29 朝食1
どうも眠りが浅かったようだ。7時には目が覚めた。一人布団から出てキッチンに向かう。お湯を沸かしコーヒーの準備をする。トーストとスクランブルエッグ、あとソーセージをボイルしたものをプレートに盛り付ける。
真理…俺の体の真理はまだ寝てる。店にあったラジオを付けると地震関連のニュースで持ちきりだ。高速道路が倒れてたり、電車が脱線してたり、死傷者数の予想も何千人単位だ。そこに、
「おはよう。」
「おはよう。食べるだろ?」
「とりあえずコーヒーもらおうかな…。」
コーヒーをマグカップに入れる。
「もしよかったら、まだ寝てていいんだぞ。」
「なんで?」
「家まで行って来る。」
「一緒に行く。」
「分かった。」
「臨時休業の紙出したら行くから、早く食べろ。」
「うん。」
「片山さん来ないよな?」
「まぁ、来ないでしょ。」
「寒いな…。」
「そうだね。え〜と、携帯電話は…。」
「上着のポケットに入ってるよ。」
「あっそうか、今度から携帯も真理のを使うから、真理の方を貰おうか。」
「食べたら持ってくる。」
「いや、取ってくる。ロッカーだろ。」
「うん。」
控え室のロッカーから、携帯を取り出しかけてみる。まだダメらしい。
「ダメ?」
「あぁ。ピンク電話だな。」
「うん。そういえばなんでそのピンク電話なの?」
「昔聞いた話なんだけど、災害時は特殊回線以外は遮断するらしいんだ。」
「特殊回線?」
「救急や消防や警察や自衛隊だ。」
「なるほど。」
「それで外にある緑色した公衆電話とか、うちみたいな店舗に置いてあるピンク色した電話は、特殊回線に含まれるって聞いたことがあってな。」
「ふ〜ん。」
「嘘か本当かはわからないけどな。」
「あながち嘘でもなさそうだね。」
「どうだろ?あとで、真理の携帯の使い方教えてくれ。」
「いいよ。」
「とりあえず、登録電話を呼び出すのだけ聞いとけば、あとはなんとかなる。はい、これ俺の。」
「古っ!」
「使えてるって!」
そこで店の電話が鳴ったので出ると…、
「もしもし…。」
「はい。」
「真理か?」
幸太だった。
「うん。そっちは無事?今どこ?」
「近くの病院。」
「何、大丈夫?」
「俺は平気だけど…。」
「栗原さんが俺かばって、俺の上にかぶさってくれて…。さっき気が付いたから平気だと思うけど。」
今、幸太は栗原のとこに住まわせてもらってる。 |