11 引っ越し
火曜の2時前になると決まって新井久美が来店する。ランチ食べてケーキセットを頼む。
「昼間は辞めないんでしょ?」
「土日はお姉ちゃんが入る予定だけど…。」
「平日は?」
「今のところ私が続けて入ります。」
「良かった。」
「なんで?」
「接客業しててなんだけど、人見知りするんです。」
新井はよく分からない。
「で、今度のとこはどう?」
「スタッフいい人ばかりで続きそうです。」
「それは良かった。」
「進藤さん火曜だけなら私が来ますけど。」
「今は調理も出来る即戦力が欲しくて。愛子や純ちゃんみたいにランチ動けるくらいだといいけど…、コック経験者雇うしかないね。」
「そうですか…。」
「私が昼間いなくなっても来てくださいね。」
「もちろん。ここに山桃花がある限り。」
「ありがとうごさいます。」
「それより最近愛子どう?元気出てきた?」
「やっとアパート出る決心付いたみたい。」
「引っ越すの?」
「そう幸太は先に引っ越したけどね。」
「純ちゃんも?」
「そうだね。」
「どこ引っ越すの?」
「俺ん家。」
「進藤さんん家?」
「そう。元々部屋空いてたし、経済的でしょ。従業員だし。」
「楽しそうでいいですね。」
「ほとんど朝と夜遅くしかいないんだけどね。」
「そうだ進藤さん聞きたい事あったんですけど…、」
「何?」
「葬式終わったあと、栗原とどこに行ったんですか?」
純と目が合う。
「純ちゃんまでそんな目で見ないでよ。」
「別に…。」
二人が俺が喋りだすのを待ってる。
「頼み事があってな…。」
「栗原に?」
「ちょっとな…。」
「進藤さんって栗原さんみたいのがタイプなんですか?真理に言っちゃいますよ。」
「純ちゃん頼むよ。」
幸太のモデルの話を栗原に頼んだ事を知ってる。この間の真理とお風呂に入った一件以来、妙にとげとげしい。新井が来てる事をいいことに突っ掛かって、俺を困らせて楽しんでいるのだ。
「栗原がタイプ?真理ちゃんに言わないといけない?なんですかそれ?」
「さぁ、なんでですかね?テーブル片付けてこよーっと。」
「純ちゃん!」
「進藤さん。まさか真理ちゃんに手を出しちゃったとか?」
「真理いくつだと思ってるんですか?」
「ですよね…。」
「俺と桃子が付き合ってた事バレちゃって…。」
「嘘?」
これには純が食い付いた。 |