52 控え4
先生の話は、『新しくチームの監督になったので、みんなの事をフラットな目で見極めて選手を使っていきます。』などと言っていたが、要は今のレギュラーの保証はしないという事だ。私の目から見て攻守において美紀、亜希は外せないだろう。あと松本も大きな力だ。残りの2つの席を争う感じだろう。私はまだ未知数でシュートに安定感がない。
「あと明後日の土曜の午後は、この体育館で練習試合を組んだからそのつもりで。」
「はい。」
「はい。じゃ今日はこれまで、お疲れ様。」
「お疲れ様でした。」
とみんな立ちだし2年がモップをかけ始めた。松本は先生と何やら話込んでいる。私も手伝おうとすると、
「先輩は大丈夫ですよ。」
と美穂に言われた。昔は先輩後輩男女関係なくやったもんだが、今は下の学年の子が男子と一日交代でやっているようだ。亜希と部室に向かって歩くと、貴代が後ろから近付いてきた。
「深谷さん。」
「はい。」
「私も『真理』って呼んでいい?」
「うん。私も『貴代』で大丈夫?」
「勿論!」
「なんか真理にレギュラー取られて、私が控えになる感じだな〜。」
「そんな…。」
「でもしょうがない実力だから。」
その発言に対して亜希が、
「貴代は勝負する前に諦めたらダメだよ。努力しなきゃ。」
「それって山下先輩諦めた時にも同じ事言ってなかった?」
「言ったみたい。」
「そうね。私って諦めがいいみたい。」
「妥協するしね。」
「妥協じゃないよ。」
「妥協?」
「今の彼氏の話!」
「そうなの?」
「少しはイイなとは思ってました。」
「少しでしょ?」
「だってこの先告白される事なんてあるかわからないし…。」
女バスの中では可愛い方だと思うが、そんなにモテないのか?
「彼氏どんな感じ?」
「社会人2年目の体育大出身のカッコイイ感じよ。」
「ちょっと亜希、見た事ないでしょ!」
「そうだった。今度彼氏の友達紹介してね。」
そこに典子が追い付いてきた。
「何話してんの?」
「えっ?」
「う〜んとね、真理の胸が大きいって話!」
「ちょっとそんな話してなかったじゃん!」
「そうなの?」
「も〜。」
貴代ともうまくやっていけるかもしれない。あと誰もゲームの話には触れなかった。ただ貴代以上に悔しい気持ちになってる子がいた。部室に入ってくるなり、『真理、私の欠点教えて!』などとみんなの前で美紀が言うのだ。 |