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第5話 挑戦、変わる勇気
第5話 挑戦、変わる勇気 P.20

麗奈たちは授業中、健斗が来ないかずっと心配してた

けれど2時間目も3時間目も、健斗は来ない……ついに、昼休みの時間になった

「山中くん……どうしたのかな?」

マナが不安そうに言ってきた

ヒロくんはさっきから健斗くんに電話をかけている

「もう、昼休みなのに……結衣何か知らないの?」

ふとマナが結衣ちゃんにそう訊いて、結衣ちゃんは少し戸惑っていた

「え……」

「結衣、昨日山中くんの家に行ったんでしょ?何か様子変だった?」

結衣ちゃんは何も答えなかった

自分の席で座りながら、何も答えなかった

「……結衣?」

「う、ううん。昨日山中くん、頑張るって言ってたし」

「……そっか」

やっぱり結衣ちゃんは……健斗くんのことあまり言いたくないみたいだ

でも本当は心配してる……素直になれないんだね


……とするとだった

「松本さぁ〜〜んっ!!」

窓の方で何やら女の子たちが騒いでいた

麗奈もヒロくんもマナも結衣ちゃんも不思議そうな表情を浮かべて、窓の方へと歩いた

そこから見える、グランドを見てみると……いた

松本絢斗が10人くらいの人と何やら話をしていた

しかもサッカーボールがいくつも転がって、その11人はボールを使って動いていた

松本絢斗もサッカーのユニフォームを来ていた

どうやらあちらはヤル気満々のようだ

「……何で11人もいんだよ」

ヒロくんが顔をしかめてそう呟いた

麗奈は唇を噛み締めると、耐えきれなくなって教室から飛び出して、松本絢斗の元へと走っていった

突然飛び出した麗奈にヒロは驚き

「お〜、俺も行くっ!!」

と言って、麗奈の後を追いかけていった




麗奈は息を荒らして昇降口まで走り、すぐに靴を履き替えるとグランドへ猛ダッシュした

グランドに着くと、麗奈は息を荒らして松本絢斗を見ていた

すると松本絢斗は麗奈に気がつくと、笑顔になり麗奈に歩いて近づいてきた

「やっ、麗奈ちゃんじゃん」

麗奈の前でそういい、すると走って麗奈の後を追いかけてきたヒロくんを見た

「あれ……山中じゃないじゃん。あいつは来てないの?」

松本絢斗は少し笑っていた

「あ、麗奈ちゃんは知ってる?」

ふとそういって笑いかけてきた

「これから……入部テストすんだよあいつの。でもあいつ来ないからな〜?もしかして逃げたのかな〜」

と笑いながら松本絢斗は言ってきた

麗奈はそれを聞いて、苛立ちを感じた

「んだと〜?健斗はなぁ――」

「健斗くんは絶対来ますっ!!」

ヒロくんよりも先に麗奈は松本絢斗に大きな声でそう言った

松本絢斗は少し驚いていた。けど、そのあと不敵な笑いを浮かべた

「……何だよ……もしかして麗奈ちゃん……山中から聞いたのかよ」

麗奈は何も答えなかった

突然態度が変わり、

「絶対来るとか言ってるけど、あいつ今どこにいんの?」

松本絢斗にそう訊かれて、麗奈とヒロくんは答えられず黙り込んでしまった

それを見て、嘲笑う松本絢斗……麗奈は唇を噛み締めた

「まだ……学校に来てません」

「はぁっ?」

松本絢斗は呆れ返るように、嘲笑いため息をついた

「んだよあいつ……口だけかよ。だったら待ってる意味ねぇな。それじゃ」

松本絢斗はゆっくりと背を向けて麗奈たちから離れていった

麗奈はそれを見て、すぐに呼び止めた

「待ってっ!!」

すると松本絢斗はゆっくりと振り向き、麗奈を見た

麗奈は悔しい想いを噛み締めながらゆっくりと言った

「もう少し待ってください」

麗奈のお願いに、松本絢斗は何も答えなかった

ヒロくんはそれを見て、戸惑っていたけど、麗奈は動揺せずに真っ直ぐな瞳で松本絢斗を見た

「健斗くんは絶対来るからっ……だからあと少しだけ待ってください」

「……あいつが来てないんなら、待ってる意味ねぇじゃん」

すると松本絢斗は麗奈に不敵な笑いを浮かべ、静かに言ってきた

「それとも何か?条件付きか?」

「え……」

松本絢斗はまた麗奈に近づいてきた

そしてゆっくりと麗奈の肩を叩く

「じゃあ、もう少し待ってやる代わりに、約束しろよ」

「な、何を?」

松本絢斗はゆっくりと言ってきた

「もし、あいつが来ないか俺が勝ったら、お前……俺の女になれよ」

麗奈はそれを聞いて、身体をビクッとした

一瞬、この松本絢斗がすごく怖いようなイメージが浮かんで、肩を掴まれてるのが耐えようがなく嫌だった

「ふっ……ふざけんなよっ!!麗奈ちゃんは関係ねぇじゃんっ!!」

ヒロくんが麗奈の横に怒鳴るように松本絢斗に言ってきた

松本絢斗はそれを聞くとうざったそうに、舌打ちをしてヒロくんを冷たく鋭い目で見た

「誰だお前……誰に向かってそんな口きいてんだよ」

松本絢斗の威厳にヒロくんは冷や汗を流して黙り込んでしまった

「関係なくなんかねぇよ。元々、この勝負は麗奈ちゃんを巡ってだから。別にいいだろ?」

麗奈は少し戸惑っていた。下をうつ向き、松本絢斗と目を合わすのが嫌だった

ふと思い浮かべる、昨日の健斗くんの悲しそうな表情……声色……

麗奈はそれをゆっくり思い出すと、決意が固まった

「いいですよ……別に」

麗奈がそう言うと、ヒロくんがかなり戸惑っていた

けど麗奈は決意を変えようとは思わなかった

「案外あっさり言うんだな?」

「……だって健斗くんは……絶対来ますから。絶対来て、松本さんに勝つから」

松本絢斗はそれを聞くと苛ついたのか、眉毛をピクツと動かして、麗奈を冷たい瞳で見つめた

しばらく沈黙が流れた

麗奈の額やこめかみにも汗が湧き出る

すると松本絢斗はしばらく、何が面白いのか、静かに笑ってきた

「まぁいっか」

そう言うと松本絢斗はゆっくりと麗奈とヒロくんから離れていった

どうやら待ってくれるらしい。麗奈はほっと胸を撫で下ろした……

「ふい〜っ……大丈夫か麗奈ちゃん」

ヒロくんがため息をついたあと、ゆっくりとそう訊いてきてくれた。麗奈は笑いながら答えた

「うん。平気だよ。ありがとう」

麗奈はため息をつくと、ゆっくりと校門を見る

やっぱりまだ誰かが来ない……誰かが来るような気はするけど、やっぱり誰も来ない

健斗くん……やっぱり本当に来ないのかな?

麗奈がふとそんなことを考えたとき、すぐにその考えを振り払うように、頭をブンブンと振った

ケータイも何も繋がらないんなら、もしかしたら今向かって来てるのかも……だから今は我慢しなきゃ

信じるしか……ないんだよね……





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