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第5話 挑戦、変わる勇気
第5話 挑戦、変わる勇気 P.19



そして、次の日の朝となった。健斗は微妙に起きていたが、はっきり言ってあまり眠れなかった

今日学校に行ったら……やりたくないことをやらなければならない

何よりも、早川に嫌われた今、学校に行く意味なんてない……いっそのこと退学しようか……

そんなことまで本気で考えていた


嫌なことばかりだ……

今日……どうしようか……健斗は時計を見た

すると、時計はすでに7時50分を指していた

驚きはしなかった。最初から分かっていたことだから

すると、突然ドアがノックされた

「健斗く〜ん」

ドアが開くと、そこには麗奈がいて、健斗に近づいてきた

健斗が寝ている前で座ると困ったような感じで言ってきた

「早く起きてよ〜?学校に遅刻するよ〜」

健斗は振り向きもしなかった

寝ていたわけじゃなかったから、麗奈の言葉はちゃんと聞こえていた

「……健斗くんってばぁ〜」

甘えたような声で、健斗の身体を揺さぶってくる

健斗は深くため息をついた

すると麗奈は頬を膨らませながら、健斗の背中をたたいてきた

その衝撃が腹に響いて激痛が走った

「おぉ〜きぃ〜なぁ〜さぁ〜いぃ〜っ!!」

「イテェ!!イテェイテェイテェって!!」

健斗は激痛に耐えかね、上体を起こした

麗奈は頬を膨らませながら、健斗を見ていた

「もぉ〜、起きてるんなら早く仕度してよ。遅れるよ?」

健斗は麗奈をじと目で見ると深くため息をつき、頭を掻いた

「ワリィ、俺遅れていくから、ヒロと学校行って」

健斗がそう言うと、麗奈は口を尖らせた

「え〜っ!?今更〜?何でっ!?」

健斗は答えなかった

その代わり、麗奈をじと目で見つめた

「結衣ちゃんに会いたくないから?」

健斗はそれを聞くと、ズキンと胸が高鳴り、麗奈を見つめるのを止めて、また寝転がった

「……今日本当に勝負投げるの?」

「………」

「結衣ちゃんに嫌われたから……やけになったかぁ〜……もう、情けないやつだなぁ、君は」

「だぁ〜っ!!もう、うるせぇなぁ。腹が痛いから、遅れるだけだっつうのっ!!」

健斗がそういうと麗奈は黙り込んだ。しばらく沈黙が流れて、麗奈は深くため息をつくと、ゆっくりと立ち上がった

「……じゃあ、私先行ってるね?」

「……あぁ」

「朝ごはん、ちゃぶ台の上に置いてるから」

「あぁ」

すると麗奈はゆっくりと健斗から離れた

部屋を出るとき、ふとまた立ち止まって、しばらく健斗を見つめた。健斗は窓の方に寝転がっていた

「……今日、松本さんとの勝負、どうするの?」

健斗は何も答えなかった。麗奈は数秒答えを待ったが、無駄だった。ため息もつけず、ゆっくりと部屋を後にした


健斗は目を開けて最後の麗奈の言葉のことを考えていた

勝負なんて……どうだっていいよ。早川に嫌われた今……もうどうだっていいし……



早川のことをふと考える。今早川は何をしてるんだろう?

想いが募るばかりだった

早川と仲直りがしたかった

勝負のことなんかよりも、今はそっちの方が気になっていた

が、ふと健斗は机の下に置いてある箱に目をやった

……

健斗は見るのを止めて、窓の方に寝転がると目をゆっくりと閉じた……


麗奈は玄関で靴を履き、戸を開けて家を出ようとした

けど出る直前に麗奈は階段を見た

当たり前だけど、健斗くんは来ない

……もう……

麗奈はゆっくりと家を出て、学校に向かおうとした

ふと庭の方からゴンタの吠え声が聞こえて、麗奈はまずゴンタの方へと歩き出した

ゴンタは尻尾を振って麗奈に近づいてきた

麗奈は微笑みながらゴンタの頭を撫でる

「ゴンタ」

ゴンタは高い鳴き声で甘えたように鳴いた

麗奈は寂しそうに微笑むとゆっくりと上にある健斗くんの部屋を見た

「ゴンタ、健斗くんをお願いしていい?」

ゴンタはしばらく麗奈を見つめた

「ゴンタは健斗くんの、兄弟だもんね?」

するとゴンタはしばらく麗奈を見つめると、頷きながら吠えた

まさか頷くとは思ってなかったから、ちょっとびっくりした

ゴンタって本当に人間らしいと思う

人間の言葉が分かっているみたいに

そんなゴンタに麗奈はにっこりと微笑んだ

「じゃあ行ってきます」

麗奈はゴンタにそう言うと、ゆっくりと学校へと歩き出した











「……はぁっ!?」

学校に着いて、みんなは健斗といっしょにこなかった麗奈を不審に思い、健斗のことを訊いてきた

健斗がお腹が痛いから学校遅れてくるらしいということを告げると、結衣ちゃん以外驚いたような表情を浮かべていた

「あ〜っ!!もうっ!!何やってんだよあいつはっ!!」

ヒロくんは、すぐにケータイを取り出して健斗くんに電話をかけようとしていた

「じゃあ何っ!?麗奈ちゃん歩いてきたのっ?」

マナの問いかけに麗奈はゆっくりと頷いた

「うん」

ヒロくんには悪いと思ったから、麗奈は歩いて学校まで向かった

本当に遠かった。ほとんど走ったから、1時間目の途中に学校に来た

だから今はもう、1時間目は終わって、2時間目の前の休み時間だ

「……よく来れたね?」

結衣ちゃんがちょっと苦笑しながら言ってきた

「おかげで足が痛いよ〜……誰かさんのおかげでさっ」

麗奈がそう言うと、結衣ちゃんは寂しそうな表情を浮かべて笑ったのを、麗奈は見逃さなかった

結衣ちゃんは本当に……健斗くんのことを嫌っちゃったのかな?

二人の様子を見ると、結衣ちゃんは健斗くんと喧嘩したということをまだ言っていないみたいだった

「……クソッ!!」

ヒロくんはケータイを閉じながらそう呟いた

「やっぱりあいつ……」

と言って、ヒロくんは歯ぎしりをしていた

「山中くん、ちゃんと来るかな〜?」

マナがふとそういうと、一番曇った顔をしたのは結衣ちゃんだった

寂しそうな悲しそうな表情を浮かべていた

ふと、後ろに回している手を見ると……結衣ちゃんはケータイを握り締めていた

それを見て、麗奈は安心した

結衣ちゃんも健斗くんのこと、心配してるんだね

だから麗奈はにっこりとみんなに微笑んだ

「大丈夫だよ」

麗奈がそう言うと、3人はゆっくりと麗奈を見た

「健斗くん、絶対来るよ」

「そうかなぁ?」

「絶対来る。そう信じてるもん」

麗奈の言葉にみんなは何も言わなかった

麗奈もそれを見ると、それ以上は何も言わなかった

ただ、窓から見える景色を眺めて、健斗くんのことを考えていた

信じていた

言葉だけじゃない

健斗くんは勝負から逃げ出さないって……昨日の私の言った言葉を理解してくれるって信じていた

不安や心配はあるけれど、麗奈は信じたかった





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