1 バイト
「おい真理!おまえ進藤さんとこでバイト始めるんだって?」
「そうだよ。なんで?」
「俺が頼んでもダメだったのに、なんで真理はオッケーなわけ?」
「純ちゃんが『夜働けなくなるから代わりにどう?』って言ってくれたの。」
「純ちゃんが?」
「そうだよ。」
「にゃろ!真理バイトしなくても小遣いあるだろ!純ちゃんも、俺が山桃花の料理教わりたいの知ってるくせに…。」
「幸太は料理人になりたいの?」
「今時の男は料理位出来ねえとモテないんだよ。」
「幸太モテそうなのにね?なんか部活でもやればよかったのに。」
「うちはおまえん家みたいにお父さんが財産残してくれて、裕福じゃない一般家庭だからバイトしないと小遣いないんだよ!」
「おじさんまだ体良くならないの?」
「入退院の繰り返し…、俺も高校辞めて働くって言ったけど母さんが『うん。』って言わなくて…。」
「そうなんだ。」
「どっか時給の高いバイトないかな〜?」
「そうそうないよ。」
「ホストでもやるかな。」
「ホスト…。おじさんもおばさんも喜ばないと思うよ。それに未成年だし。」
「だよな…。」
「今日バイトは?」
「休み。」
「だったら山桃花行かない?」
「行き過ぎじゃねぇの?」
「なんかイイ仕事知ってるかもよ。」
「でもよく真理の事雇う気になったよなぁ。」
「どうゆう意味?」
「いや、いいんだ、なんでもない。気にすんなって!」
「なんかムカつく。」
「ゴメンゴメン!」
「行こうよ?」
「行くか…。」
「こんにちは。」
「いらっしゃい。なんだ幸太か。」
「なんだはなくね?それに純ちゃんひどいよ!真理に言う前に俺じゃね?」
「幸太。タイミングだよ。」
「進藤さんも俺に声かけてくれればいいじゃん!」
「まぁ、色々あるんだから、しょうがないんだろ。」
「色々って?」
「幸太。おまえいくつになった?」
「今度18だけど。」
「18か…、おまえが大人だと思って話すけど、俺だって純ちゃんに辞めて欲しくない…。」
「進藤さん…。」
「お前ん家の家計は大変なんだ…。」
「進藤さん…。」
純ちゃんが首を横に振ったが俺は構わず続けた。
「おまえの親父は今大変なんだ。それはわかるな。」
「うん。」
「お母さんが頼れるのは純ちゃんしかいないんだよ。俺がもっと助けてやれればいいんだけど…。」
「進藤さんにはもう借りれないです。」
山下の家は大変だった。 |