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メビウス ループ
作:優楽



84 オーディション


 朝の部室には美紀と小百合がすでにいた。
「おはよう。」
「真理先輩、おはようございます。」
「おはよう。珍しいね。」
「たまにはね。15分でもシュート打てば違うと思って。」
「そうね。」
「そうだ!聞こう聞こうと思ってたんだけど、美紀はお昼どこで食べてるの?」
「まぁ、いいじゃん。」
「いいけど…。」
 美紀は亜希が別のクラスでお昼ご飯を食べてない事を知らない。
「先行くね。」
「あ、うん。」
 美紀は体育館に向かったが、小百合はまだ着替え途中だ。
「小百合もマジメだね。」
「たまにしか来ないですけどね。」
「最近はスタメンだし。」
「練習だからですよ。」
「そんな気持ちじゃダメだよ。スタメン取られちゃうよ。」
「亜希さんにですか?」
「亜希に?」
「今のメンバーなら、妥当だと思いません?」
「どうかな?」
「スタメンでも控えでもちゃんと準備しますよ。」
「だね。」
「私も先行きます。」
「私もすぐ行く。」
「はい。あと秘密って言われてるんですが、美紀先輩お昼もシュート練してるみたいですよ。」
「本当?」
「私が言ったってバレないようにしてくださいね。」
「わかった。」
 まったく美紀には頭が下がる。

 最近の休み時間は辺見さんと過ごすようになりつつある。辺見さん達はバンドの勧誘が主目的みたいだ。どうやらドラムの橋本くんが、私の事をバンドに“入れろ入れろ”うるさいみたいだ。文化祭にはエントリーしたいので、夏前にはメンバーとして合流すればいいからと言われてる。
 昼休みになると、内野さんまで勧誘に加わるから大変だ。結局、部活終了後、橋本くんがバイトしてるカラオケに、歌いに行く約束をしてしまった。憂鬱だ…。
「ねぇ典子カラオケ付き合わない?」
「バンドのオーディションみたいもんなんでしょ?呼ばれてない人行ったら嫌がられるよ。」
「そんな事ないでしょ?」
「だいたいなんでそんな事になったの?」
 お昼ご飯食べるのに、たまたま後ろの席で食べてた辺見さん達と、一緒に食べさせてもらったなどとは、この部室の亜希や美紀がいる中では言えない。
「色々あるんだよ。」
「ふ〜ん。でもやっぱり遠慮しておく、頑張ってきて。」
「え〜っ。誰か行かない?」
「誰も行かないよ。」
「何で?」
「橋本くんって恐い人でしょ?」
「恐い?」
「まぁ、ケンカは強いって話よ。」
「そう…。」
 それを聞く前も憂鬱だったが、尚更行くのが嫌になった。












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