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メビウス ループ
作:優楽



57 ギュッ


 皿を洗ってると、ヒロも控え室から出てきて話だした。
「接客って大変だね。」
「そうか?楽しかったけどなぁ…。」
「楽しかったねぇ…。」
「そりゃ無口な客もいれば、自分勝手に話しかけてくる客もいる。また来てくれるか心配だけど、来てくれた時は嬉しいし。」
「そうゆうもん?」
「まだ店主になって日が浅いからな、余裕が出るまでは仕方ないよ。」
「テンシュ?」
「店の主さ。責任感持ってやんなよ。」
「責任感…。あんまりプレッシャーかけないでよ。」
「悪い悪い。」
「でも確かに余裕ないのかも…。メニューだって少なくしてもらったのに、作る順番気にしてパニくりそうだったし。」
「落ち着いてやれば出来るさ。」
「頑張るけど。」
 皿も洗い終り、帰るため控室に置いてある制服の上着を取りに行った。その時控室の入口に立ってたヒロに引き寄せられ抱きしめられた。
「なっ…、何?」
「…。」
「どうした?」
「…。」
「コラッ、痛いって!」
「ゴメン。もう少しこのまま…。」
 と、腕の力は弱まったが、腕を解こうとはしなかった。そこでこっちも腕を回して抱きしめた。
「どうした?」
「…。」
「ずっとそばにいるから、学校辞めて通信制でもいいし…。」
「大丈夫…。」
「本当?」
「ねぇ『ヒロ』?」
 『真理』と呼ばず『ヒロ』と呼んだ。
「どうした?」
「何でもない。」
「変な子だな。」
「…。」
 外見は40前のオッサンだけど、中身は17才の女の子だ。多少情緒不安定になる時だってあるだろう。むずかしい年頃だ。
「帰るか?」
「うん。」
 やっと腕から解放され目が合った。
「ねぇ?」
「何?」
「キスしていい?」
 入れ替わってからエッチどころか手も握ってない。それに頷き目を閉じアゴを少し上げた。
 すると片方の手が腰の辺りに回され、もう一方の手は耳の後ろに回り、少し引き寄せられたところで、唇を重ねてきた。軽くチュッといった感じの優しいキスだった。離れた瞬間目が合い、視線をそらして恥ずかしそうに笑ってた。
「やっぱり照れる。」
「昔の自分だろ。鏡にするようなもんさ。」
「違うでしょ!体温感じなかった?」
「そうだね。」
「そうだよ。」
「照れすぎだって。」
「でも、ある意味ファーストキスじゃん!」
「だったらもっと大事にしとくんだった。」
「何それ!」
「冗談。」
「まったく…。」












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