超リアルロボットストーリー 超機動要塞ガギグゲゴ(8/20)PDFで表示縦書き表示RDF


超リアルロボットストーリー 超機動要塞ガギグゲゴ
作:RC



第八話 ロスの盲目ホームレス


「ガギグゲゴと船の修理は、確認したところ予想よりダメージが少なくどうにか今日中に終わりそうだ。それまで、できるだけサイエンサーを呼び起こすなよ。」
 ボリケーノにそう言われて、あの三人は再び観光に出かけた。
「今日は何処に行くんですか、博士?」
「そうだなあ…今日にも船が出港するかもしれないから、あまり遠いところへは行けんしな。それでいて、コピー・ガギグゲゴは普段本物のガギグゲゴに乗り慣れている俺たちには使いづらいって分かったから、むやみに戦闘が起きそうな場所…サイエンサーがいそうな町へも無理だ。だとすると…」
「ロサンゼルスなんか、どうでしょうか?」
 そう言ったのはジョンだった。
「ロス…ハリウッドの町か。悪くは無いな…。ようし、そこに行こう!」
 三人はロサンゼルスへと出発した。

「ロサンゼルスって結構都会なんだなぁ。」
 外国を知らない二人にとってロサンゼルスの最初の印象はそれだった。
「映画の町…とは言えども、街角はニューヨークとあまり変わらないんだ。アメリカは先進国だしな。」
 三人はこの日は個人で別々に活動し、夕方の5時にまたここ(駅)で集合する事になった。
「俺は、ちょうどこの辺に知り合いが住んでいるから、ちょっと挨拶しに行きたいんだ。」
「俺もせっかく来たんだから、ハリウッドスターの一人や二人はこの目で本物を拝みたいからな。見つかるかどうかは別だが。」
 そう言ってジョンと博士は行ってしまった。次郎は特に行きたい場所は無かったので、その辺をぶらぶらしてみることにした。
(別に僕が行きたいって言った訳でもないから、行くとこがないんだよな…。市場でも行ってるか。)
 彼は物を売っている場所を探した。市場は都市化した街角には見当たらず、初めて見つけた時には、かなりの田舎まで来ていた。
(道…忘れたかもしんないな。まあ、どうにかなるだろう。)
 そこは確かに日本の『アメ横』のように店が並んでいたが、所々にホームレスが新聞紙などを敷いて座っており、次郎や他の通行人が目の前を通るたびに何かを言っていた。
(みんな生きるために大変なんだな…。日本に生まれてきてよかった。) 
だが、そのホームレスの中で一人、他の人とはまったく異なる事を言う男がいた。
「…そこの少年、アメシストの者だな。」
彼は日本語ではっきりとそう言った。次郎はその男の前で立ち止まった。



「…どうして、分かったんですか?」
 彼をよく見ると、ずっと眼をつぶっていた。おそらく眼が見えないのだろう。
「対サイエンサー組織の人間は、特有の機械っぽい匂いがある。おまえはその刺激が極端に強いんだ。おそらく…ガギグゲゴのパイロットだな?」
「眼が見えるんですか?日本人だとは匂いでは分からないはずですよ。」
 男は顔を上げた。
「私だって日本人もどきなんだ。なんとなく第六感ってので分かるのさ。」
「『もどき』?」
次郎は彼の言葉に疑問を抱いた。
「分からないか?俺はサイエンサーなんだよ。」
 それを聞いた瞬間、少年はポケットにしまってあった対サイエンサー用の小型銃を取り出そうとした。しかしすぐに、悪心のサイエンサーだけを敵に回せ、という事を思い出した。
「言っておくが、俺は眼が見えないふりをしているだけだ。俺は変態能力が少し欠けていて、眼球がサイエンサーのままなんだ。だから盲目のホームレスを演じているんだ。」
「…あなたは誰なんですか?」
「私は…ただのサイエンサー、『アンモニウマン』さ。」

彼の人生はこのようなものだった。
十年前、彼はサイエンサーの基地から人間の世界に進んだ。彼は手に拾った人間の雑誌の写真にあった男に化けた。しかし、その男にはばく大な借金があり、彼はその男によく間違いられ、借金取りから酷く暴行を受け続けた。その時から彼の変態能力に異状が出始め、彼は盲目の男を演じ始めた。
彼の人態の元になった男は、噂によるとまだどこかの都会に生きているため、ややこしいことにならないように彼はこうやって盲目のホームレスになった。
「その男は日本人だが、まだアメリカのどこかにいる可能性が高い。そいつが死んで、この世から存在が消え去るまで俺はこの生活を続けなければならないのさ。余談だが、俺が日本語を話せたりするのは、俺が日本生まれ日本育ちのサイエンサーだからさ。」
その時、次郎のGウォッチから音声が出た。
〔次郎君、今君のいる場所のすぐ近くにサイエンサーが発生している。ロスのルビーが動いていたら間に合わない、出撃を頼む。北西に500メートルの地点だ。〕
「またサイエンサーが変態したらしい。行かなければ…」
「待て!北西に500メートルといったら、強力なサイエンサーがうろうろしている場所だぞ!」
「ガギグゲゴがあるから大丈夫です。あなたには関係ないでしょう!」
「…なら、俺がついて行く!!」



 その場所ではいかにも強そうなサイエンサーが暴走していた。
「うわー、何あの物体は!?」
「だから言っただろう!簡単にはあれは倒せんよ。」
 ちょうどそこにガギグゲゴが届いた。修理が終わったらしく、今回は本物が来ていた。
「と、とにかくこれに乗ってください。早い内に倒さないと、自爆されてしまいます。」
「言われなくても分かっている!!」
 二人はガギグゲゴに乗った。次郎はすぐさまガギグゲゴを変形させ、攻撃に移った。
「雷斗忍愚・舞零怒は毎回あまり効果がないから…今回はGブラストだ!」
 ガギグゲゴは腕からビームを発射した。だが、このサイエンサーは無傷だった。
「ちぃ、直撃のはずだ!悪性のサイエンサーは化け物か!?」 
 するとアンモニウマンが操縦ハンドルを手に取った。
「ええぃ、私がやる!!」
 彼はガギグゲゴの腕を下から上へものすごい勢いで上げた。サイエンサーはそれが腹に当たり、そのまま空中へと翔んだ。
堕射(ダイ)(オン)()守壊(スカイ)!!」
 サイエンサーは10メートルほど上がった瞬間に、爆発した。
「サイエンサー…特にああいうタイプの奴は、低気圧に非常に弱いんだ。彼らは体が膨張しやすくてな。」
 それは次郎もアメシストの訓練で習った事だったが、すでに彼の頭の中には存在していなかった。

「彼が…助けてくれたという男か。助太刀を感謝する。」
「いいえ、私はただのサイエンサーです。倒し方を知っていたから行動したのみです。」
「我々は今日の夜出航するのだが…可能ならば一緒に来てはくれないかね?」
 彼は一瞬悩んだが、すぐに答えを出した。
「戦いの基本は敵を知ること…私が役に立てるならば、生きている限り協力いたします。」
 また、アメシストに新たな仲間が加わったのだ。

その夜、ダクオン内に放送が流れた。それはボルケーノ直々の放送で、船の針路変更の連絡だった。
〔皆の衆、よく聞いてくれ。先日、我々に恐怖と爪痕を残したあの海域は、サイエンサーが大量出没する危険地帯だという事が判明した。したがって、我々はロシアを目指し、日本海を通って自国に再上陸する。詳しいことは、私ボルケーノ小野の元まで聞きに来い。〕
 ダクオンはアメリカから密かに出航した。新しい隊員、アンモニウマンと共に。












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