14 指輪
駅で待ち合わせだった。『この方がデートっぽいだろ。』と言っといたが、車もバイクも長いこと所有してない。電車も通勤以外は極力使わなくなってた。乗り物がいやなのだ。
行き先は、駅の向こうの大型ショッピングセンターらしい。
「こんな地元で俺みたいなオヤジと買い物なんかして、同級生に見られたら嫌じゃないのか?」
「別に。」
「そうか…。今日は何買うんだ?」
「まずはクレープ!」
「メシにしようぜ。」
「いいよ。何食べたい?」
「蕎麦だな。」
「オッケー。」
1階のフードエリアは充実していた。和洋中なんでも揃ってた。食後にお茶を飲みながら、
「何買うんだ?」
「買ってくれる?」
「高価なものは無理だけどな。」
「ん〜。」
「高いのか?」
「いくらまで?」
「いくらなんだ。」
「行かないとわからない…。」
「よし行こう。」
着いた先は宝飾品屋だ。
「シルバーの安いやつ何処にあります?」
と真理は店員に尋ねていた。
「こちらです。言って頂ければお出ししますので…。」
「これいいですか?」
「はい。」
後ろで見ていた私に、つけて見せた。
「いいじゃん!」
「本当。」
「おぅ。」
「どうしよう…。これにしようかな…。」
「違うやつも見せてもらいなよ。」
「ん〜。でもこれにする。」
「いいのか?」
「名前入れていい?」
「……。」
そう言うことは、予想出来たが、言葉が出なかった。
「すみません。また来ます。帰ろ…。」
出口に向かって歩いた。
「真理…。」
「大丈夫。」
「すまんな…。」
「私の方こそ、いきなりあんな事言って困ったよね。ゴメンね。」
「いや…。」
「歩こうよ。」
「あぁ…。」
会話も無く駅まで来てしまった。
「コーヒーでも飲んで休んで行くか?」
「そだね。」
「知り合いの店でいいか?」
「うん。」
ドアを開けると懐かしい顔がカウンターに並んで立ってる。
「いらっしゃいませ!」
「おう久々だな。」
「ご無沙汰してます。」
カウンターに腰掛けた。横に真理が座る。
「おい、広志。この子は…。」
「はい。桃子の妹です。」
「真理です。」
「驚いたね〜。見れば見るほどそっくりだ。」
「お姉ちゃん知ってるんですか?」
「みんな同じ店のスタッフだったんだ。」
「へぇ〜。」
「俺は、桃ちゃんが初めてパスタ作った時を今でも忘れらんないけどね。」
「なんでですか?」 |