39 不安
新しく高3になるからクラスメートも代わるので、その辺は気にならない。元々真理はつるむのが苦手みたいで、友達も数えるほどしかいないらしい。携帯電話の登録も今時の子の中では少ない方だろう。それより制服のスカートだ。不安だし落ち着かない…。これは慣れるまでしかたないだろう。
なんの因果か人生3度目の高3だ。しかも同じ高校同じ教室…。だけど今回は大学受験をしなくて済みそうだ。さらに、担任はなんと南律子になった。旧姓吉野律子。俺の元家庭教師で初めての彼女だった人。神様の悪戯もほどほどにしてほしい。
始業式が終わり、家へ一旦戻り制服のまま店へと向かった。
店の再オープンが明日と決まった。
当面は平日のみの夕方までの営業と決めて、メニューも少しに絞って、ヒロがパニクらないように工夫したつもりだ。店内は綺麗に営業出来る状態になってる。食器類もなんとか揃えたし、食材も揃った。問題は調理するヒロの腕前だ。店を任せて大丈夫だろうか心配だ。明日だけは学校を休もうか迷ったが、再オープンの認知度も低いだろうし、お客さんの入りも少ないだろうから、任せる事にした。店内には2人だけだ。
「じゃシュミレーション始じめるけど大丈夫?」
「オッケー!」
「じゃAランチ1つにCランチ2つお願いします。」
「かしこまりました。A1つC2つですね。」
と素早く調理にかかった。手際よくこなしてる。続けざまに注文した。
「あとBランチ1つください。」
「Bランチかしこまりました。」
ヒロは無難にメインを作ってみせ、私を安心させたのである。
「味も大丈夫だね。」
「本当?」
「あぁ。」
ホッとした顔をして、嬉しそうだ。
「衛生管理は徹底してくれよ。」
「わかってる。そっちこそ学校で目立たないでよ。」
「目立つ?」
「そう。これでも学校では大人しい感じでいたんだから!」
「自分で言うかね?じゃ、部活に入ったりとかは?」
「部活?」
「そう。」
「体育系?」
「そう…。」
「言っておくけど、ウンチよ。」
「ウンチ?」
「運動音痴って事。」
「あぁ…。」
「それでもよければどうぞ…。」
「オッケーなの?」
「まぁ、でも元に戻ったらすぐ辞めると思うけどね。」
「サンキュ!」
元に戻る…、元に戻れるのだろうか…。また相手を失う事など考えられない。真理の人生を返してあげたいとも思うが、俺がなんとか出来る問題でもない。 |