第十六話 サイエンサー基地攻略戦
「Gミサイルが使えたのは奇跡があっての事だ。本作戦ではそんなことは通用しない。その事をよく頭に入れて気を引き締めて遂行する事だ。」
長い苦労の後やっとのことで基地にたどり着いた山田次郎一行は、これまでの出来事を思い出しながら長官に説明していた。
「博士、Gミサイルはガギグゲゴのものを解体したりして作ったんですから、その時点でどのような効果があるかは分からないんですか?」
「…じゃあ特別に教えるぞ、ミサイルの中身を。…そば粉、生卵、猫の死体に…あと毛虫だったかな。」
「…それってもしかして、アレルギー性のサイエンサー用の武器ですか?だから効く確率が少ないんですか!?」
「おそらく。だが、設定ではそれは極秘情報だから、パイロットたちは何も知らずに無駄に武器を使うのだ。」
次郎はアメシストの適当さにあきれていた。
「これより、某都市からの4名の隊員で構成される特別部隊が、不変薬が保管されているというサイエンサー基地へ侵入し、それを奪取する作戦を再始動する。作戦は30分以内を目安に終了させ、それ以内に基地から隊員全員が脱出しなかった場合は、我々外部援護部隊は失敗と悟り、直ちにガギグゲゴで基地を焼き払い、同時に救出へ向かう。用意はいいか?…行くぞ!!」
四人はサイエンサー基地へ、援護部隊はその周辺へと向かった。
「なぁ、次郎。ガギグゲゴ…要らなかったんじゃね?」
ジョンはそんな事を次郎に尋ねていた。
「…同感。なんだか失敗する成り行きだな。」
「変なこと言うなよ。」
「…無いと話が成り立たないからだろ?」
「博士は黙っててください。」
しこりが残ってるまま彼らは基地へ到着した。それは不変薬が保管されている上にボスがいるためか、以前次郎が囚われたところより一回り大きかった。
「気をつけろ…サイエンサーは蟻のように、侵入者に対しては容赦しない。」
「…アンモニウマン、まだいたんだ…。いや、なんでもない。」
「博士、存在を消してください。いっそ、死んでくれてもいい。」
「そういう事いうな。」
次郎は扉に手を掛けた。
(これで…全てが終わる。)
四人は暗闇の中へ入った。
「ギャギュギョ・Nも援護してくれるらしいから、もう俺たちに敵はいない!」
「…いや、使ってくれないと逆に困るんだよな。」
基地の通路は警備が薄いようで、まだ一体もサイエンサーに会っていなかった。だが、いつやってくるか分からない恐怖のため、油断はできなかった。四人は分かれ道にあたった。
「どうする?まるで迷路だな。」
「とりあえず、二手に分かれよう。僕はアンモニウマンさんと、ジョンは博士と行動してくれ。何かあったら、すぐにGウォッチで連絡を。」
部隊は二手に分かれることになった。四名の勇者は、再びこのメンバーで会うことを誓った。
「健闘を祈る!!」
「お、俺はこういうの初めてだから、全てお前に任せるぞ。…3年間もこういう所にいたんだから、少しは詳しいだろ?」
「…まぁ、そんなとこでしょう。」
ドッペルゲンガーは指揮をジョンに任せた。
「サイエンサーの基地は、セブン○レブンや吉○家みたいにどれも同じ構造ではないのです。故に、私にできるのは司令室を探す事ぐらいです。」
二人は奥へと進んだ。
「アンモニウマンさん、ここにいるボスの事を、もう少し詳しく教えてもらえませんか?」
「…分かった。」
次郎・アンモニウマン組も、順調に進んでいた。
「やつが不老不死で、サイエンサーを作った人物…というのは、もう教えたよな?彼は…一度死んでいるんだ。」
「一度死んでいる?」
「ああ。だが、その死んだ肉体が、どうして不老不死になったのかは誰も知らないんだ。」
その男の謎は深まるばかりだった。次郎は『倉庫』と書かれた扉を見つけた。
「ここ…か?」
「いや、それはないだろう。不変薬は蔓延力の強い薬だ。やつらの事だから、こんなすぐに手に取れるようなところに置くはずがない。」
「…ですよね。」
二人は300メートルほど進んだところで、ある疑問を察した。
「…ん?なぜ敵が一人もいないんだ?こんなに進んだのに…。」
「…昼食でも食ってんだろう。」
暗闇は、永く続いていた。
「一体どうなってるんだ!?…そうか、俺に怯えて逃げちまったんだな!!」
「いや、それはないです。」
同じくジョンとドッペルゲンガーの二人も、それを感じていた。
「アンモニウマンは強いのがうじゃうじゃいるって言ってたが…騙された?」
「まさか…サイエンサーにも事情があるんですよ、きっと。でも、これだけ歩いたのにいないってのは変ですね。」
その時、上から雫のようなものがドッペルゲンガーの上に落ちてきた。
「…何だ?」
彼は頭上を見上げた。そこには、無数のサイエンサーたちが口をあけながらつかまっていた。
「ギャーー!!」
「…今なんか聞こえませんでした?」
「いや、聞こえなかったが…耳鳴りかなんかじゃないのか?」
二人は気にせずに進んだ。
「…ということで、見事に囚われてしまいました。」
「誇らしげに言わないでください。」
ジョンとドッペルゲンガーは必死の抵抗もあったが、数に勝れてしまったのだ。二人は両手両足をロープで縛られ、身動きができない状態だった。
「これじゃあGウォッチも使えないな。どうする?」
「『どうする』って…あなた博士でしょう?前みたいに秘密道具でピンチから逃れられないのですか!?」
「ああ…自由って、素晴らしいなぁ…。」
「…ジョン、博士、応答願います。…だめだ、通じない。どうしましょうか?」
次郎とアンモニウマンの二人はおそらく不変薬が保管されている、かなり厳重な部屋を見つけた。さすがにそこには警備の2体のサイエンサーが槍を片手に立っていた。そのため、二人は物陰からそれを報告している、というのが状況だ。
「ジョンがいれば簡単に通れるのだが…。私の力を貸そうか?」
「力を貸す?」
「忘れたのか?私はサイエンサーだ。同じサイエンサーなら互角に戦える。」
次郎は、今だけ彼の行為を許可した。アンモニウマンの体は人間から怪物へ変態した。
「アンモニウマンさん…死なないでください。」
それが次郎の唯一の頼みだった。怪物対怪物の、激しい戦いが始まった。 |