72 心配
栗原の話では、幸太は地方ロケの仕事らしく、明日には帰ってくるそうだ。
「それだったら、田中さんは何してる?」
「田中くん?」
「うん。」
「なんで田中くん…?」
「実は…。」
事情を説明すると、
「田中くん彼女いないよ。」
「本当に?」
「派手に遊んでるみたいだけど…。」
「それじゃ、ダメじゃん!」
「まぁモデルだからモテるし…。」
「幸太も?」
「幸太もモテるけど、マジメ過ぎかな?少しは遊んだ方がいいね。」
「なんかわかる気がする。ところで田中さんの携帯教えてもらえませんよね?」
「それは無理ね。」
「ですよね。」
「田中さんに連絡してもらって、亜希と一緒じゃないかだけでも確認とってもらえませんか?」
「してみる。この携帯にかければいい?」
「すみません。」
「真理ちゃんのお願いだから別に平気よ。ちょっと待っててね。」
折り返しの電話は5分とかからなかった。
「真理ちゃんゴメンね。予想通り彼のマンションに2人で一緒にいるって。」
「よかった…。」
「よかった?」
「無事でよかった。事故かなんかに巻き込まれてなくて…。居場所がわかったから…。」
「そう…。でも多分…。」 彼に亜希が弄ばれた…、と言いたかったのであろう…。
「それは…、彼女も覚悟して行ったと思うので、気にしないで下さい。お手数おかけしました。」
「早く帰すように言おうか?」
「それは本人の自由にしてあげて下さい。それに言ったとこで聞くわけないし…。」
「そう。」
居場所わかっただけでも安心だ。ただそれを先生に言うか言わないかだ。先生も亜希の親も心配してる。帰ってきた時に怒られるのは確実だろう。
「なんか大変そうだね。」
そばで聞いていた純が、お茶を飲みながら声をかけてきた。
「まぁね。」
「せめて友達と口裏合わせとかしておかないとね。」
「そうだね。純ちゃんもそうゆう事した?」
「内緒。」
「ふ〜ん。まぁ、いいや。合宿帰るね。」
「頑張ってね。」
私は軽く頷いて居間を出た。合宿所の部屋では疲れて寝てる子がほとんどだ。寝てなくても横になって目をつぶっている。ただ美紀の布団はたたんである状態だった。教官室の先生のとこにでもいるのか…?
その時、亜希からメールがきた。『心配かけてゴメンね。休み明けに学校で話すね。』との事だ。『親も先生もみんなも心配してるよ。親だけでも連絡してあげて下さい。』と返信しておいた。それに対しての返信はこなかった。 |