98 路上
最近店を閉めてから駅近のラブホに寄ってから帰る事がある。最近デートをしてなかったからそれでもいいのだが、ヒロはあまり成長してない。勉強のためにエッチなDVDでも買ってきてやろうか考えてしまう。
いつものように電車を使って帰り、駅を出るとロータリーで路上ライブをやっている子を見つけた。
「聞いてく?」
「女の子だから?」
「違うよ。そっちが気になったみたいだから…。」
「少し聞いていこうか?」
「いいよ。」
すでに3人程廻りに座って聞いていて、遠巻きに聞いてる人も何人かいた。私達も遠巻き組だ。
歌っている曲は、少し前に有線で聞いたヒットナンバーで、アコースティックギターで弾きながら歌っている。それが終わると座って聞いてた子が『オリジナルはないんですか?』と聞いている。するとオリジナル曲もあるようで、曲紹介をして歌い始めた。オリジナル曲のはずなのに聞いた事あるような歌詞だった。
愛がテーマの曲ならこの世に腐るほどあるからだろう。でも心地よいメロディだった。その曲が終わり『真理。』とライブしている子に声をかけられた。
「知り合い?」
私が首を捻っていると、
「薄情だな〜、早苗だよ。声聞いてわからなかった?」
「えっ早苗?」
キャップを被ってたので分からなかった。
「近く来て座りなよ。」
「誰?」
「早苗。同じクラスの子。」
「どうも。」
「どうも、お兄さんも座って聞いていってよ。」
「俺は先に帰る。真理も早めに帰ってこいよ。」
「わかった。」
とウィンクして帰ってしまった。
「お兄さん?」
「今お世話になってる家の人。」
「へぇ。仕事帰り?」
「そう。上手いじゃん。もっとオリジナル聞かせてよ。」
「そうだ!10時ぐらいになったらお巡りが見回りくるから、その前に歌わないと。」
あと30分くらいだ。未成年だから仕方ない。また曲紹介して歌い始めた。そして10時ちょっと前に切り上げたのだ。
「早苗ってこの辺に住んでたっけ?」
「反対側。ショッピングセンターの方。」
「そっか。それにしてもいつからやってるの?」
「休みに入ってからバイトの休みの日だけね。」
「そう…。」
「お茶してかない?」
「いいけど家の人心配しない?」
「ウチは夜の商売だから、帰り遅いの。」
「そうなの。」
「なんなら泊まりくる?」
「急には無理かな…。」
「そうだよね。お茶どこにする?」
「11時まででよければ反対側のシチリアでどう?」
久々のシチリアだ。 |