62 食事会
撮影が終わると、幸太と同じ事務所の男性モデルの田中さんと栗原と私達3人で食事に出かけた。栗原の車には私達3人で、幸太は田中さんの車で移動だ。
移動した先はホテルで、そこの18階にあるレストランだった。そこには60前後のおじさんが座っていて、よく見ると社長だった。私は社長と栗原と同じテーブルで、幸太達は近くの別のテーブルに座った。
「どうも。」
「うちの社長よ。」
「はじめまして。」
「残念だよ。保護者が反対してるんだって?」
軽く頷いた。
「深谷さん本人はやる気ないの?」
栗原の方を見た。目が合うと、
「興味ない?」
と栗原まで聞いてきた。栗原は諦めきれなかったのか?
「私は…。普通のお嫁さんが夢なんで、すみません。本当は桃子も…、姉もそうだったはずです。」
「そうか…。それじゃ、仕方ないな。」
「すみません。」
「いいんだ。でも桃子の妹の君に会えて良かったよ。君のお姉さんはマルチな才能を持った女性だったよ。」
「そうですか。」
「お姉さんが推薦してくれた高橋有紀もイイ女優に育った。」
「…。」
「まぁ、今日は何でも好きなもの食べてくれ。」
「ご馳走になります。」
社長が笑顔で頷いている。いい年の取り方をしている。幸太達の席から時折笑い声が聞こえてきた。
帰りの電車では、亜希と典子が何やら盛り上がって話している。幸太の先輩田中さんと亜希がメアドと電番交換をしたようだ。典子が羨ましがってる。
「ねぇ真理?」
「何?」
「また今回みたいのないかな?」
「また見学したいの?」
「じゃなくて食事会みたいなの…。」
「ないよ。その田中さんに頼みなよ。」
「亜希〜。」
「メール来るかもわからないのに、私から頼むの無理じゃない?ここは山下先輩に頼もうよ。」
「モデルなんて止めなよ。遊ばれるだけだって!」
「田中さんになら遊ばれてもかまわない。」
「あのね〜。亜希の目、ハートマークになってるよ。」
「本当だ。」
2人が降りて行くとなんだか疲れた。
私が降りる駅はまだ3つ先だ。これだけ空いていれば痴漢に合う事はないだろう。亜希と典子から別々にメールが来てた。亜紀は『最高に一日をありがとう。』典子は『私にもときめく出会いをプリーズ!』と、悲しいメールだった。読み終わる頃に幸太からもメールが来た。『真理に友達が出来て安心したよ。』との事だ。 |