77 代償
屋上では、亜希のこの何日間の話を聞いた。
田中さんとは連休前の2週間メールでやりとりして、随分距離が縮まったように感じてたらしい。愚痴を聞かされたり、元カノとの事を相談されたり…。次第に“寂しい”みたいな話になり“亜希ちゃんみたいな子と付き合えばよかった”と言葉が変わっていき、“連休中遊びに来てよ”みたいな誘いに乗ってしまったのだ。
昼間は買物がてら街ぶらぶらして、夕方近くになってから田中さんのアパートにいって、お茶飲みながら会話したり、一緒にご飯作ったり、夕食時にはアルコールを飲んだり…。気付いた時にはベッドに裸にされてて…。『気付いた時には…。』ってところが気になった。まさか睡眠誘導剤みたいなものは使ってないだろうな…、と勘繰ってしまったが口には出せない。
だけど3日目の朝になると態度が変わり、『いつまでいるの?』とか『早く帰れよ。』とか『彼女面してんじゃねぇよ!』とか口調がきつくなり、3日目はアパートを飛び出して、地元のファミレスで朝を迎えたとの事だ。ファミレスで落ち着いた時に初めて『私遊ばれたんだ。』と思い泣いてしまったらしい。
家に帰ってからは、父親にひどく怒られ門限を作られたみたいだ。父親は地元の公務員で、家には6時には帰っているらしく、亜希は父親の帰宅前に家に帰ってないとダメらしいのだ。
私が撮影見学に行くと言い出さなければ、二人は出会う事もなかったのに…。私がバスケ部に入らなければ…。亜希と仲良くしなければ…、言い出したらキリがない。しかし私が一人の女の子に影響を及ぼした事は間違いないのだ。
大事なこの時期にチームを離れた事を後悔したが、どうゆう顔して戻っていいのか分からず、門限の事もあり辞める事にしたのだ。
「男は田中さんだけじゃないって!」
一緒に話を聞いた典子が亜希を励ましている。
「そうだよ。」
「しばらく男はいい。」
「そうなの?」
「男性不信?」
「んー、自分が馬鹿って、男見る目無いって気付いてよかったかなって…。」
「大人になったね。」
「それどーゆー意味?」
「処女も卒業だし!」
「たく…。励まされるよりいいけど…。でもあんな男にあげたと思うと、なんか悔しいな…。」
「忘れなよ。」
「そうだね。」
処女か…。好きな人にならと女の子は思うのだろうけど、若い男は初めてという事に、さほど特別な感情は無いだろう。 |