超リアルロボットストーリー 超機動要塞ガギグゲゴ(14/20)PDFで表示縦書き表示RDF


超リアルロボットストーリー 超機動要塞ガギグゲゴ
作:RC



第十四話 山手線の攻防


「おまえ、タイミングが悪すぎるぞ!もうちょっとで敵の秘密を聞きだせるところだったのに…。」
「何言ってるんですか!?僕は命の恩人ですよ!!」
「恩人は俺の下駄だ!!」
 死から救われた博士は、そんなのんきな事を言っていた。
「第一、作戦中に実家によるという思考回路がどうかしているんですよ。今後、作戦が無事終わるまで勝手な行動は厳禁です。」
「えー、山手線に乗ったら秋葉原で暇をつぶそうと思っていたのに…」
「暇じゃありません!!」
 四人は上野駅に到着していた。そこで山手線に乗り換え、彼らは目的地への私鉄を乗り継ごうと、ささやかな計画を練っていた。
「我々は秘密組織の隊員なんです。故に、サイエンサーに遭遇しやすい、狙われやすいんです。それを少しでも防ぐために、専門用語の使用や、怪しい行動はできるだけ控えているのです。」
「いや、そういう君が一番危険だと思うんだが…」
「何か言いましたか?」
「い、いいえ、何も言っていません。」
「…要するに、人口密度が多い、すなわちサイエンサーの数も大量な都心部では、特にそれに気をつけてください。分かりましたね!?」
「は、はい。」
 大人への少年の説教はそこで幕を閉じた。
「博士の一件もあり、集合予定時間まであまり余裕はありません。急ぎましょう。」
 四人の少年、ホームレス、おっさんは、山手線に乗った。

「なぁ、次郎。20分、いや、5分でいいから、秋葉原に寄らせてくれ!頼む!!」
 ドッペルゲンガーは満員の山手線の車両の中でそう呟いた。だが、次郎はそれを聞いた瞬間、彼の足を踏みつけた。
「いっ!や、やったな!!教官にもやられた事がな…」
「それが甘ったれなんです!仕事中に趣味の店に行く会社員など、どこにいるものですか!!」
 その時だった。まわりの乗客たちが、全員四人の方を向いた。
「な、何だおまえらは!見せモンじゃねぇぞ!!」
 その客の中の一人、おそらく行きつけの秋葉原の店に向かっているらしい秋葉系オタクの男が、だんだんサイエンサーへと変わっていった。それにつられてか、他の乗客も全員サイエンサーへ変態した。
「この時を待っていた。憎きアメシストの人間がここに来る事を!!ここは動くブロッケン・モンスター基地、『悪夢の山手線最後部車』だ!!」



「き、基地だって!?」
「ああ、そうだ。今や君らはふくろのネズミだ。さあ、どこへ逃げる?」
 サイエンサーたちは迫ってきた。ちょうど御徒町駅から出たばかりだったため、扉は1分ほどあきそうになかった。
「なら…こうだ!!」
 ジョンはお得意の格闘でサイエンサーたちに蹴りを入れた。だが、数が数のためいくらやってもきりがなかった。
「次郎、どうする!?このままじゃ…」
「…横が駄目なら…上だ!!」
 次郎は天井に小型銃で穴を開けた。次の瞬間、辺りに煙幕が現れた。その煙が消え、様子をはっきり確認できるようになった時には、すでにサーエンサーの前からターゲットは消え去っていた。
「し、しまった!逃がすものか…追え!!」
 サイエンサーの軍団が同じく上へ向かった。

「博士、意外といいもの持っていたんですねえ。見直しましたよ。」
 煙幕の発生源の装置は、ドッペルゲンガーの物だった。
「火事の時の煙を寄せ集めて作ったんだ。苦労したんだぞ。」
「…まさか、家が燃えて生死を分けた救出活動が行われている大変な時に、あなたはのんきに煙を採取していたのですか!?なんて事を…」
「ま、いいじゃないか。俺らが救われたんだし。」
「…それもそうですけど…てか、ここ風強すぎ。」
 そこへ、先程のサイエンサーたちが再び現れた。
「もう逃がさんぞ!覚悟しろ!!」
 その時、電車が秋葉原駅に着いた。
「よおし、この際だから秋葉原へいったん逃げ込もう!」
「えー…まぁ、仕方ありません。行きましょう。」
 四人は電車から秋葉原駅のホームへ飛び降りた。

「とりあえず、超音波発生装置を電車に設置しておいたので、いまのところは問題ないと思います。…アンモニウマンさん、何なんですか、アレ?」
「都市伝説的なもので、私も聞いている。まさか本当に存在していたとはな。」
 特別部隊の隊員は、駅の某喫茶店で一服していた。
「『悪夢の山手線最後部車』、捕虜採集と敵の殲滅を目的とした、とても恐ろしい基地だ。」



「人間が入ってくるなり、様子を伺って隊員かどうか確かめ、その答えによって異なる方法で基地まで持っていくらしい。死者が出たという話も聞いた事がある。」
 アンモニウマン説明が終了した。その時だった。ホームの方向から建物が壊れるような音がした。四人はすぐさまそこへ向かった。そこには、巨大化したサイエンサーが駅を壊していた。おそらく、山手線で戦ったうちの一人だろう。
「もうこんな生活はうんざりだ!山手線でちまちま仕事をしながら安い報酬で生きるのに飽き飽きしたんだ!だから、こうやって一気に人間を稼げば楽に暮らしていけるんだよ!!」
 サイエンサーはそんな事を言っているらしかった。付近には巨大化していない他のサイエンサーが彼を説得しているようだった。
「…サイエンサーも、大変なんですねぇ…。」
「そんな事考えてる暇があったら、さっさとアメシストに連絡して機体を持ってきてもらえ!」
 ドッペルゲンガーは珍しく真面目にやっていた。

「…なんか、あんまり倒したくないな…。」
 次郎は先程の言葉のせいで、サイエンサーに攻撃しづらくなっていた。
「次郎、どうした!?さっさと撃破して、基地へ向かおう。時間はないんだろ?」
 博士の呼びかけに対しても、次郎は無反応だった。その瞬間、彼は新しい自分に覚醒してしまったのだ。
(そりゃあ、悪心のサイエンサーを野放しにはできない。でも…彼らにも人生ってモノがあるんだ。サイエンサーだって、自分で選んで悪心のタイプになったわけじゃない。…闘争本能に従っているだけなんだ。彼らは悪心のタイプのやり方で生活している。これがその証なら、僕は彼らをむやみに殺せない!)
 それは今まで一度も考えた事のない想いだったが、次郎にとってとても深刻な問題に思えた。
「何やってんの!早く倒せ!!」
「…博士、僕にはできません。もう…戦えないんです!!」
 その時の彼にとって、博士の助言は恐喝になってしまっていた。
「何を言っているかさっぱり分からん!もういい、私に貸せ!!」
 ドッペルゲンガーはコックピットによじ登ってきた。そして、次郎の隣の操縦席に座ってGブラストの発射ボタンに手を掛けた。
「や、やめろ−!!」
 次郎は博士の手を叩き、その反動でコピー・ガギグゲゴの電源が切れてしまった。敵のサイエンサーはそれを見るなり、コピー・ガギグゲゴに襲い掛かってきた。その時、後から駆けつけたアメシスト隊員の機体により人々は九死に一生を得た。












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