12 使い道
俺たちが付き合う前に撮った写真だった。文化祭で、バスケ部の屋台でチョコバナナをやった時の写真やら、卒業式に撮った写真だった。撮ったのは健二だ。俺が持ってないバスケの練習の時の写真もあった。桃子がどれだけ好きでいてくれたか伝わってくる。もちろん愛子や栗原,新井も隅っこの方に写ってる。
「それ見たいです。」
「久々に思い出して、俺は見るのが辛くなったよ…。」
「すみません。デリカシーなくて…。」
「いや、かまわないさ。そのうち持ってくるよ。」
「進藤さん、少し早くあがっていいですか?」
「いいよ。」
「すみません。」
純は夜の仕事を増やしたのだ。以前は土日にホステスだけだったが、4月からはそれを辞め、雇われママをやりだしたのだ。ここで働くより全然時給がいい。
純も俺に間接的に借金してる。愛子に『まとまったお金を貸して欲しい。』と言われたのは1年前だ。借金の理由は、健二の入院手術代と純の元旦那の借金返済の為のお金だった。借金は愛子の実家を処分しても足りなかった。
店は、俺が社会人になって貯めたお金と、銀行から借りたお金で出した。それも3年で返済する事が出来た。元桃子の通帳と桃子の親父さんからもらったお金は手を付けなかったのだ。
『出来れば五十万』と言われたが、純の借金の金額を聞くと四百万近かく残ってた。次の日に銀行に行き、現金にしておいた小切手分の五百万をおろして、愛子の元へ行ったのだ。
「こんなに借りれません。」
「貸すわけじゃねぇ、あげるから使ってくれ。健二の家族の為に使って欲しいんだ。」
と言って置いてきた。『何年かかっても全部返します。』と言われたが、返ってこなくていいのだ。その意味では借金ではない。ほかでも愛子は熊本の義理の兄の正さんにも借りてて、それはいくらか教えてくれない。正さんも返さなくていいと言ってるが、奥さんの方からはちょくちょく連絡がくるらしい。
「私も帰ります。」
「いつもありがとね。」
「ご馳走様。」
会計を済ませ新井は帰った。純も着替えてあがっていった。
夕方のこの時間はそんなに混まない。なんだかんだ平日のランチが一番忙しい。駅近で、オフィスビルもあったり、ちょっと歩けば総合病院もある。たまに馬場さんも食べに来るのだ。確か結婚して名字が変わったが俺にとってはいつまでたっても、『馬場さん』なのだ。呼び方を変えるつもりはない。 |