55 触る
駅は学生とOLやリーマンで混みだしていた。ホームへ下りると電車があり、発車のベルが鳴っている。
「小百合乗るよ。」
「はい。」
電車の中は混んでて隣の人とは肩がぶつかる。
「小百合大丈夫?」
「平気です。」
小さな小百合が心配だったが、自分もそんな事言ってられなかった。明らかに私のお尻に人の手が当たってる。いやそれは意識を持って触ってる。女性が一瞬声が出ないというのがわかる気がした。だが、元広志の私としては我慢ならず、その手首を掴み上へと持ち上げ、
「この人痴漢です。誰か助けて下さい。」
と混み合ってる車内で大声を出した。すると車内は騒然となり、廻りにいた大人が、『逃げないように取り押さえろ。』とか『羽交い締めにしろ。』と言って、その男性を逃げれなくしてしまった。
「助かります。」
と、言うと廻りから拍手が起こった。
「私示談なんかに応じませんから!絶対刑務所ぶちこんでやります!」
と、言うと今度は『おーっ!』と歓声があがった。
その男は40歳前後のサラリーマンだ。
私達は次の駅で降り駅員室で事情聴取となった。男は『やってません。』とか『人違いです。』とか言ってたが、小百合が『私が横で触ったの見ました。間違いありません。』と目撃証言をして、警察に引き渡しとなった。小百合が証言したあとの男は、『初めてです。』とか『許して下さい。』とか言って、犯行を認めていた。
その後、警察にも同じ事を聞かれたが、ありのままをジェスチャーを加えながら話した。
『訴えますか?』の質問には、『勿論です。弁護士や裁判官に何度同じ質問されても平気です。訴えます。あと絶対に示談には応じませんから!』と言いきった。すると男は『くそガキが!』とか『ブス!』とか騒いでいたが、手錠がかけられると『仕事首だよ〜。』とうなだれていた。そして『示談金いくら欲しいんだ?百か?二百か?』と言いながら警察に連行されていった。
「小百合ゴメンね。変な事に巻き込んじゃって。」
「平気です。でも先輩強いですね。なんだかスカッとしました。」
「まぁ、それほどでも。あとさ、この事みんなには内緒ね。」
「えっ、自慢したいですよ。」
「まぁ、二人の秘密って事で…。」
「でも、内の生徒も何人か居たと思いますよ。」
「まぁ、そっちからバレたらしょうがないよ。」
「わかりました。」
「裁判に証人で呼ばれたら頼むね。」
「はい。」 |