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第5話が長かったので、余韻を挟んでみました

ゴンタの気持ちを描いた、切なくて、でも心暖まる小さな物語

簡単な文章と簡単な展開でまとめてみました

ぜひ読んでください
番外編
もう一人の家族〜ゴンタの想い〜


僕の名前はゴンタ

2年前……車道でトラックに引かれそうになった僕は、健斗くんに助けられた

健斗くんに助けられたおかげで、山中家が僕のお家になった

前のご主人に捨てられて、僕は食べるものも何もなくて……生きていることの意味のない存在になった

そんな僕を……君は救ってくれた

みんなから見捨てられて、存在価値のなかった僕を……君は命を張って助けてくれたね

ありったけのありがとうを送りたい

ありったけの恩返しをしてあげたい

けど……僕は犬で君は人間……

言葉も通じず、想いも通じない

けど、それでも僕は健斗くんが大好きだよ

すごくすごく……大好きなんだ




いつもの朝が始まる。犬である僕は、みんなより早く起きるのが少し早い

その度にいつも待つんだ

健斗くんが来てくれることに……

けど……最近僕が最初に会うのは……


「ゴンタおはよう」

「わんっ(おはよう)」

健斗くんのお父さん。別に会うのが嫌なわけじゃない

けど最近はお父さんが僕のお散歩に付き合ってくれる


健斗くんはほんの数ヵ月前、“こうこうせい”というものになったらしい……

よく分かんないけど、健斗くんはまた一歩、大人になったんだ

健斗くんが“こうこうせい”になってから、忙しいのか……あまりかまってくれなくなった

前は健斗くんが朝早く起きて僕のお散歩に付き合ってくれたのに……

忙しいんだ

疲れてるんだ

僕のワガママで、健斗くんを振り回すわけにはいかない

そんなこと分かってる

だけど……うん……やっぱり寂しいな


僕はお父さんに連れられて、お散歩に出る前に、健斗くんの部屋を見る

けど健斗くんの姿はまったく見えない

そんなのもやっぱり……寂しいな……



ほんのちょっと前まで隣にいつもいたのは……健斗くんだった

健斗くんがいつものように、この道をいっしょに歩いて……まるで僕が人間のように話しかけてくれたよね

それが僕はすごく楽しかったよ

お父さんと歩くのは嫌じゃない

お父さんだって、“しゃかいじん”っていう大人なんだって

お仕事が大変なのに、僕のために朝早く起きて僕のお散歩に付き合ってくれている

僕はそんなお父さんに本当にありがとうっていいたい


この道も、水が近くを流れて、大好きな公園まで行き、お友達に会って、自然を満喫する
だから、僕はお散歩が大好きだよ

けどね

僕は欲張りだから

やっぱり隣には……大好きな健斗くんがいて欲しいんだ……


そして散歩が終わって、僕はお父さんといっしょにお家に帰る

大体この時間帯にお家の前にいるのが、最近このお家の家族になった、麗奈ちゃんだ

麗奈ちゃんはとても可愛くて……優しくて……そう、健斗くんと同じ匂いがする

だから人見知りが激しい僕は、麗奈ちゃんには心が許せた


麗奈ちゃんはお父さんに挨拶をして、僕に気がつくと可愛らしい笑顔を送る

「ゴンタっ、おはよう♪」

そう言って、僕の頭を優しく撫でてくる

麗奈ちゃんの柔らかくて綺麗な手は僕も大好きだ

麗奈ちゃんにいっぱい甘えたい

僕は撫でられるのが嬉しくって、麗奈ちゃんにとびかかる

もっと撫でて

もっと撫でて

「こら、ゴンタ」

とびかかると、お父さんに止められちゃう

麗奈ちゃんは、これから学校だから……あまり麗奈ちゃんにとびかかって、汚したりしちゃいけないって

分かってるけど……僕だってちゃんと清潔にしてるよ?


それを分かって欲しいなぁ……


するとだった

「やべっ!!遅刻するっ!!」

家から出てきたのは、僕の大好きな健斗くん

いつもギリギリに起きて、こんな毎日を送る

まったく……ちゃんと遅刻しないように起きないとダメだよ!


でも、健斗くんが出てくるのを見て、僕は健斗くんにとびかかろうとする

けどお父さんに止められて、健斗くんに近づけない

「ワリィワリィ麗奈っ!!」

「も〜っ、いっつも同じこと繰り返してさぁ〜?よく飽きないね?」

「うるせぇ!!いいから早く乗れよ」

健斗くんがそう言って、麗奈ちゃんを後ろに乗せると、自転車をこぎはじめる

「気をつけてな」

お父さんが健斗くんたちに言って健斗くんたちは離れていく

「いってきます」

僕はその瞬間、また寂しい気持ちになる

待って……

健斗くん、僕を見て……

「わんっ!!わんわんわんっ!!」

必死に吠えてみるけど、健斗くんはまったく振り返ることなくすごいスピードで僕から離れていく

そんなことがものすごく辛かった


どうして僕の気持ちが伝わらないんだろう?

伝われば健斗くんは振り向いてくれるのかな?

健斗くん……僕は……

僕は離れていく健斗くんを、寂しい気持ちを抱きながら見つめる

そんな僕を、お父さんはゆっくりと家の中に連れていくんだ……



「はい、ゴンタ」

朝ごはんをくれるのは、お母さん

前までは、健斗くんがごはんをくれにきたのに……

最近はお母さんだ。お母さんもお仕事があるから、あまり僕を見てくれない

朝ごはんを僕の目の前に置くと、どこかへいってしまう

それがすごく寂しい

だから……ごはんが美味しいって思えなくって

僕はあまりごはんを食べたくなくなっちゃった

お散歩にもあまり興味がなくなった……

僕は……

今何を必要としてるんだろう?


朝ごはんを少し残して、これからやることは……

特に何もない

最近思い出す……



みんなから見捨てられた僕を、そんな命を……健斗くんは救ってくれた

あとから健斗くんは、毎日僕の前で泣いていた

理由はナンダロウ?

気になって、僕は他のみんなの話を聞いたら……

僕が健斗くんに助けられたあの日、健斗くんのお友達が、僕と健斗くんの代わりに亡くなったって……

それで毎日後悔している健斗くん

そんな健斗くんを見て、僕はどうしたらいいのかわからなかった

けどね健斗くん……

君があの日、勇気を出して飛び出してくれたおかげで……君に守られた命がここにあるんだよ?

それを伝えたい……

健斗くんに伝えたい……




健斗くんは……もしかしたら……僕を助けたことを後悔してるんだね

僕と会ったことを、健斗くんは後悔してるんだ

もしかしたら僕は……もう健斗くんに嫌われて、だから最近健斗くんは僕にかまってくれなくなったのかもしれない

いや……うん

きっとそうなんだ……

健斗くんが僕を嫌いになったら、僕はまた……生きる意味がなくなっちゃうよ

僕が……君の亡くしたお友達の代わりになれないかな?

僕が君の力になってあげることは出来ないのかな?

無理だよね

だって僕と君は……違うもの

そんな僕は時々思う

人になりたい

人になって、健斗くんの傍にいて、健斗くんと……山中家の家族になりたい

健斗くんの兄弟になって、僕は……家族になりたい

けど、僕は犬だ

犬だから……君と同じところで生きてはいけない

僕の想いが君に伝わることはないし

君の気持ちが僕に本当に分かるのかっていうと、それは分からない

ただ……

少しでも君の近くにいて、君の気持ちが理解できるような

たった一つの家族になりたいなぁ……

そんな想いにふける毎日

そんな毎日が不安と寂しさを噛み締める

ため息をつくような毎日……

最近、こういう気持ちを抱えていて……僕はだんだん元気がなくなっていく


昼が過ぎて、夕方になると……お母さんがたまに早く帰ってくる

僕はお母さんに気がつくと、ふと起きて、お母さんが来るのを待つ……

しばらくするとお母さんが僕の様子を見に来た

「……あら?」

僕の様子を見て、お母さんは心配そうに……そして不思議そうに僕に近寄る

僕は元気がなくってぐったりとしていた

何だかとてもお腹が痛い……

そんな僕を気遣うように見ているお母さん……

「ゴンタ?」

お母さんは僕の身体をゆっくりと擦ってくれる

「ゴンタ?どうしたの?具合が悪いの?」

まるで子供にそう聞いてくるかのように僕を心配してくれる

すごく嬉しかった……けど……

お腹が痛いのには変わりがない







それから僕は、柔らかいタオルケットに乗せられて、白い服を着たおじいちゃんに、冷たい感触のする何かをお腹に当てられていた

「……こりゃ、ちょっとばかし下痢を引き起こしてるの」

とおじいちゃんがそう言うと、ふぅっと息を吐いた

「何か悪いもんでも食べさせたかの?」

おじいちゃんがお母さんにそう訊くと、お母さんは首を横にふった

「いいえ……特に覚えはないです」

すると、おじいちゃんはゆっくりと考えて……またゆっくりと言った

「……最近ストレスになることは?」

「ストレス……ですか?」

おじいちゃんの言葉にお母さんは不思議そうに訊いた

「まだこの子は仔犬じゃからな。寂しい思いをさせとると、それがストレスになって下痢や吐き気を起こす。まぁ、しばらくはいっしょにいてあげるのが一番じゃな」


まるで僕の気持ちが分かっているような言いぐさ……

お母さんが心配そうに僕の頭を撫でてくる

「ゴメンねゴンタ……」

僕はそんな優しい言葉に、そしてお母さんを心配させないようにお母さんの手をゆっくりと舐める……

そして眠くなって、ゆっくりと眠った……










再び目を開くと、暖かい感触がした

誰かの話声もする

「……あ、目覚めたみたい」

ふと女の子の声……麗奈ちゃんが僕の顔を覗き込んでいる

相変わらず、お腹の痛みはとれない……

「……ゴンタ」

懐かしい……優しい声が僕の耳に入る

僕はゆっくりと顔を上げると

そこには健斗くんが、僕の近くで僕を見てくれていた

優しい笑顔を送って、僕のお腹を擦っている

「……ゴンタ、大丈夫か?」

「……くぅ〜ん……」

健斗くんの呼びかけに僕は甘えるかのように答えた

「びっくりしたぞ……お前が病気だって母さんが言うからさ」

健斗くんは笑いながら僕の頭とかを撫でてくる

嬉しかった……

僕を心配してくれているんだ……

嫌われたのかと思ってたのに……

「……くぅ〜ん……」

僕は健斗くんの膝の上に頭を乗せた

暖かい感触……優しいぬくもり……

健斗くんを感じる……大好きな

大好きな……優しい健斗くんだ……




「ゴンタ……もしかしたら健斗くんを恋しがってたんじゃない?」

ふと麗奈ちゃんがそんなこと言って、健斗くんが不思議そうな表情を浮かべる

「俺が?」

「うん。最近、健斗くんあまりゴンタにかまってあげてなかったじゃん。寂しかったんだよ……きっと」

それを聞いた健斗くんはゆっくりと笑って、眠っている僕をゆっくりと撫でる

身体を自分の膝の上に置き、僕を撫でてくる

「……そっか……そういやそうかもな……」

笑いながら健斗くんはゆっくりと言った

「高校に入ってから……あまりこいつと遊んでやんなかったもんな。何だかんだ言って……まだ仔犬だもんな……ゴメンなゴンタ」

健斗くんの優しい声が、僕の頭の中に語りかけてくる

僕には聞こえた

ちゃんと聞こえたよ……







それからしばらく立ったある日、僕が小屋に入って眠っていると……

「ゴンタッ!!」

突然健斗くんの声が聞こえて、僕はその声に反応した

僕は健斗くんを見ると健斗くんは僕を覗き込むように見ていた

「ゴンタ、来いよ」

僕は健斗くんの言われるまま、小屋から出て健斗くんに近づく

すると……健斗くんは僕の身体をだっこして、僕を家の中に入れてくれた

僕の足を拭いて、みんながいるとこまで連れてきてくれた

すると、みんなは何だかわいわいと楽しそうに、焼肉をしていた

どうして僕がここに……?

するとお父さんがにっこりと微笑んだ

「おうゴンタ。ほら、健斗の隣に座っとけ」

僕は健斗くんと共に、ゆっくりと寝そべる

何で呼ばれたのか分からないけど、お肉の匂いが香ばしい……

すると健斗くんがゆっくりと言ってきた

「今日、ゴンタ何の日か覚えてる?」

……何の日?

分からない……

すると、隣に座ってた麗奈ちゃんが微笑みながら教えてくれた

「今日は、ゴンタがこの家にやってきた記念日だよ?」

それを聞いた時、僕はキョトンとしてしまった

僕の……記念日?

するとお母さんが笑いながら僕に言ってきた

「去年はこんなことやらなかったけどね、健斗が“ゴンタだって《家族》なんだから、記念日のお祝いをしてあげよう”ってね」

それを聞いた瞬間、僕はとても嬉しかった

僕は……家族……なの?

家族でいていいの?

「ゴンタだって、山中家の家族なんだからな。記念日を祝うのは当たり前なのっ!!」

すると健斗くんはゆっくりと僕を見て微笑んだ

「ゴンタも今日から2歳ってことだな。乾杯すんぞっ!!」

と言って、僕にそう笑ってくれた

すごく嬉しかった

僕も……

僕もこの家の家族なんだ

こうやって記念日を祝ってくれる人がいるなんて

嬉しかった……

「わんっ!!わんわんわんわんわんわんわんわんっ!!」

「アハハ♪ゴンタ嬉しそうだね」

嬉しそうじゃないよ

嬉しいんだ

……僕もこの家族に一員なんだ……

するとお父さんが笑いながらコップを持つ

「じゃあ、ゴンタ2歳になって、おめでとうっ!!乾杯!!」

「「「「乾杯〜っ!!」」」」



僕のお皿にお肉が盛られる

僕はそれを食べる

こうやってみんなで食べるごはんはとてもおいしかった

みんないつもこんなに美味しいごはんを食べてるんだね

嬉しいな……

「くぅ〜ん……」

僕は健斗くんに甘えると、健斗くんはゆっくりとお肉を僕に食べさせてくれる

すごく幸せだった

みんなに囲まれて、ごはんを食べることが

すごく幸せな時間だった……





僕の名前はゴンタ

2年前、健斗くんに命を助けてもらった

前のご主人に捨てられて、生きる意味が分からなくなった僕

そんな僕の命を君は命を張って救ってくれた

僕は今幸せです

こうしてみんなが、僕を家族として認めてくれるから

あなたたちにありがとうを言いたい

大好きだよって伝えたい

この想いが伝わればいい

ずっとずっと

僕はこの家で、幸せな日々を送りたい



健斗くん……



君が見つけてくれた、僕が生きていく意味

僕は君がいるから

こうして生きていける……

ありがとう……

健斗くん


大好きだよ……



Fin……

第5話が長かったので、余韻を挟んでみました

読んでくださってありがとうございます


続いては、第6話に入ります


ぜひ読んでください



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