15 ボンゴレの味
「初めて作ってほぼ店の味だったんだ。」
「へ〜っ。」
「なんで出来たと思う?」
「分からないです。」
「店を辞めた広志が、ずーっと教えてたんだよ。」
「進藤くんが辞めて一年経ってから入ってきたから、そんなの気付く人いなくてねー。」
「一人いたんだよ。」
初耳だ。誰だろ?
「誰?」
「恵理さんさ。」
「意外〜。なんでわかったの?」
本当に意外だ。
「正確には違うんだけど、俺に言うわけさ。」
「なんて?」
「厨房のテストの時に食べたボンゴレが、『進藤くんが作るボンゴレに似てる。』って…。」
「確かに、恵理さんって桃ちゃんにボンゴレよく作らせてたよね。」
「俺のボンゴレ、特徴無いと思いますけどね?」
「恵理さんにとっては、初恋の味だったんだよ、きっと!」
「その恵理さんって、あの恵理さん?」
「あぁ、そうだ。」
「へぇ〜。」
「なんだ知ってるの?」
「よく店に来るので…。」
「店?」
「この間からうちで働いてもらってて。」
「そうか…。えーっと真理ちゃんだっけ?」
「はい。」
「今いくつ?」
「16です。」
「そうか〜。」
「なんですか。神田さんニヤニヤして?」
「広志は結婚してねぇなと思ってな。」
「からかわないでくださいよ。」
「いや、もっと言ってください。私が猛アピールしてるけど振り向いてくれないんです。」
「こりゃ参ったね…。広志いくつになったよ?」
「神田さんの10個下で、大谷さんの5個下すよ。」
「ちょっと進藤くん、私の歳が分かっちゃうじゃない!」
「いや大谷さん若いすよ。」
「いやいやそんな事より広志、お前は罪な男やな〜。アピールって!俺にも友達紹介してよ。」
「ちょっと!」
「冗談だよ。」
「当たり前!」
「あいかわらず仲いいですね。」
「確かに冗談が言える夫婦っていいですね。」
「ま、まぁ…。でも俺が尻に敷かれてるからうまくいってるのよ。」
「ちょっと!」
「ほら。」
「本当仲いいですね。」
「広志。何頼むんだ?」
「コーヒー…、」
「2つください。」
「かしこまりました。」
「誤魔化されないから。」
「冗談だろ。コーヒー2つだって。」
「ちょっと待っててね。」
二人は仲良くコーヒーの準備を始めた。
「ねぇ、私にも料理教えてよ。」
「お客が少ない時にな。」
「絶対だからね。」
「あぁ。うちでメシ食っていくか?」
「いい…。でも、またデートしてね。」 |