36 馬場さん
起きた時には愛子と向き合って寝ていた。あまりマジマジと見た事がなかったからだろうが、愛子も年相応にシワがある。起こさないように布団から出て、店の方に移動した。軽く筋肉痛になっている事に気付いた。俺の体の真理はどうだろう?腰は大丈夫だろうか?
お湯を沸かしコーヒーを入れる。昨日作ったサンドイッチを頬張った。するとドアをノックする人がいる。誰だろ?
「はい。」
「一人ですか?」
「いえ…。何か…?」
「あっ、ケガ人がいないか見て廻ってるんですよ。」
「ご苦労様です。あまり見かけない顔ですね?」
「住んでるのは二駅先なんですが、勤務がこの辺りで…。」
「勤務…。」
「大丈夫ですね?」
「はぁ…。」
そこにもう一人入ってきた。馬場さんだ。
「あぁ、ここにいたんだ?」
「ここは大丈夫みたいだよ。」
「そう…。」
「どうも。」
と馬場さんと目が合った。こっちを凝視してる。
「え〜と。進藤くんの知り合いかな?」
「あっ、はい。」
「進藤くんは?」
「自宅です。」
「そう、無事なのね。良かった。」
「知り合い?」
「まぁ…。」
「愛子さんならいますけど…。」
「えっ。」
「今、起こしてきますね。」
「いや、寝てるなら無理に起こさなくても…。」
そこにちょうどよく本人が起きてきた。
「おはよ。あらっ、どちらさん?」
「お久し振り愛子ちゃん。」
「あっ、馬場さん。」
「無事で良かった。」
「はい。」
「私達これから他も廻らなきゃだから、これで失礼するね。」
「あっ、はい。もしよければパンしかないけど、食べて行ってください。」
「気持ちだけで…。またこんどゆっくりね。」
「はい。頑張ってください。」
笑顔で頷いている。そして俺の方をみながら、
「愛子ちゃんこの子って…。」
「桃子の妹の真理です。」
「やっぱり…。どことなく似てるわね。じゃ、またね。」
「はい、また。」
と出て行ってしまった。馬場さんから見ても、桃子と真理は外見が似てるという事みたいだ。
「今の人は桃子の友達だった人よ。」
「そう。」
「看護士さんで広志くんもお世話になった人なのよ。」
「そうなんだ…。」
リアクションに困る。
「愛子さんも食べるでしょ。コーヒーでいい?」
「ありがとう。」
愛子が『妊娠したかも。』と言った時に、妊娠検査薬を買ってきてくれたのが馬場さんだった。愛子もお世話になっているのだ。 |