第六話 めざせ東京
東京都は某都市からはかなり遠い地域に入っていた。その上、ガギグゲゴは飛ぶ事はできるものの長時間の飛行は不可のため、海から運搬船で太平洋を通って運ぶ事になった。また、ガギグゲゴの修理がまだ終わっていないという理由もあった。
不変薬奪取部隊は、まだ薬の存在に100%の確信が得られていないことを理由に、例の3名のみが選ばれることとなった。
「博士、海まで行くのにどうして市営バスを使うんですか!?ものすごいカッコ悪いんですけど。まぁ、リアリティを追求するのはよく分かるのですが…。」
「アメシストにはあまり財産が無いんだ。だから少しでも節約をせにゃならん。」
「…日本って大変なんだな…。」
次郎、ジョン、それにドッペルゲンガーはガギグゲゴを運ぶための港へバスで向かっていた。
「ガギグゲゴは飛行能力を使って無人飛行で目的地へ向かっているが、それに俺たちが乗ると余計に負荷がかかって、何が起こるか知ったこっちゃ無い。飛行可能時間が限られている上に修理が済んでないからな。」
「俺、イギリス出身で本当に良かった…。」
「そういえば、ジョンはどうして日本語を?」
「そんな事か?我がトパーズなどの対サイエンサー組織は、すべて日本のアメシストから発祥したんだろ。だから、いつ日本に行ってもいいように、トパーズに入ると一番最初に日本語を覚えさせられる。俺はどうもそのやり方に賛成できないんだけどな。覚えるのに5ヶ月かかったし。」
「やっぱり、どの組織もやることは適当なんだな…。」
次郎は内心安心した。
「私がガギグゲゴ運搬担当責任者、それと運搬船船長のボルケーノ小野だ。船が東京に着くまでは、私の命令を第一に聞いてもらう。いいかね?」
三人は港に着いてすぐにその男に会った。3名の勇者は彼に深々と敬礼をした。
(アメシストにまともな名前の人はいないのか!?)
次郎の彼に会った第一印象はそれだった。
船は『運搬船』との明記だったが、ガギグゲゴを上に乗せるため巨大なものになっていて、それは空母に近かった。
その日の午後9時、ガギグゲゴを東京まで運ぶため運搬船『ダクオン』は発進した。
午前3時、東京まで後一歩という時に、その警報は流された。
〔前方に未確認物体発見!サイエンサーの可能性あり、全乗組員は直ちに戦闘準備!〕
それは彼らの運命を大きく変える音だった。
「何事だ!ただの鯨か何かじゃないのか!?」
ボルケーノは司令室で寝ていたらしく、パジャマのままの姿でブリッジ(操縦席)まで来た。
「ぷっ!…い、いえ、何でもありません。レーダーで見る限り、正体不明の物体は極端に人の形をしているのです。」
オペレーターはレーダーを確認しながらそう説明した。
「すぐにガギグゲゴを出撃させろ!操縦士は万が一の事を備えて、一時方向を最短距離の港へ変更!急げ!!」
そこへ騒ぎを聞いたアメシストの三人が駆けつけた。
「ガギグゲゴは今故障中で出せないぞ。ギャギュギョなら別だが…」
「なら、それを出すんだ!」
そんな訳で、次郎はギャギュギョで出撃することになった。
「敵は見てわかるとおり、水生のタイプだ。体が水で濡れているため、武器の威力は多少落ちるが、頑張ってくれ。」
「は、はい。でも、ギャギュギョの武器って銃みたいに発射するタイプじゃなくて、ライト○―バーやビームサー○ルのような離れないタイプですよね…?どうやって攻撃すればいいんですか!?」
「…あとは勇気で補えばいい!次郎、出撃せい!!」
そう言って彼はギャギュギョを強制発進させた。
(ひ、人の命をなんだと思っているんだ!!)
敵は間違いなくサイエンサーだった。それも、初めから巨大化しているという最悪の状況だった。
「ど、どう戦えばいいってんだよ!」
そう言いながらも、彼はギャギュギョの光の刃を器用に使いながら上手く攻撃していた。船の方からも、ガギグゲゴの使える武器で援護してくれていた。敵は不規則に海中から上に出てくるが、ガギグゲゴは見事にそれを撃っていた。
「これで最後だ!」
次郎は大きくサイエンサーに切りつけた。刃は大きくサイエンサーの頭部に当たった。サイエンサーは水中に沈んだ。だが、それと同時に怪物は爆発を起こした。
「しまった…!奴は切られる直前に自爆したのか!?」
爆発のエネルギーで船は大きく揺らいだ。
「船の安定を最優先に操縦しろ!ギャギュギョは至急、本船に帰還せよ!!」
次郎は命令を聞くなりすぐに船に戻った。
ダクオンの乗組員はその夜、生まれて初めての恐怖を見た。
「…今…何時…だ…!?」
次郎はあの夜寝てしまったらしく、船の中で眼を覚ました。見たところ、あの時の爆発の被害は少なかったらしく船自体は壊れたりしていなかった。彼の隣には同じ部隊の二人が横たわっていた。おそらく人命の方も無事のようだ。
「船は…どの位置にいるんだ?」
ボルケーノがオペレーターに尋ねた。
「…ヤバイです。」
それから彼は事態の説明をした。
「サイエンサーは自分の体に合った環境では、身体能力も極限まで向上するようになっています。つまり…」
「そんなのはどうでもいい!船の場所は何処なんだ!?」
オペレーターは言いづらそうに話した。
「…サイエンサーの強い爆発の影響で、船は…太平洋の何処かに運ばれました。」
「…私もよくよく運のない男だな…方位磁石は使えんのか?」
彼は首を左右に振った。どうも壊れているらしい。
「こんな…中学生がワー○で書いた物語みたいな設定なんて、あるかー!!」
とにかく名も無い海に浮かんでいるのはまずいと、彼らは船を場所がわかる所まで無理矢理動かし続けた。
「ジョン!博士!陸地が見えますよ!東京に無事たどり着いたんですよ!!」
次郎はガラス越しに見える景色を二人に伝えた。三人は確認をするためブリッジへと急いだ。が、途中でボルケーノに止められた。
「特別部隊の三人!『えー!』などと叫んで驚かないように聞いてほしい。我々はあの時の爆発で…遠くの海に飛ばされたんだ。だから窓から見える陸地は東京ではない。いや、日本でもない。おそらく…北アメリカ大陸だ。」
「おー!」
そう叫んだのはドッペルゲンガーだった。ボルケーノは彼に鉄拳をくらわして、彼は10mほど奥まで吹っ飛んだ。
「小野さん、僕たち…これからどうなるんですか?」
「なにしろ通信機器がミノ○スキー…じゃなくて、爆発の影響で当分の間は使用できない。多分、しばらくはアメリカ合衆国でお世話になるだろう。」
しかし、ジョンは上機嫌だった。おそらく英語が使えるようになるからだろう。
「No,ploblem!」 |