18 涙
栗原は運転が上手くなってた。
「お葬式出れなかったし、愛子の旦那さんに線香あげていこうかな?」
と里沙が言い出した。
「寄ってって。栗、高校の方に向かってもらっていい?」
「先に進藤さん下ろすの?」
「よく知ってるね?」
「いや、確か歩きで通ってませんでした?」
「そうそう。」
「やっぱり栗も広志くん派?」
「派ってなんだよ?」
「栗、私も時効で喋ったんだから、誰が好きだったかくらい言いなよ。」
「今もだけど、本当にデカイのコンプレックスで恋愛諦めてたから、そうゆうのいなかったのよ。」
「ふ〜ん。」
「で、やっぱり行き先は進藤さん家?」
「実は、広志くん家でお世話になってて。」
「はい?」
「…。」
「あー誤解しないでよ。妹の純も一緒で、3日前まで幸太だっていたんだから。」
「それでも…。」
「やっぱり、あつかましいよね…?」
「俺は3人の事健二に頼まれたんだ。そのくらい何でもないさ。」
「あーびっくりした。愛子の旦那亡くなって一年経ってないのに、旦那の親友と出来ちゃったのかと思っちゃったじゃん。」
「意識してたら、来ないでしょ!」
「あーでも健二に愛子達の事頼むって言われた時に、しつこく頼む頼む言うから、冗談で『俺のカミサンにしてやる』って言ったらさ…。」
俺は話すのを止めた。
「広志くんそのあと聞きたい。話してよ。」
沈黙があった。
「あいつ軽く笑って『そのくらい言ってくれなきゃ。』だと。」
たぶんそれには続きがあって、『安心して死ねない。』と続けたかったはずだ…。
「うん。」
「俺が『冗談だよ』って言ったら『わかってる。それでもいい。同じ事さ。』って言うわけ、俺は涙がこぼれちゃって…。」
愛子は泣いていた。久々に健二の気持ちに触れたからだろう。
「思い出しついでに里沙に聞くけど…、」
「はい。」
「桃子が里沙に『しばらく口きかない。』って言った事後悔してて、あとで謝るって言ってた。けど、スケジュール合わなくて、ちゃんと謝ってないんじゃないかな?」
「先輩…、なんで今頃になって言うんですか?」
「悪い。俺も落ち込んでたし、里沙は有名人だし…。」
「もっと…。もっと早く聞きたかった…。桃とちゃんと仲直り出来てないような気がしてて…、でもそれ聞けてよかったです。聞かせてくれてありがとうございます。」
里沙も目に涙を浮かべていた。 |