第6話のあらすじ
松本絢斗との勝負があってから以来、健斗は早川とも仲直りし、普通の日々を送るはずだった
が、そんな中一人不思議なようすを見せる麗奈
健斗のことが気になり始め、次第にくすぐったくて甘酸っぱい想いを健斗に抱くようになる……
この気持ちって……一体……
麗奈はゆっくりとお風呂に入っていた。悩ましげな豊かな胸に、モデルのようなスタイル……
麗奈は息を吐きながら、湯船に使って身体を癒していた
この家に来て……もう1ヶ月半くらいか……
健斗くんの家に来たのが5月で、今はもう7月に入っている
そろそろ夏本番って感じになってきた
早いものだなぁ……と感じることが多い
この1ヶ月半は……本当に楽しいことばかりだった
今まで色んなとこに住んでたけど、こんなに楽しいところはないよ……
だからいつも思う
ずっとこの街にいられたらなぁ〜って……
それはこの街のみんなが大好きだから
結衣ちゃんやマナにヒロくん
商店街のおじさんおばさんに、竜平さん
そして今の私の家族の……お父さんとお母さんに、ゴンタ……
そして……
麗奈は最近ある男の子のことを思い出す
健斗くん……
静かにあの時のことを思い浮かべていた
ついこの前、松本絢斗と勝負したとき……健斗くんのユニフォームを着て、スパイクの紐をギュッと締めたときの逞しい後ろ姿……
鮮やかにDFをかわす健斗くんの姿……
そして……
気が狂った松本絢斗に私が掴まれたとき……私は本当に怖くって、動けなかった
すごくすごく怖かったんだよ?
どこかに連れて行かれそうになって、すごく怖かった……
怖くて震えてる私を、健斗くんは助けてくれた
私の手を引いて、私を守ってくれるかのように自分の後ろに回して……
『……麗奈に……触んじゃねーよ……』
低い声で松本絢斗にそう言って、私を守ってくれた……
麗奈はそれを思い出すと、頬を赤く染めて何だかくすぐったい気持ちになって、手を胸に当てて、ギュッと握った
健斗はご機嫌そうに鼻歌を歌いながら家の階段を上っていた
どうしてご機嫌かって?
それは健斗が手に持っているものを見れば分かる
健斗が手に持っているのは、お洒落な箱に入ったシュークリームだった
このシュークリームはただのシュークリームじゃない
最近商店街に出来た新しいスイーツ店の人気No.1の甘い生クリームとカスタードクリームを掛け合わせた濃厚な味わいをもつ、ツインシュークリームだった
値段は一個120円っ!!
食べたことはないけれど、どうやらめちゃくちゃ美味いっていう評判だ
シュークリーム大好き人間の健斗にはこれ以上にない幸せ……しかしっ!!
それを越す幸せがあったっ!!
これをくれたのは何と……早川なのだっ!!
わざわざ家に来てくれて、早川は恥ずかしそうに健斗にこれを渡してきた
どうやらこの間の仲直りの印みたいなもんらしい
そんなことはどうだっていい
ただ一つの事実としては、好きな女の子からプレゼントをもらってしまったということだっ!!
これこそまさに究極の幸せであるっ!!
そんな健斗は本当に幸せそうに自分の部屋の前でジャンプした
「我が青春っ!!ゲットだぜっ!!」
などという訳の分からないことをして、喜んでいた
……ふと麗奈の部屋を見て、健斗は可笑しそうに笑った
麗奈にも分けてやっかな?
早川からもらったやつだし
と言って笑いながら嬉しそうに健斗は麗奈の部屋をノックした
「麗奈〜、麗奈〜」
しかし麗奈の返事は返ってこなかった
健斗はそれに不思議に思って、もう一度呼んでみた
「お〜い」
返事が返ってこないので、健斗はゆっくりと扉を開けた
「……あら……」
麗奈はベッドの上で、寝ていた
昼寝なんて……まぁ休みだから別にいいんだけどなぁ……
それにしても3時くらいだし
起こしてやるか……
「……麗奈さ〜ん」
健斗が起こしてやろうとしたけど、麗奈はまったく起きようとしない
それにしても可愛らしい寝顔だな……こんなに可愛いくせに
健斗はもう一回起こしてみた
「起きろってば。麗奈」
けど麗奈は全然起きない
逆に健斗の腕を振り払うかのような仕草を見せた
………
健斗は早川からもらったシュークリームを開けて、麗奈の顔の傍まで近づける
「……甘いあま〜い……シュークリームだぞ〜?シュークリーム食わないのか〜?」
「……う……ん……ん?」
思ったとおり、麗奈はゆっくりと目を開いた
スイーツ好きな麗奈に持ってこいの起こし方だった
健斗は単純な麗奈に可笑しさがわき、声を上げて笑った
「アハハ♪マジで起きた♪」
そんな風にシュークリームをしまいながら笑っていると、麗奈が健斗を見つめていた
するとだんだん顔が赤くなっていく……
「……ん?」
「や……やだぁっ!!」
バシッ!!
「イッテェッッッ!!!」
突然麗奈にビンタをされて、健斗はのけぞってしまった
健斗は痛そうに頬を押さえながら、そう叫ぶように言った
すると、麗奈はふと我に返ったように健斗を見つめた
その前に健斗は起きて、痛そうに麗奈を睨みつけた
「何すんだよこのバカッッッ!!!起きていきなりビンタするってどういうことだよっ!!!」
すると麗奈は苦笑しながら健斗に言ってきた
「ご、ゴメン……つい……」
「っざけんなよなっ!!ったく……」
少しキレ気味で、健斗はため息をつきながら麗奈を見た
麗奈に初めてビンタされてめちゃくちゃ痛かった
すると麗奈が恥ずかしそうに顔を赤くして言ってきた
「だって……見たでしょ?」
「……何を」
健斗が頬を擦りながら不機嫌そうに言うと、麗奈はモジモジしながら答えた
「……寝顔……見たでしょ?」
「寝顔〜?んなもん、いつも見てんだろーが。何だよいきなり……」
「あ……そっか」
相変わらず訳の分からないことを言う麗奈に、健斗は深くため息をついた
「でもさ、健斗くんに……見られたくないんだもん」
「はぁ?」
もう訳がわからなかったから、健斗はだんだん面倒臭くなって、そのことに対して色々言うことをやめた
「……ま、いっか。それより……ほら」
と言いながら、健斗は麗奈にシュークリームの箱を差し出した
「何これ?」
「シュークリーム。早川からもらったんだけど、食うか?」
健斗がそう言うと、麗奈は嬉しそうにはしゃいだ
「本当に!?食べる食べる〜っ!!」
と健斗からシュークリームを取ると、一個取った
「ったく……何でそれやるためにわざわざ殴られねぇとなんねぇの?」
「ゴメンってば〜?これどこのシュークリーム?」
「商店街で新しく出来たスイーツ店のとこの。結構人気あるらしいぜ」
すると麗奈はパクリとシュークリームを食べた
「うんっ!!美味しいっ!!」
健斗はそれを見て、可笑そうに笑うと、同じようにシュークリームを食べる
「美味いっ!!」
「でしょ〜?」
健斗と麗奈は笑いながら美味いシュークリームを頬張っていた
すると、健斗はシュークリームを食べながら麗奈の鼻にクリームがついているのを見て、子供みたいな麗奈に可笑しくなって微笑んだ
「アホ。クリームついてんぞ」
と言いながら、麗奈の小さな鼻についているクリームを取って舐めた
するとだった
麗奈はしばらく唖然として、シュークリームを食べる手を止めた
みるみるうちに顔が赤くなっていく
「……どした?」
「え……あっ……わっ……」
麗奈は恥ずかしそうにシュークリームを箱の上に置いて、前髪で顔を隠そうとした
さっきから頬を真っ赤に染めて、慌てている
「……わ、私紅茶入れてくるねっ!!」
「え?あ……おい」
健斗の呼びかけに麗奈は逃げるかのように立ち上がって、部屋を急いで出てしまった
そんな麗奈を見ながら、ポカンと口を開けていた
最近麗奈の様子がおかしかった
よく分かんないけど……俺の前だと不思議な行動をよく起こす
紅茶入れてくるって……うち紅茶なんてねぇのに……
麗奈の不思議な行動と可笑しな様子に
健斗は首をかしげることしかできなかった
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