」

健斗が歌いながら近づくと、麗奈がびっくりするように振り返って健斗を見てきた

そしてすぐに頬を赤くする

けどそんな麗奈には気付かず、苦笑しながらゆっくりと近づいた

「何やってんだよ。授業サボってさ」

「…………」

麗奈は何も答えなかった。そんな麗奈に健斗はちょっと困って、頭を掻いた

「……弁当、食わねーの?」

「……お腹空いてない」

麗奈の冷たい反応に健斗はすこし戸惑った

さっきからまったく目を合わせてくれない

どうしてこんなに不機嫌なのか?

健斗は深くため息をついた

「……今日は風強いから、早く戻ろう――」

健斗が言いかけてるとき、突然強い風が吹いた

「うわっ」

「きゃっ」

そのときだった

その強い風のおかげ……じゃなかった。せいで、麗奈のスカートが巻き上がって、ピンク色の下着が見えてしまった

「あ……」

思わず口から漏れてしまって、健斗は顔を赤くしながら口をつぐんだ

「やだっ……」

けど麗奈はすぐに気がついたみたいで、すぐにスカートを抑えた

そして顔を赤くしてる健斗をじっと見てきた

麗奈も頬を赤くしている

「……見た?」

麗奈の問いかけに健斗は慌てた

「いや……あの……」

すると麗奈はむっとした感じで頬を赤くしたまんま、恥ずかしそうに健斗に言ってきた

「……もうっ……健斗くんって、意外にエッチなんだね?」

その瞬間、健斗は心臓が爆発してしまうかと思うほど高鳴った

顔が真っ赤になっていくのが分かる

「ち……ちげーよっ!!こんな風の強い日に、そ、そんなにスカート短くしてっから……」

「ふぅ〜ん」

健斗は深くため息をついた

何がいいたいのか分からなくなった

こんなとき、何て言えばいいんだろ?

二人の間に気まずい雰囲気が漂う

「……あのさ」

健斗が言い出すと、麗奈はふと健斗を見てきた

「あのさ、お前さ……やっぱり最近何か変じゃね?」

「え……?」

麗奈はきょとんとした様子で見た

健斗はため息をつきながら困ったような顔をして、さらに続けた

「何かあった?最近変だよ、お前」

健斗の言葉に、麗奈は何も言えず、下を俯いた

そして小さな声で言ってきた

「べ……別に何でもないよ」

「本当かよ?」

麗奈は何も言わなかった

またしばらく沈黙が流れる

健斗はそんな麗奈を見て、ため息をつきながら言ってみた

「……そ、そんなに好きなやつでもいんのかよ?」

健斗がそう言うと、麗奈は頬を赤くして、慌てるように言ってきた

「は……はぁっ?な、何でそういうことになるのっ!?」

「だって、昨日あんな雑誌見てたし」

「だ……だからただあれは……読みたくなったから……」

「ふぅ〜ん……」

この慌てて否定する感じ、健斗の中では逆に怪しかった

けど麗奈は決して認めようとはしなかった

だから違うって言ってるのは違うのか……

「別に好きな人なんていないもんっ!!」

「本当に?別に隠さなくってもいいんだぜ?」

「いないってば」

「そっか……でもやっぱりお前何か変だぞ?元気ないし……ちょっと心配――」

「何でもないってばっ!!!」


突然麗奈が健斗に怒鳴ってきて、健斗はびっくりして口を閉じてしまった

麗奈は顔を真っ赤にして健斗を睨みつけていた

「な……何だよ。キレることないだろ?」

健斗が戸惑いながらそう言うと、麗奈は静かに言ってきた

「……もう止めてよ……そういうのさ」

「は?何が?」

訳が分からなかった

どうして怒ってるんだろう?

「そうやって、お情けみたいな感じで……優しくしたりしないでよっ……もう嫌なの」

健斗はそれを聞いて、怪訝そうな表情を浮かべた

「何だよお情けって……俺はただ、お前が元気ないから気になって――」

「だからそういうのを止めてって言ってるのっ!!中途半端な優しさなんていらないよっ!!」

また麗奈に怒鳴られて、健斗はさすがにカチンときた

「はぁっ!?いい加減にしろよお前っ!!何勝手にキレてんだよっ!!俺はなぁっ!!」

「疲れるのっ!!」

麗奈にそう言われて、健斗はまた口を閉じてしまった

すると麗奈は少し涙目になっていた

「……健斗くんといっしょにいると……すごく疲れるの」

その言葉を聞いて、ドクンっと胸が高鳴った

嫌な思いになりモヤモヤした

「……だから……もうほっといて……」

麗奈はそう言うと、ゆっくりと歩き出した

健斗に近づいてきて、そのまま健斗をとおり過ぎ、走って屋上からいなくなってしまった

麗奈がドアを開けて去ろうとするとき健斗は振り向いて、呼び止めようとした

「れい……」

けどすぐに麗奈の姿は見えなくなる

一人呆然と佇む

どうして怒られたんだろう

何か悪いことでも言ってしまったのだろうか

もうほっといて……か………

健斗には何が何なのか理解出来てなかった

ただ、虚しい気持ちが胸の中に残っていた

ただそれだけだった



+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。