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メビウス ループ
作:優楽



58 ネックレス


 帰りに『痴漢を撃退し、相手が警察に連行された。』という話を報告しておいた。すると『朝は何回かされた事あったよ。』などとまるで他人事のように話すのだ。それで連絡先欄に『家の電話番号と進藤様方・呼出し深谷真理』と名前を入れた事を話した。
「何だか大変な事になってない?」
「弁護士から連絡くるかもね。示談の申し込みとか。」
「ジダン?」
「『示談金払うので、訴えの取下げをお願いします。』みたいな話さ。」
「で、『許します。』になるの?」
「先に『示談には絶対応じません。』って言ってきた。」
「あんまりいじめない方がいいんじゃない?」
「相手が一度でも謝れば考えてもよかったけど、逆に罵声浴びせてきたからね。」
「なんて?」
「忘れた。」
 本当は覚えていたが、言うのが面倒臭かった。

 家に着くと愛子も純も居間でコタツに入りながらテレビを見てる。二人ともお風呂に入ったあとらしく、愛子の頭にはバスタオルが巻かれ、純の髪は濡れたままだった。
「髪乾かさないと風邪ひくよ。」
「あ、お帰り。」
「ただいま。」
「広志くんは?」
「部屋にいった。風呂でも入る準備してるんじゃないかな。」
「そう。それでレッジーナどうだった?」
「店閉めるって。」
「嘘!?」
「本当。」
「そう…、残念だね。」
 二人の母親もレッジーナでパートをしていた時期がある。二人も何度か食事に行っているだろう。
「これからどうするって?」
「そんな事聞けないよ。」
「そうだよね…。」
「ところで真理。」
「何?」
「進藤さんって、いつからあの指輪付きのネックレス取ったの?」
 えっ?取った?
「純も気付いてた?」
「なんだお姉ちゃんも気付いてた?」
「まぁね。今月位からじゃない?あれ?真理どうした?」
「…。」
「まさか、気付いてなかったとか?」
 小さく頷いた。
「まぁ、これで広志くんも桃子から卒業出来たって事だよ。」
「真理に決めたんだから、少しは引きずってるんじゃない?」
「ちょっと純!」
「本当の事じゃん!」
 回りの人間にそう思われてる事は想像出来たが、面と向かって言われるとキツイ…。でも『真理』はその気持ちも込みで、納得してプロポーズを受けてくれたんだと思う。
 『お姉ちゃんを越えてみせる。』と言った事もあった。桃子には正式にプロポーズをしたわけではない。その部分では既に越えているのだ。












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