35 結婚願望
「桃子はね、学生結婚でもいいから早く結婚したかったみたい。」
「えっ!」
初めて知った…。
「真理もそうかもしれないけど、温かい家庭に飢えてたのね。家庭というか家族ね。」
「…。」
「だから早く高校卒業したがってた…。」
「そうなんだ…。」
「でも大学行き出して、少しずつ考えが変わってきたのかな〜。モデルの仕事したからなのかな〜。違うな事故してからだな!」
事故…。
「広志くんのバイクで2人乗りしてこけて、2人とも骨折だけで済んだのが不思議だった位の大事故なんだけど…、それでね可笑しい事に入れ替わったみたいに言葉遣いが変だったなぁ〜。」
『ゴホッ!』と咳込んでしまった。
「ちょっと大丈夫?」
「だっ、大丈夫。」
「それでね…、健二が『広志が時々オネェ言葉で気持ち悪い!』とか言ってたな〜。それに、どっちかといえばそれまでは広志くんがリードしてたように見えたけど、事故以降は桃子の方が強かったみたい。」
「…。」
「そう…、それから彼女の口から結婚って言葉は聞いた事ないな…。」
「そうなんだ。」
「私達の家庭見て幻滅したかな?」
「そんな事ない。」
「『そんな事ない。』って、まるで見てたみたいな言い方ね?」
「少なくとも私的には羨ましい家族って意味だけど…。」
「ありがとう。」
俺は少し動揺していた。桃子が結婚したがっている事に気付いてやれなかった…。芸能事務所に入ってモデルなんかやらなかったら、結婚していたのだろうか?一度だけ『いくつで結婚したい?』と聞かれた事がある。俺の中で学生結婚なんて考えた事はなく、いずれは一緒になるだろうという意識がある程度だった。
「愛子さんもいい人いたら結婚しなよ!会社にいい人いないの?」
「私は…。」
やはり愛子はまだそんな気になれないのだろう。彼氏が出来るかも心配だ。俺の知る限り健二としか付き合った事がないはずだ。
「幸太だって自立したんだし、これからは自分のための人生を楽しまなきゃ!」
「そうね結婚はないけど、まだ37だし楽しまなきゃね。」
「純ちゃんは?なんか聞いてる?」
「昔からあの子とそういった話しないのよ。」
「でも前の旦那の事もあるんだし聞いた方がいいよ。姉妹なんだし。」
「そうだよね…。なんか真理って大人になったね。」
「何それ?」
「なんとなく。」
「大人ねぇ…。」
大人というか中身はオッサンだけど…。 |