第一話 ガギグゲゴ、大地に立つ!
200X年。人々が地球で歴史をつくりあげていってから既にものすごい年月が経っていた。
ここはとある県にある某都市、の中にある住宅街。そこに一人の少年がいた。名は山田次郎。国単位、いや、通っている中学校から見ていっても極めてマイナーキャラ。
彼は友人の家にいた。
「ちょっと待ってろ。飲みもモン持ってくっからさ。」
山田次郎の友人、田村真の家は超高層ビル…というより20階建てのアパートだ。しかも真の住居は2階。なぜ2階を選んだのかは未だに不明だ。彼は台所からジュースを持ってきた。
しかしそのジュースは、この後に起こる危険を知らせていたのだった。
ジュースは赤っぽい色をしていた。一見トマトジュースに見えたが、よく見るとその色は血に近かった。
(なんだ、この液体は…とりあえずトマトジュースに設定しておくとして、何ゆえこいつは初めて家を訪ねてきた友人にトマトジュースを勧めるんだ?まあ、なにか訳でもあるんだろう…)
「なんだ、飲まないのか?」
「え?いや、その…」
飲まないのは流石に友好関係を築くためにはまずいと、次郎少年はジュースに口を近づけた。だが、その液体は思った以上に想像とかけ離れていた。
(こ、この臭いは……硫化水素!塩酸に硫化鉄を入れると発生する腐った卵みたいな臭いの硫化水素!!こ、これは飲めん!)
次郎は飲む直前に目の前にいる友人に単刀直入に聞いてみた。
「ねえ、これ、何のジュース?初めて見るんだけど…。」
「……」
その時、次郎は危険を察した。
(こいつ、まさか…)
次郎はその感情をすぐに行動に移した。
「てい!!」
彼はその怪しい物質を真にぶちまけたのだ。
「ギャー!!」
液体は顔に降りかかり、真の顔は見る見るうちに別の生き物に変わっていった。
「貴様、よく異変に気がついたな。もし飲んでいたら、お前は今すでに死んでいた。」
「おま、トマトジュース出す時点で変だろ!まさか、おまえは…」
真だった人物は、顔の液体を振り払いながら言った。
「そうだ。オレは都市破壊を目的に創設された『ザ・ブレイカー』でつくられたモンスター、『ゲルマニウマン』だ!!」
(『ザ・ブレイカー』!?)
「ややこしいな…じゃなくて、やっぱり存在していたのか…!それもこんなに身近に!!」
彼は動揺していた。そう、彼はその組織の名をすでに知っていたのだ。
彼、山田次郎は、実はある秘密組織の一員である。その組織とは、悪の軍団『ザ・ブレイカー』に対抗すべく同時に存在する組織、『アメシスト』だ。彼らはいつ発動するか分からない『都市破壊』を防ぐため、日々次郎のような偵察員を入れている。それが今、実行されるのだ。
(とにかくここにいると殺される。すぐに脱出しよう!)
次郎は勢いよく真の部屋のガラスを破った。そして彼は20階建てアパートの2階から飛び降りた。もちろん骨折はしない。
「待て!何処に行く気だ!逃がさんぞ!!」
ゲルマニウマンと名乗る怪物はすかさず追ってきた。
(どうしてこういう時って道路の通行人の存在が消えてるんだ?いや、そんなことはどうでもいい、早く博士に知らせよう。しばらく使ってないからな、作動すればいいが…)
そう思いながら次郎は左手の腕時計のボタンを力強く押した。
「博士、ポイント22305の隊員624から出動要請のシグナルが出ています。どうしますか?」
某都市のビル内から声が発せられた。
「とうとう奴らが動き出したか…。G計画、始動だ!!」
「どこまで追ってくるつもりだ?ベン・ジョン○ンか!?」
アパートから脱出して500メートルは走っただろう。しかし、ゲルマニウマンは未だに追ってくる。
その時だった。地面がグラグラとゆれた。その揺れに驚いて次郎は立ち止まってしまったが、後方の生物も同じく揺れに気づいたのか立ち止まっていた。
(ま、まさかアレを使うんじゃ…!?)
地面が動いた。それと同時に、道路がまっすぐに割れトンネルのような巨大な空洞ができた。そして奥からガガガという戦車のような音が聞こえてきた。
(…やっぱり、使っちゃうのか…)
そしてその空洞から一つの巨大な物が出てきた。それは機動要塞だった。
「隊員624、山田次郎!」
眼を凝らして見てみると、その要塞に一人の中年のおっさんが立っていた。
(コックピットに乗ればいいのに…。カッコつけたいからって無理しちゃって…。)
そう言いながらも、少年はそのおっさんに返事をした。
「ドッペルゲンガー博士、ここです。」
振動はおさまり、怪物は再び動き始めた。
「博士、やはりあいつらです。やつらが動き始めたんです。」
「そんな事はもう分かっている。今はこいつに任せるしかない。早く乗れ!」
次郎は怪物を引き離し、要塞に乗り込もうとしているところだった。
「早いうちに片付けてしまおう。時間がたつと、いろいろと厄介な事になる。」
二人は要塞の鳥の口ばしのような部分に乗った。(画像参照)
「ところで、こんな大きな兵器を使うことも無いと思うんですが…。相手は人間単位の大きさですよ。ちょっと大人げ無いんじゃないんですか?」
「だから、これから大きくするんじゃないか。あれを見ろ。」
博士と名乗る男の指差す先に、その敵がいた。
「♯$ΘΔφ…」
奇妙なうなり声をあげながら怪物はその要塞と同スケールほどまで巨大化した。
「ほら、つりあっただろう?」
「『ほら』じゃないですよ。あなたが変な事言うから設定が変わっちゃったじゃないですか。倒せなかったらどうするんですか!?」
「第一話って書いてあるから大丈夫だろう。気にすることは無い。それより変形だ。しっかり掴まってろよ。」
博士はボタンを押した。ギシギシと音を立てながら、要塞は形を変え、たちまち巨大なロボットに変形した。
「超機動要塞、ガギグゲゴ!!」
ロボットから音声が出た。
「あのぉー、今の無意味な言葉、もしかして博士の声ですか?」
「え?あ、ああ。技師に頼んで入れてもらったんだ。『おしゃ○りノート』よりはマシだろ。」
「…それともう一ついいですか?」
「何だね?」
「スキだらけの変形中や話している時にに攻撃してこない怪物の事も気になるんですけれども、このイスはどうにかならないんですか?」
二人の乗っているコックピットはロボットの頭部に変形していた。角度は変形前後も変わらず水平を保っているのだが、向きは変形の設定上前後逆になっている。(画像参照)
「…イス、回らないんですか?」
「…すまん、一度も変形のテストをしていなかったから、操縦席の事を頭に入れてなかった。我慢してくれ。」
「…あなたバカですか?」
「バカって言うな。バカとは違うのだよ、バカとは!!」
「お願いですから黙っててください。」
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