60 待ち合わせ
土曜の練習試合は楽しかった。やっぱり勝つと楽しい。と言っても活躍したのは美紀と1年ながらスタメンの松本だ。私も試合には出たが、出場時間は短いものだった。
試合も終り部室で着替えふと携帯電話を見ると、試合中に幸太から電話があったらしく、不在着信が2件と受信メールが1件あった。内容は『明日の午後撮影があるから来たいなら連絡くれ。』だった。昔から幸太は真理にやさしい。私は携帯電話を持ち黙って部室を出た。幸太が3コールで出てくれた。
「おう。」
「出れなくてゴメン。」
「いや。で、明日何人来る予定?」
「私入れて3人。」
「まぁ、いいか。」
「何?」
「始め栗原さんが真理だけならみたいな事言ってて…。」
「迷惑だって?」
「まぁ…。でも、静かに見学させるって条件で納得してくれたよ。」
「そう。」
「それでS駅東口改札に1時な。迎えに行ってくれる事になってるから。175センチの女性だから、すぐ見つけられると思うよ。」
「うん。」
「一応、栗原さんの携帯電話の番号をメールしておくから。」
「うん。」
「突然来れなくなったりしたら、早めに連絡してな。」
「わかった。」
「じゃ明日な。」
「うん。」
そして部室に入り亜希と典子にその話をすると、すごく喜んだ。
「バッシュは午前中に買いに行かなきゃだね。」
「荷物になるなぁ…。」
すると横で聞いていた貴代が、『私が預かって月曜持ってこようか?』と言ってくれたので、有り難く甘える事にした。
そして結局1人でバッシュを買いに行き、2人の住む駅へと電車移動した。待ち合わせ場所の彼女達は、それなりのオシャレをして待っていた。
「ちょっと真理制服?」
「私服じゃないの?」
「これで来ちゃったもんはしょうがないじゃん。」
「そうだけど…。」
「日曜まで制服じゃなくても…。」
「まぁ…。行こう!間に合わなくなっちゃう。」
「だね。」
亜希と典子は同じ中学出身らしく、時折地元の話をしている。『誰々に今日の事自慢しよう。』とか『誰と誰が付き合ってる。』とか…。
S駅に着き改札を出ると栗原がサングラスにスーツ姿で待っていた。
「こんにちは、深谷です。」
「よく私ってわかったわね。」
「家に昔の写真があったので、一目でわかりました。」
「恥ずかしいな。」
「栗原さんだって、私の事…。」
「似てるから。」
「そうですか…。」 |