第6話 ドキドキ・・・?
第6話 ドキドキ……? P.8
それから暗い夜道を健斗はゆっくりとチャリで漕いでいく
夏の夜は昼間に比べて涼しい。けどそれでもやはり暑い気はした
鈴虫の鳴き声がよく分かる
すっかり暗くなって、頼りにする明かりは家の中の明かりや自転車の明かりだった
麗奈は……大丈夫だろうか?
ちゃんと家のことやってるかな?
そんなことを考えると、ふとさっきのことを思い出してしまった
麗奈の様子が変だというより、女の子が変わっていくきっかけとは……恋をしたとき
確かによく聞くことだ。恋する乙女とか……けどそんなの麗奈にまったく似合ってないような気がした
少しこれまでのことを思い出してみる
麗奈の様子が変だってきがついたときから……
まったく気がつかなかった
もし本当に麗奈に好きな人が出来たんだとしたら、それは一体誰なんだろう?
……まっ、俺には関係ないからいっか
そしてしばらく経つと、健斗は家に着いてゆっくりチャリを庭へと運ぶ
ゴンタが健斗に気がついて、小屋から出てきた
そして一回吠えてくる
「ただいま、ゴンタ」
と言って、ゆっくりと撫でてやる
健斗は欠伸をしながら、家の戸を開けた
「ただいま〜」
そう言って、健斗は玄関で靴を脱いで、ゆっくり家の中に入った
居間を見ると電気がついていた
麗奈は居間にいるのか
そう思った健斗は、頭を掻きながらまず居間へと向かった
居間を覗くと、確かにそこには麗奈がいた
クーラーをつけているのが分かった
すごく涼しい
麗奈は寝そべって、健斗に気付いてないのか何か雑誌らしきものを読んでいた
「……何読んでんの?」
健斗がそう言うと、麗奈はびっくりしたように跳ね起きて、すぐに雑誌を閉じた
顔を赤くして、むっとした感じで健斗に言ってきた
「か、帰ってきたんならちゃんと言ってよっ」
「言ったよ。お前が気づかなかっただけだろ?何読んでんだよ」
「べ、別にいいじゃんっ」
と言って、恥ずかしそうに顔を背ける麗奈を見て、健斗はじと目になった
こういう風に隠されると余計に知りたくなるのが、人間ってもんなんだよな〜
「いいじゃん、見せろよ」
「やだっ、やめてよぉ」
「隠すなよ。いいから見せてみろって」
「いやっ!だめだってば」
何か、ちょっと聞いてると危なっかしい会話にも聞こえた
しばらく取り合いをしてると、健斗の方が背も高いし力も強いため、麗奈から雑誌を奪った
「あっ!」
「ん〜、何々〜?」
「返してよぉ〜」
健斗は麗奈を抑えながらゆっくりと表紙を見た
「……あなたも変わるっ!!男の子にもモテモテ♪Cute Girl……何これ」
中身を読んでみると、どうやら男の子に好かれるための方法など、ファッションや香水など、男の子に好かれるために女の子を磨くための雑誌らしい……
「何でこんなの読んでるの?」
健斗がそう言うと、麗奈は顔を赤くしてすぐに健斗から雑誌を奪い返した
「べっ……別にいいじゃん……コンビニに置いてあって、ちょっと読んでみたくなっただけっ」
「ふぅ〜ん……」
健斗はちょっと複雑な気持ちになっていた
「も〜っ、早く着替えてきなよっ!!ご飯食べよ」
と言い、麗奈は健斗を急かすように背中を押していった
「えっ!?まだお前飯食ってないの?」
健斗が言うと、麗奈はゆっくりと頷いた
「健斗くん待ってたんだよ?」
と言って、可愛らしい微笑みを見せてくる麗奈を見て、ちょっとドキッとした
「……ば、馬鹿だなぁ〜。先食ってろよ」
と麗奈に背中を押されながら、そのまま部屋へと向かった
着替えて、また居間に行き、麗奈の手作りご飯を食べようとしていた
今日の晩ご飯は唐揚げだった
今日母さんに渡されたお金で買ってきたらしい
いい匂いが広がる
「いただきます」
と言って、健斗は唐揚げを一口。いつもながら美味かった
「どう?」
「お前が料理上手ってのは知ってるよ」
「も〜っ……素直に美味しいって言ってくれればいいじゃん」
そんな健斗を不満そうに見る麗奈を見て、健斗はちょっと可笑しそうに笑った
「追試どうだった?」
麗奈に聞かれて、健斗はゆっくりと頷いた
「何とか合格。そのあとお説教……」
「大変だったね。ちゃんと勉強したら?」
「分かってるよ」
と言いながら、健斗はまた唐揚げを食べる
「……説教のせいでバイトは遅れるし……早川との約束も守れなかったし……」
健斗がため息をつきながらそう話した。本当はそれが一番残念だった
早川の喜んだ顔を見たかった
ところがだった
「シュークリームなら買っといたよ?」
「えっ!?マジでっ!?」
麗奈がそう言ったことに健斗は驚きが隠せなかった
麗奈は優しげな笑顔で言ってきた
「どうせ健斗くん、シュークリーム買えないんだろうなぁって思ったから、だから買っておいたの。結衣ちゃんにも渡しといたよ?ちゃんと健斗くんからってことで。あと、私たちの分も買っておいたから、ご飯のあと食べよ?」
健斗はしばらく唖然としていた。そんな健斗を見て、麗奈は不思議そうな表情を浮かべる
「何?」
「え……いや……お前、何かいいことでもあった?」
健斗にそんなこと聞かれて、また不思議そうに首をかしげた
「何で?」
「だって……お前、妙に優しいから……」
健斗がそう言うと、麗奈はむっとした様子で頬を膨らませて健斗から顔を背けた
「何それ。じゃあいいもんっ!!健斗くんにシュークリーム上げないっ」
「あ……ワリィ。ワリィってば。いつも優しいもんな?」
「ゴンタにシュークリーム上げよっかな〜」
「ゴンタはシュークリームなんて食わねーよっ!!俺が悪かったって……うわっ、この唐揚げめっちゃうめぇっ!!世界一美味いかもっ!!」
けど、麗奈の機嫌は直らなかった。ちょっと失礼なことを言ってしまったか
すると麗奈は、じっと健斗を見てきた
健斗はそんな様子を見て、ふと箸を止めた
「じゃあさ。お願い聞いてくれる?」
健斗はきょとんとして麗奈の言葉を聞いた
「何?」
すると麗奈はちょっと頬を赤くして、照れるように口に手を当てた
そんな様子が女の子らしくって、何だかドキドキした
すると麗奈はゆっくりと上目遣いで健斗を見る
箸を置いて、ゆっくりと健斗に近づいてくる
距離が近かった
さらにドキドキした
「な……何だよ」
ドキドキしながらも麗奈を見る。すると麗奈は恥ずかしそうに健斗の手を握ってくる
その瞬間、心臓が爆発するかとマジで一瞬思った
「……あなたの甘い口づけを……私にちょうだい……?」
「……はっ!?」
麗奈は恥ずかしそうに健斗を上目遣いで見る
め……めちゃくちゃ可愛い……
「ダメ?」
健斗は緊張と焦りで呂律が回らないほどになっていた
い、いきなりキスを求めるなんて……何考えてんだよっ
「いや……あのさ……」
激しい動揺から、上手く断ることができずにいた
「あなたを……私だけのものにしたいの……」
「はっ!?ちょっ……お前何言ってんの!!」
激しい動揺と緊張と焦りでかなりパニクってる健斗は、ただ目の前の麗奈を見ることしか出来なかった
そして最後に……
「私……健斗くんのこと……大好きだから……」
「……えっ!?」
麗奈から出たこの言葉……
大好き……
麗奈が……俺を……
いや……まさか……
健斗はあまりの驚きで全身の力が抜けた
「……プッ……クフッ……」
と思ったら、今度は笑いはじめた麗奈
「アハハ♪アッハッハハハ♪アッハッハハハハハハ♪ダメだぁー♪アッハッハハハハハハ」
「えっ?な、何々?」
状況が全然飲み込めない健斗は、ただ動揺するしかなかった
麗奈は笑いながら涙を吹いて健斗を見た
「アッハッハハハ♪ふい〜っ、健斗くん面白〜い♪」
「な、何が!?」
「今の、さっきの雑誌で見た男の子の口説き方パート3の台詞♪健斗くんかなり悩殺されてたよね〜♪」
それを聞いて、健斗は安心感がどっと来て深いため息をついた
「お前……マジやめろよっ!!本気にすんだろっ!!」
「だぁ〜って、最近健斗くんにからかわれてばっかで悔しかったんだもん。面白かったぁ〜♪アハハ♪ごちそうさま」
と麗奈はクスクス笑いながら、食器を片し台所に持っていった
健斗はしばらく呆然としていた
ずっとある思いを胸に秘めてたから、まったく冗談に聞こえなかった
思い出してしまう
最後麗奈が俺のことを……
大好きって言ってくれたこと……
「だぁ〜っ!!くっそ〜っ!!」
頭から離れない今の光景に健斗は苛立ちを感じながらご飯を一気に食べた
麗奈の言うとおり、完全に悩殺されていた
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